
現代の高性能エンジンは、ブローバイガスなどの環境問題も含めて、狭いピストンクリアランスと低粘度なエンジンオイルを組み合わせる例が多い。バイク用のエンジンオイルで一般的な粘度と言えば、10W-40あたりになるが、現在の超高性能エンジンでは、低粘度な5W-30あたりも使われ始めている。部品の加工精度が高まっているからこそ、ピストンクリアランスを狭くツメられるのだが、安定した潤滑性能を得るためには、浸透性が高く低粘度な高性能エンジンオイルが必要不可欠だと言える。
我々が普段楽しんでいる市販車の世界でも、80年代以前に開発されたモデルと現代の高性能エンジンモデルでは、エンジンオイルに対する要求にも変化が現れている。レーシングエンジンのような極端な事例は無いが、今ではハイオクガソリンが標準仕様かつ100%化学合成オイルを指定している市販車も珍しくない。厳密に申せば、メーカー純正指定のエンジンオイル以外は「使わないで下さい」と明言するメーカー系ディーラーもあるほどだ。
メーカー純正指定のエンジンオイルを使っていれば確かに安心である。しかし、それ以上を望むことができないのも、またひとつの事実だ。そんなメーカー純正指定のエンジンオイルでも、添加によってさらなる高性能化を望めるのが、高性能エンジンオイル添加剤として知られるスーパーゾイルである。
金属同士が連続摺動する際に起る摩擦熱によって化学反応を起こし、摺動面に金属化合物を形成するのがスーパーゾイルの大きな特徴だ。その金属化合物が摺動表面を改質再生し、結果的には摺動抵抗を減らす役割を発揮する。
そんなスーパーゾイルの成分をあらかじめ添加し、販売されているエンジンオイルもある。100%化学合成オイルにスーパーゾイルを添加済のシンセティックゾイル(10W-40)。半合成エンジンオイルにゾイル成分を添加したセミシンセティックゾイル(10W-40)。ターボやスーパーチャージャーなどの高性能四輪車用として開発された、低粘度仕様のシンセティッグゾイル0W-30がそれだ。
SYNTHETIC ZOIL 10W-40
4サイクル用エンジンオイル(100%化学合成油)
1,000ml◎4,300円(税抜)/4,000ml◎1万6,800円(税抜)
湿式多板クラッチを滑らせる成分を含まないため、バイクはもちろんエンジンオイルとクラッチ&ミッション系オイルを共用しているエンジンで高性能を発揮。本誌レーシングチームでは、このオイルで4ミニ耐久優勝の実績がある。
シンセティックゾイル10W-40は、市販ロードバイクはもちろん、我々編集部では4ミニ耐久レースで好結果を得た実績がある。連続高温走行でも安定性が良く、4ミニ耐久レース優勝時にも同オイルを使用。レース後の車検で腰上を分解したが、摺動部はとにかくキレイでロッカーフェイスやカムジャーナルはピカピカ!! キズや摩耗痕など一切無かった。
SEMI SYNTHETIC ZOIL 10W-40
4サイクル用エンジンオイル(半合成油)
1,000ml◎3,500円(税抜)/4,000ml◎1万3,800円(税抜)
優れた油膜特性と金属表面改質再生効果によって、高いエンジン保護性能と冷間スタート時にもダメージを受けにくい潤滑性能を発揮。空冷エンジンユーザーから高い支持を得ているのが半合成のセミシンセティックゾイル。旧車ユーザーに試して欲しい。
空冷大排気量エンジンでは、セミシンセティックゾイルとシンセティックゾイル(いずれも10W-40)を使い比べたこともあった。いずれのオイルも夏場の渋滞中に油圧低下することなく(油圧低下するとインジケータランプが点灯する)、安定したエンジン性能を発揮してくれた。余談になるが、オーバーヒート気味のエンジンは、キャブセッティングを僅かに濃くして燃料冷却を試みると大きな結果を得られることが多い。
SYNTHETIC ZOIL 0W-30
4サイクル用エンジンオイル(100%化学合成油)
1,000ml◎4,300円(税抜)/4,000ml◎1万6,800円(税抜)
最高品質のエステルとPAOを組み合わせた100%化学合成オイルをベースにスーパーゾイル成分を添加配合。低粘度ながら優れた油膜形成と同時に滑らかで強靭な金属表面を作り出す。高性能エンジン搭載車はもちろん、四輪のターボ車や省燃費車にも最適。
最近、秘かに注目しているのが0W-30の低粘度を誇るシンセティックゾイルである。高性能な4サイクル用として開発された商品だが、2サイクル用ギアオイルとしての性能に期待しているのだ。2サイクルのギアオイルは温まりにくいため、本来の性能を発揮するまでに時間を要す。特に寒冷地域ではギアチェンジ時のショックが伝わりやすい傾向だが、低粘度オイルは温まりやすく、ギアのシフトフィールがやわらかい印象なのだ。それでいて高温にも強いオイル特性は魅力だろう。
4サイクル用スーパーゾイルをブランドオイルに混ぜて使うのも良いが、ある意味、すでにスーパーゾイル添加済なので、配合計算などの手間が無く、使い勝手が良いのが添加済みのエンジンオイルの特徴である。是非一度、愛車で試して頂きその性能を自らご体感頂きたい。
集合管を取り付けたことでドレンプラグを抜き取らなくなった。そこでオイルパンに追加ドレンボスを溶接。サイドスタンドでも薄型オイルトレイなら抜き取ることができる。切り抜いたコンビニ弁当皿でオイル跳ねを防止。
オイルフィラーは指先で緩められる程度の締め付けトルクで管理するものだが、強く締まっていると工具を利用したくなる。こんなときにフィラーツールを利用すればキズを付けずに緩めることができる。
ノーマルの空冷大排気量エンジンなら半合成オイルでも十分だが、信頼の100%化学合成「シンセティックゾイル」を利用。連続高温時でも安定した性能を発揮。夏場の渋滞でも油圧低下したことが無い。
人それぞれ考え方はあるが、常に「F」マークまでエンジンオイルを入れる必要は無い。常にチェックする心構えがあれば「E」キープでも良いだろう。オイルが少ないとエンジンレスポンスは確実に良くなる。