
素晴らしい吹け上がりと軽量ハイパワーなエンジン特性、そして何よりも「シンプルでわかりやすいメカニズム」が、数多くの2サイクル信者を生み出してきた。週末にはツーリング先で見掛ける2サイクルマシンだが、80年代以前は、原付クラスのビジネスシーンから大型スポーツモデルまで、数多くの2サイクル車が勢力分布を拡げていた。
4サイクルエンジンの場合は、ガソリンを点検(腐っていないか?)し、バッテリーを充電。キャブにガソリンが流れていることを確認し、セルまたはキックでエンジン始動するのが一般的だが、2サイクルエンジンの場合は、より詳細な点検作業が必要不可欠である。簡単にエンジン始動できれば良いが、意外とそうではないケースが実は多い。
オイルタンクの中にゴミが溜まっていないか? ゴミがオイルポンプに混入したら一大事だ。ライン途中のストレーナーにゴミが引っ掛かったら、ゴミを除去してタンク内部やオイルラインをすべて洗浄しよう。また、燃料コック不調になるとオーバーフローも起こりやすい。
もしも一次圧縮室(クランク室)に燃料が溜まっていたり、エンジンオイルが溜まっていたら、それはもう大事件だ!!
そんな状況に気が付かずキック始動しようとしたら「ウォーターハンマー現象」によってピストンが割れたり、最悪でコンロッドが曲がってしまうトラブルも発生する。そんな状況に陥らないためにも、数年ぶりのエンジン始動時には、スパークプラグを取り外し、空キックを10発、いゃ20発は踏み込み、念のために一次圧縮室の状況を確認しておこう。この作業時には厚手のウエス(不要なタオルなど)をシリンダーヘッドに被せ、もしもプラグ穴から液体が吹き出したときには即対応できるようにしておこう。僅か5分、10分の作業なので、転ばぬ先の杖としての儀式が有効なことを覚えておこう。もしもプラグ穴から液体が吹き出したら、その原因を正さない限り、後々大きなトラブルに遭遇してしまう可能性が大きい。
さて、エンジン始動前にプラグを取り外したら、プラグ穴からエンジンオイルを少量入れてキックを踏み込み、シリンダー内部をオイルで潤わせよう。組み立て直後のエンジンなら、吸入ポートからも少量のエンジンオイルを注入すると良い。そんなオイル注入時にも効果的なのが2サイクル用スーパーゾイルである。金属表面の改質再生効果があるスーパーゾイルは、2サイクルエンジンのシリンダーはもちろん、クランク室のベアリング潤滑にも高い性能を発揮。金属同士が擦れ合うエンジン部品は、動かし始めの初期カジリがパーツライフに大きな影響を与えるので、スーパーゾイルを使って初期潤滑を確実に行っておきたい。
SYNTHETIC ZOIL for 2cycle 1000ml◎4,300円(税抜) / SUPER ZOIL for 2cycle 450ml◎3,800円(税抜)
数年間に渡り走らせていなかった2サイクル車を復帰させるときには、エンジンはもちろん、車体各部もひと味違った点検が必要不可欠だ。事前チェック無しでエンジン始動した結果、不測の(最悪の)事態に……なんてケースは珍しくない。
2サイクル用エンジンオイルに「1対1」で混ぜて使う2サイクル用スーパーゾイル(通称シルバーボトル)以外に、高性能な化学合成オイルにスーパーゾイルをあらかじめ混ぜて販売されている、2サイクル用シンセティックゾイルもある(旧車ファンに人気の赤オイルを採用)。これまで、お気に入りのブランドオイルを使い続けてきたユーザーなら、前者を使うことでスーパーゾイル効果を明確に体感できるはずだ。初回は1対1での混合を推奨しているが、2回目以降は「エンジンオイル5」に対して2サイクル用「スーパーゾイル1」でも十分な効果を発揮する。常用高回転のスポーツ走行では、常に1対1の混合利用が望ましいようだ。
絶滅危惧種と呼ばれるようになった2サイクルオーナーの多くが、様々な潤滑シーンでリピーターとなっているスーパーゾイル。愛車の延命に欠かせない高性能添加剤を上手に使って、素晴らしき2サイクルワールドを今後もご堪能いただければと思う。ちなみに2サイクルエンジンのギアオイルには、4サイクル用スーパーゾイル(ゴールドボトル)を10%添加して利用するのがお勧めだ。スーパーゾイルをギアオイルに添加することで、ミッションやクラッチユニットの作動性向上はもちろん、大切なパーツのライフアップにも大きく貢献するはずだ。
車体側オイルのタンクの点検も実施しよう。劣化による亀裂でオイルが漏れているケースもある。醤油ちゅるちゅるを利用して古いオイルを抜き取り、タンク内部を洗浄してから、新しいエンジンオイルを注入しよう。
オイルタンクキャップにエアー抜き孔があるタイプは、ゴミやドロが詰まると機能が低下する。最悪でエンジンオイルが流れなくなるので要注意だ。ブリーザーチューブタイプは、チューブの折れに十分注意しよう。
オイルタンク内部に汚れやゴミが溜まっていないことを確認したらエンジンオイルを注入。今回はオーナーの要望でヤマハ純正2サイクルオイルに2サイクル用スーパーゾイルを1対1で添加した。
エンジン始動前にスパークプラグを抜き取り、プラグ穴から2サイクル用スーパーゾイルやスーパーゾイル添加済みエンジンオイルを少量注入。今回はスポイドを利用した。出先のトラブルで注入したいときには、ストローがあると便利だ。
今回はお猪口一杯程度の2サイクル用シンセティックゾイルを注入。一度にすべて注入せず、キックアームを手で押し込みクランクシャフトを回し、何回かに分けてオイル注入するのが良い。
モトクロッサーや農機などはガソリンにエンジンオイルを混ぜて使う混合ガソリン仕様が多いが、市販ロードバイクはオイルポンプを使った分離給油仕様が多い。オイルポンプ本体からのオイル漏れは要注意だ。
オイルタンクを空にしたときにはオイルチューブ内も空にして、エアーブローすれば通路確保は万全だ。タンクにエンジンオイルを注いだら、オイルポンプのエアー抜きボルトを緩めてオイルが落ちてくるのを待とう。
オイルポンププーリーはスロットルワイヤーと連動している。点検調整時にケーブルが外れてしまうとオイル吐出量が少なくなるので要注意。ポンプカバー復元時にはケーブルのセット状況を再確認。