取材協力/パパコーポレーション  記事提供元/モト・メンテナンス編集部
※この記事は雑誌『モトメンテナンス』127号 P14~15に掲載された内容を再編集したものです。記事の内容は雑誌掲載当時のものです(2016年8月15日発売)
掲載日/2016年12月28日

絶滅危惧種の2サイクルエンジンだからこそ
積極的に使いたい2サイクル用「ZOIL」シリーズ

絶版車や旧車の中でも「絶滅危惧種」と呼ばれるようになって久しい2サイクルエンジンモデルは、直前までの調子の良さから一転、いきなりリアタイヤがロックし、エンジンストップしてしまうことが希にある。小排気量モデルでも突然リアホイールがロックすれば実に危険だ。道路の状況によっては、スリップダウンしてしまうこともあるだろう。

整備が行き届いた絶好調エンジンなら、全開に次ぐ全開で走り続けても、そうは簡単に壊れないものだ。しかし「壊れない」のと「コンディションを悪化させている」のは別次元のお話で、やっぱり過酷な走りを繰り返すことで、それ相当にエンジンパーツのライフは短くなっている。事実、全開走行を繰り返したことで「ピストンのスラップ音やピストンリングの弾き音が気になるようになってしまった…」とのお話は、決して珍しいものではない。

久々にエンジン始動したときにはさすがに大爆煙となってしまうが、しっかり走って残留オイルを焼き切れば、その後はスモークも少なく香りも良いのが2サイクル用シンセティックゾイルの特徴だ。

ビジネスモデルのように、トルクフルなエンジン特性のバイクは、エンジン回転数を高めず走ることができるため、エンジン寿命は長い。一方、スポーツモデルや、例えば「世界最速の座」を目指し登場したカワサキH1やH2の場合は、仮に、同じ排気量でもグランツーリングモデルとして登場したライバル車と比較すると、メカノイズは格段に大きい。つまりメカノイズが大きい分、エンジンパーツは摩耗&消耗が進んでいるのだ。

金属同士が擦れることで発生する摩擦熱に反応し、金属表面に化合物を形成。それが摩擦抵抗=フリクションロスの低減に大きく寄与する。まさにそれがスーパーゾイル成分によって起る金属表面の改質再生メカニズムである。2サイクルエンジンの場合は、クランク室+シリンダー(エンジンパワーの発生源)とトランスミッション室(パワーの駆動系)が完全分離しているので、ここでは「クランク室+シリンダー側」に於けるお話をすすめよう。

例えば、回転軸=クランクシャフトやピストンピンのスモールエンドにはボールベアリングやニードルローラーベアリングが使われているが、ベアリングの鉄球や軸の表面とレース摺動部にスーパーゾイル効果が現れると、回転抵抗が低く静音傾向を得られるようになる。ピストンリング+ピストンスカートとシリンダーが擦れ合うことでも摩擦熱が発生するが、そこでも摺動摩擦抵抗を低減することができる。事実、2サイクルオイルだけで走っていたスクーターのエンジンオイルに2サイクル用スーパーゾイル混ぜてしばらく走っていたら、以前と比べてエンジン振動が減り、長距離通勤で疲労が減ったというお話がある。より具体的には「手のひらのシビレが明らかに減った」との報告があるのだ。つまり金属表面に発生する改質再生効果によってフリクションロスが低減し、よりスムーズなエンジン回転を得られたことで「エンジン振動」が低減したのだと考えられる。スクーターのように全開走行が続く車両では、この違いは体感しやすいのだ。

市販ロードバイクやスクーターの場合は、分離給油システムを採用しているが、エンジンオイルの供給吐出量をコントロールしているのがオイルポンプである。エンジン回転が低いときには極少量だけ供給し、エンジン回転が高いときやスロットル開度に応じてオイル供給量を増減させる役割を担っている。人間で言えば、まさに心臓のような働きをしているのがオイルポンプなのだ。

回転軸に取り付けられたカム山に併せてオイル供給量を増減させているのがオイルポンプのメカニズムだが、ポンプ内部に関しても、様々な箇所で金属同士が擦れ合っている。つまりオイルポンプのコンディション維持にも、スーパーゾイルは期待できる添加剤なのだ。

2サイクルエンジンのパワーデリバリー系だけでも、様々な箇所でその効果を期待できるのがご理解頂けるだろうか? 特に、夏場はオーバーヒートしやすい時期でもあり、油膜切れによる焼き付きやダキツキも多く報告される時期。転ばぬ先の杖としても高く評価されているのがスーパーゾイルだ。2サイクルエンジン用スーパーゾイルや2サイクル用シンセティックゾイルを利用し、2サイクルライフを楽しみたいものである。

放置していたバイクを復活させる際に、古いエンジンオイルをそのまま利用している人も中にはいるが、何年も寝かせたオイルには水分が混入している可能性があるため、そんな状況下ではエンジンオイルを必ず入れ換えたい。オイルを抜いてからタンク内を点検し、シンセティックゾイルを注入した。

パイプ式レベルゲージがあるモデルなら、オイル面をマーキングしておくことでオイルラインのチェックバルブが効いているか否かを判断することができる。数週間の放置で減る場合は要点検だ。

今回はオイルタンクに入っていたエンジンオイルをすべて抜き取りシンセティックゾイルに入れ換えたので、オイルポンプに混入したエアーを抜いた。アイドリング時にポンプスロットルを全開にしてエンジンオイルを強制的に送り込むのだ。

例えば、ツーリングなどの出先でシリンダー&ピストンがダキツキを起こした場合には、エンジンが冷えるのを待ってからキックが降りることを確認し、プラグ穴からスポイドでシンセティックゾイルを注入。そしてゆっくり走りだそう。

シート内やサイドカバー内、シートカウルなどがある場合は、100ml 程度でも良いのでシンセティックゾイルを容器に詰めて仕舞っておくと良い。非常事態時に心強い味方となってくれるのだ。

SYNTHETIC ZOIL for 2cycle
1,000ml◎4,300円(税抜)

100%化学合成の2サイクル用エンジンオイルにスーパーゾイルを添加済の2サイクル用シンセティックゾイル。「赤オイル」を採用したことで、70s以前を懐かしむファンが数多いが、当時の赤オイルのように燃え残りのスラッジがマフラー内に溜まることは無い。バイクのみならず刈込機の混合ガソリン用としても評判で、小型高回転エンジンのライフが延びる!!

SUPER ZOIL for 2cycle
100ml◎1,200円 / 450ml◎3,800円(税抜)

2サイクルエンジンオイルに混ぜて使うのが2サイクル用スーパーゾイルだ。使い始めは50%の濃度で添加し、2回目以降は20%程度まで量を減らして使用できる。毎回添加する必要はなく、使い切った後にエンジンオイルだけで3,000~5,000kmほど走ったら、また20%程度添加すれば良い。

お気に入りのブランドオイルやメーカー純正オイルを使い続けてきたユーザーなら、混ぜて使う2サイクル用スーパーゾイルを利用するのが良いだろう。添加することで摺動熱に対してさらに強いエンジンオイルに性能向上する。