第9回 電動バイクのモーターについて知ろう!

掲載日:2012年01月23日 電動バイク生活    

Text & Photo / GooBike

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電動バイクのモーターについて知ろう!

電動バイクならではの動力発生装置といえばモーター。ガソリンエンジンとはまったく違う構造ですが、いまの電動バイクに使われているモーターとは一体どんなものなのでしょう? 今回はモーターに注目してみます。

Point 1

ホイールの中にモーターがある!?

電気を流すことで回転力が発生する機械、それがモーターです。発明されてから既に100年近い歴史を持ち、私たちの生活には欠かせない機械となっています。電車やエレベーターにはじまり、家庭では扇風機や洗濯機にも使われていることはみなさんご存知でしょう。

 

電動バイクでは、ガソリンを使う内燃機関(エンジン)に取って替わる動力として、モーターが使用されています。車体に積んだバッテリーから電力を供給され、その電気でモーターは回転します。その回転力が動力=前に進む力として利用されているわけです。

 

では、いま世にある電動バイクに使われているモーターとはどういった種類のものが多いのか。一番はやっぱりインホイールモーターです。これは駆動輪となるホイールに直接モーターがセットされている方式を指します。この方式を多くのメーカーが採用する理由は大きくふたつ。

 

 

従来の車両でいうところのホイールハブ内にモーターを配置するインホイールモーター。写真はEC-03のカットモデルです。

従来の車両でいうところのホイールハブ内にモーターを配置するインホイールモーター。写真はEC-03のカットモデルです。

ひとつはモーターの出力軸と駆動輪が同軸になることで伝達ロスを限りなくゼロに近づけることが可能なのです。ふたつめはスペースの問題です。二輪ではバッテリーとモーターの搭載スペースに制約がありますが、インホイールモーターを採用すれば、車体の大部分はバッテリーや制御機器の搭載に使えばよいので、コンパクトに車体を設計することができます。

 

一部の車種ではモーターとCVTと呼ばれる無段変速機を組み合わせた方式を採用していますが、車体設計の自由度やコストの面ではインホイールモーターが有利。こうした理由で、インホイールモーターが多く採用されているのです。

 

Point 2

DCブラシレスモーターって?

電動バイクにインホイールモーターが多く使われる理由は分かりましたね? ではそのモーターについてもう少し突っ込んでみましょう。電動バイクの諸元表にあるモーターの項目を見ると『DCブラシレスモーター』という表記をよく見かけます。これは一体どういうモーターなのでしょう?

 

DCとはDirect Current(ダイレクト・カレント)、つまり直流電流を意味しています。家庭用の100Vコンセントに来ている電流は、AC100Vの交流電流と呼ばれるものですが、電動バイクのモーターは直流電流で動くモーターいうことになります。

 

では『ブラシレス』とはどんな意味なんでしょう? 少し専門的な話になってしまいますが、モーターは永久磁石と電磁石の磁極の反発力を利用して回転しています。そのためモーターは、回転力を継続するためにモーター軸の回転に合わせてモーター内の電磁石の磁極を切り替える、つまり電磁石への電流の方向を切り替える必要があるのです。その電流の方向を切り替えるパーツがブラシと呼ばれる部品です。

 

ただ、ブラシは常にモーターの回転部と接触しているため、長く使うとブラシが摩耗して必要な電流が流せなくなってしまいます。そのためブラシの代わりに電流の切り替えを電子回路で行う仕組みが考えられました。それがブラシレスモーターなのです。

 

この方式の採用によって、ブラシ交換の必要がなくなり、ほぼメンテナンスフリーともいえるモーター寿命が確立されました。ブラシレスモーターが採用される一番大きな理由といえるでしょう。

 

 

動力源としてエンジンと比較すると、非常にコンパクトなインホイールモーター。数多くの車両が採用する方式です。

Point 3

モーターの特性

モーターの大まかな仕組みやインホイールモーターの利点がわかったところで、今度は出力特性(トルクやパワーの出方)について考えてみます。

 

ガソリンエンジンでは、設定された任意の回転数で最大トルクを発生し、そこに到達するまでに段々と力が増していきます。しかし、モーターの場合は、起動した時に最大トルクを発生するため、低速時がもっとも力強く、高回転になるほどトルクが減少するという、エンジンとはまったく異なる特性を持っています。この、スロットルを開いた瞬間に最大出力を発揮する、それこそがモーターの最大のメリットであるのです。

 

 

電動アシスト自転車と電動バイク

ここで電動アシスト自転車にもすこしだけ触れておきます。電動アシスト自転車は、ペダルを漕ぐ力に対し、電気の力でアシストしてくれる乗り物です。もちろんその電気の力には法律で基準があります。時速10km以下ではペダルを漕ぐ人力を1とすると、アシストする電気モーターの力は2までと決められています。

 

電動アシスト自転車はナンバーや免許のいらない『自転車』という位置づけですから、電気の力だけで駆動力が得られるような構造にはなっていないのです。

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