取材協力/ばいく屋 tomboy 取材・文・写真/田宮 徹 構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

掲載日:2012年8月21日

トライクとは、いわゆる3輪バイクのうち、3つの車輪が車体の中心線に対して左右対称に配置され、二等辺三角形を描くモノを指す用語。ホンダ・ジャイロシリーズやピアジオ・MP3シリーズのように、車体全体がバンクしたり、フロントが2輪だったりするタイプもあるが、日本では一般的に、リアが2輪で車体をバンクさせずに曲がる3輪車をトライクと呼ぶことが多い。

 

トライクは日本の道路運送車両法上、たとえば総排気量が250cc超の場合は「側車付オートバイ」、50ccを超えて250cc以下だと「側車付軽二輪」となるのだが、道路交通法では普通自動車に準じた扱いとなり、運転するには普通自動車免許が必要となる。逆に言えば、かなりバイクに近いスタイリングで、ダイレクトに風を感じながら走れる乗り物だが、二輪免許は必要ない。

 

また、リア2輪でバンクしないトライクの場合、ロック機構を作動させなくても車両が自立する。年配者やカラダに障害がある方などで、バイクのような開放感のある乗り物を運転したいという場合、トライクはその最有力候補となる。そしてもちろん、2輪車ともクルマとも異なるトライクは、街中でも抜群の目立ち度。ファッショナブルなコミューターとしても、トライクの人気は高まっているのだ。

バイクショップとして1978年に創業し、翌年からサイドカー、1993年からはトライクの取り扱いも開始。ホンダ・ゴールドウイングに関する知識と経験は非常に豊富で、店内にはゴールドウイング用のカスタマイズパーツが大量にストックされている。しかしじつは、クルーザー系大型二輪車やトライク、サイドカーが専門というわけではなく、幅広い車種に対応してくれる。

住所/埼玉県さいたま市浦和区常盤7-1-20
電話/0120-45-8198
携帯の方は、 048-824-0800〈代表〉
FAX/048-824-0843
営業時間/10:00~19:00
定休日/水曜日、第3木曜日
後援クラブ/GLメンバーを中心としたツーリング倶楽部・怪車快人倶楽部(GOLDWINGを中心)

WEBサイト:http://www.tomboy.co.jp/

さて、現在のところ車体メーカーメイドのトライクというのは少なく、そのため日本で販売されているトライクの多くは、2輪車をベースにキットパーツを組んでトライク化されたもの。つまり、ショップの知識と技術力が走りの差を生む世界でもある。

 

埼玉県さいたま市の浦和にある「バイク屋トンボイ」は、1978年の創業以来、ホンダ・ゴールドウイングのプロショップとしても活躍し、創業翌年からサイドカーの製作も手がけてきた。そして1993年からトライクの取り扱いを開始。つまり、サイドカーを含めた3輪の経験は30年以上、トライクだけでも約20年という歴史がある。当然ながら、この間に多くの知識と技術がトンボイに蓄積。経歴だけ考えても、頼もしさがある。

 

現在、トンボイではモータートライク社とユーロウイング社のキットを、日本の指定代理店として取り扱っている。トライクの製作はゴールドウイングがメインとなっているが、ハーレー・ダビッドソンをはじめとするそれ以外の機種でも、キットの設定があればもちろん可能。興味がある方は、まずショップに相談してほしい。


米国ユーロウイング社のキットを使用して製作された、ホンダ・ゴールドウイングのトライク。東京モーターサイクルショー2012用のデモカーとして、細部にまで徹底的にカスタマイズが加えられているため、かなりのゴージャス感がある!

現在、トンボイのトライク製作は、基本的に認定2級整備士の福田仁さんが一人で担当している。「オーダーから実際の製作作業、試運転とその後の調整、そして構造変更などの車両登録まで、自分で行っています。他のショップさんでは、製作は担当するけど登録は別というところもあるようですが、当店はすべてを僕が担当するため、車両状況が把握しやすいというメリットがあると思います」と福田さん。製作を依頼した場合、愛車のすべてを担当メカニックが知ってくれているというのは、ユーザーにとってはかなりうれしい。細かな仕様の相談なども、話がスムーズに進む。

 

また福田さんによると、「よくお客様から、当店のトライク製作はリーズナブルだというお褒めをいただきます。トライクは、特殊なキットを使うためどうしても価格が高くなりがち。しかし、ごく普通のお仕事をされているような方でも、トライクの楽しさを知ってほしいので、これはとてもうれしいです」とのこと。コンパクトな体制とすることで、ユーザーの価格満足度を高めているようだ。

 

ところで、とくにゴールドウイングやハーレー・ダビッドソンがベースの場合、トライクはかなり車体が大きくなるが、簡単に操れるものなのだろうか?;

 

「フロントが1輪でリアから大きな力がかかる構造上、トライクはハイスピードではコーナーを曲がれません。フロントタイヤがグリップせずそのままアウト側に突っ込んだり、場合によっては転倒したりしますから、カーブではとにかくゆっくり走ることが大切」とのこと。そして「リアの車幅を常に意識しておくことも大事。前側がバイクと同じ幅なので、つい後ろのことを忘れがちですから」という。とはいえ、「基本的には、停車時に足で支えていなくても転ばない構造なので、力がない人でも問題はありません。操作方法も、基本的にはバイクと同じなので、ライダーならすぐに慣れますし、クルマの免許しかない方々もごく普通に乗っています」とのことだ。

 

バイクと同じ爽快感で、バイクを超える注目度。これまでバイク一辺倒だったライダーも、バイクに興味はあるけど免許はないという人も、抜群の実績と信頼を誇るトンボイで、トライクデビューしてみては?

トンボイのトライク製作を担当している福田仁メカニック。「近年はゴールドウイングのトライク化を手がけるショップとして認知度が上がってきましたが、これ以外のベース車を使ったトライクも、キットが入手できれば請け負います」とのこと。知識が超豊富なので、安心して依頼できる


ちょうどトライク化作業が開始された1800cc仕様のホンダ・ゴールドウイング。「もしこの1台に集中して作業を続けたら、10日もあれば完成します。実際には、別の車両と並行して作業したり、登録や塗装に時間がかかったりするので、最短1ヵ月という感じですね」と福田メカニック

  • せきもりのパンダッシュ さん

    GL1800トライク/乗車歴8ヵ月

    バイク経験はないのですが、ゴールドウイングには以前から憧れていました。ただ、免許取得の時間も無く諦めていた時、トライクの存在を知り、トンボイさんを訪ねました。その時に制作中だったのがこの愛車です。納車直後はバイクのギア操作に戸惑いましたが、すぐに慣れましたね。目立つので、いつも誰かに見られていると思うと安全運転への意識も高まります。まずはレンタルで体験してください。楽しいですよ!

  • 向山幸伸 さん

    GL1800トライク/乗車歴3ヵ月

    クルマをいろいろ乗り継いで、オープンカーも経験していますが、トライクはクルマとはまったく違う開放感が魅力です。また、今ではこの存在感と注目度の高さを生かして、自分が手掛ける事業(Gemsプロモーション)のPRにも活用しています。今度、仕事も兼ねて東京から四国まで走りますが、その距離を「走ろう」と思わせる快適な乗り心地も魅力のひとつ。気持ちいい走りをトライクは味合わせてくれますよ。

  • 望月あゆ美 さん

    GL1500サイドカー/乗車歴1年

    結婚と同時にゼファー1100を手放し、8年ほどバイクから離れていました。再びバイクに乗りたいと思うようになり、以前から興味のあったサイドカーを探し始めたんです。ネットで一目ぼれした車両が今の愛車です。乗って感じたのは、サイドカーは女性ライダーにもオススメということ。立ちゴケも無く、すり抜けでの怖い思いをすることもありません。女性のサイドカー乗りが増えて、女性だけでツーリングに行きたいですね。

「トライクやサイドカーに興味はあるけど、いきなり買うのはちょっと抵抗がある」なんて人にお薦めなのが、トンボイの「レンタルトライク&サイドカー」。かなりリーズナブルな価格設定なので、1泊2日くらいで借りてツーリングに出かけてみるのもあり。トライクやサイドカーを購入する参考にするのもいいし、普段はバイクやクルマに乗って、たまにトライク&サイドカーを楽しむという使い方もあるぞ!

 

トンボイのショップビル3階には、バイク昇降専用エレベーターを備えた月極バイクガレージがある。カードキーによる完全個人識別管理システムや24時間モニター録画システムを備え、セキュリティは万全。さらに、万が一のため補償保険も付帯されている。残念ながら、ここにはトライクなどを入れることはできないが、トンボイでは別の場所でのトライク&サイドカー保管サービスを検討している。バイクやトライク、サイドカーの駐車場に悩んでいる方は、まずは相談してみよう!