取材協力/パパコーポレーション  記事提供元/モト・メンテナンス編集部
※この記事は雑誌『モトメンテナンス』126号 P14~15に掲載された内容を再編集したものです。記事の内容は雑誌掲載当時のものです(2016年6月15日発売)
掲載日/2016年10月26日

オイル性能でエンジン性能が変わる!?

4サイクルエンジンがスムーズに回る理由は、エンジンオイルが各摺動部の潤滑油となって動きをアシストし、発熱を最低限に抑えているからである。エンジンオイルは人間で言えば「血液」のようなものだ。このエンジンオイルにも様々な種類やグレードがあることは、ご存じだろう。特に、特徴が無い一般性能オイルから高性能オイルまで、実に様々な商品が販売されている。例えば、エンジン性能の維持に躍起なバイクメーカーでも、純正指定オイルには数種類のグレードを用意している。最高性能を誇る商品を常に使って欲しいのが技術者の本音かも知れないが、様々な考えがあって廉価な一般性能オイルも純正指定されているケースが多い。

ちなみにオイル性能の違いによって、エンジンフィーリングが変わる現実は、メーカー純正オイルの「グレード違い」で試すことで、実にわかりやすい結果を得られることが多い。

例えば、一般性能のAオイルを使ったところ、500キロ走ったときに明らかな性能低下を感じることができた。オイル交換直後と比べ、回転上昇のスムーズさが減り(ガサツな印象になり)、メカノイズが気になり始めたのだ。

一方、最高級グレードのCオイルを利用したときには、オイル交換直後に感じた滑らかなフィーリングが500キロ走っても、1,000キロ走っても「変わらない!!」と言った例があり。そんなお話は意外と多い。これはまさしく「オイル交換あるある」だろう。

70年代に開発された大型モデルと現代のモデルを比べると、トランスミッションの設計に顕著な違いを見つけることができる。スムーズな作動性と効率の良い駆動伝達力を保証するのも潤滑性能である。

エンジンオイルにグレードがあることはご理解頂けたと思うが、ここで気になるお話をひとつ。オイルグレードを左右する要素には「ベースオイル」の性能が大きく関係している。化学合成油でもミネラル油(鉱物油)でも、ベースオイルの違いが製品性能や特性として現れることがあるのだ。例えば、鉱物油を例にすると何処の油田で産出精製されたオイルなのか? 北海油田産? それともアメリカのペンシルベニア産? 精製技術の進化で現在は同一性能に安定精製できるレベルにあるそうだが、昔は原油の産地で性能に大きな違いが出たらしい。

そんなベースオイルに様々な添加剤をブレンドし、エンジン性能やエンジンの使われ方に合わせ、オイル開発しているのが油脂メーカーの技術者だ。つまり、我々が購入するエンジンオイルには様々な添加剤がすでにブレンドされているのだ。

小排気量エンジンは摩擦抵抗の低減とスムーズな駆動伝達力を得ることで、その走りが大きく変わる典型的な例だ。常時高回転ユースのエンジンは、オイル管理に特に気を配りたい。

オーバーホール時にもわかるその違い
絶版旧車はもちろん現代のエンジンにも使いたい

「摩擦」の発生によって起る「抵抗」は想像以上に大きい。例えば、乾いた指先を机に押し付けて滑らせたときと、濡れた指先を机に押し付けて滑らせたときでは、その移動スピードに大きな違いがある。乾いた指先では引っ掛かりを感じたのに、濡れた指先では何事もなく移動。また、乾いた指先には摩擦熱が発生するが、濡れた指先は常温である。同じように、晴天なら気持ち良く歩けるのに、雨天時には滑りやすくなって気楽に歩けない靴にも、同じ考え方を当てはめることができる。

要は、高い摩擦抵抗が発生しているからこそ安全が保たれるケースと、まったく正反対に、摩擦抵抗が減ることで大きな恩恵を得られるケースがある。摩擦抵抗を考えるときには、そんな両面があることを忘れてはいけない。

エンジン性能を大きく左右するピストンクリアランスやリングの合口ギャップ。これらの設定値と摩擦抵抗のあいだにも様々な関係がある。ピストンリングとシリンダー内壁間の摩擦抵抗が減れば、パーツのロングライフ化は圧倒的なものになる。

金属表面の改質再生効果

高性能添加剤として数多くのリピーターに支持されているのが「スーパーゾイル」である。エンジン部品の金属摺動面は見る限り輝きを放ち、ツルツル滑るものだが、顕微鏡レベルでクローズアップすると、実は、そんな表面でも想像以上にただれている様子がわかる。つまり、決して平滑ではない金属表面同士が擦れ合いながら作動しているのがエンジンなのだ。そんなコンディションも少なからず影響し、繰り返しの稼働によって摩擦熱や摩擦抵抗が摺動部各所で発生する。

この凸凹摺動面が少しでも平滑になれば、よりスムーズな作動性を得られるようになるのは想像できる。例えば、摩擦抵抗が低減し発熱を抑えられれば、オイル温度は確実に低くなる。このような事象が連続的に起れば、エンジンオイルにも酸化抑制効果が働き、オイル寿命を延命できるようになるのだ。また、摩擦抵抗が低減すれば、各パーツ摺動部の磨耗速度が遅延し、大切かつ貴重なエンジンパーツでも寿命を延ばすことができるようになる。金属表面を改質することで摩擦抵抗は低減するが、そんな働きを実現してくれる高性能添加剤がスーパーゾイルなのだ。

国産エンジンよりもむしろ外国製エンジンで大きな効果を体感できるスーパーゾイル。摩擦抵抗=フリクションロスが低減しただけでも、走りや体感フィーリングがまったく異なるようになる。

稼働中のエンジンは各所で金属同士が擦れ合っているが、その金属摺動部がストレス無く作動できるように潤滑するのがエンジンオイルの役割だ。スーパーゾイルは、部品が擦れ合うことで発生する摩擦熱に反応し、金属摺動部の表面に金属化合物を形成させる働きがある。顕微鏡レベルで凸凹だった表面に金属化合物が形成されることで、摺動抵抗が減り、金属表面が滑らかになるのだ。この働きによって摺動抵抗が大幅に低減され、エンジンオイル性能も維持される。これがエンジンパーツの寿命アップにも大きく貢献するわけだ。

この金属表面改質再生効果が「トリートメント効果」と呼ばれるものである。前述したように摩擦抵抗の低減によってエンジンオイルの寿命が長くなるが、具体的には、オイル交換サイクルがスーパーゾイル添加前の1.5~2倍になるケースもあるようだ。しかも摩擦抵抗の低減によって「燃費」も向上。スーパーゾイルが「経済性に優れた添加剤」と呼ばれる理由がそこにある。

環境にも配慮しているスーパーゾイル

一部のオイル添加剤の中には即効性が高い「塩素系」溶剤で作られている商品がある。一方、スーパーゾイルの場合はオイルをベースに製造されているため、環境汚染の心配は無い。また、テフロンなどを含有した固形潤滑剤でもないため、流動性はエンジンオイルとまったく同じで安心だ。オイルフィルターに詰まったり、エンジンオイルと反応してジェル化することもない。塩素系オイル添加剤は摺動表面を溶かして滑り性能を促進し、摺動抵抗を減らしているが、溶け出た塩素成分がブローバイガスとなり燃焼すると環境汚染物質を排出してしまうデメリットがある。その点でもスーパーゾイルは安心して利用できる環境にも優しい高性能エンジンオイル添加剤なのだ。

特に、スーパーゾイルは鉄×鉄の極圧摺動箇所で高い効果を発揮するため、シリンダーヘッド周りやトランスミッションのコンディション維持には欠かせないといった意見も多い。もちろんピストンリングとシリンダー壁面の摺動抵抗の低減にも高い硬化を発揮する。

イタリアのドゥカティはデスモドロミック(強制開閉式吸排気バルブシステム)が代名詞だが、カム山摺動抵抗の低減に高性能ケミカルが威力を発揮する。旧シングルエンジンや初代Lツインはベベルギアでカムを駆動。摺動部が多いエンジンには特に効果的だ。

商品名は「スーパーゾイル for 4サイクル」だが、2サイクルエンジンの場合はトランスミッションを潤滑するギアオイルへの添加で効果的に利用することができる。極圧摺動部分で高い効果を得られるのがスーパーゾイルなので、特に絶版大型車のようにミッションに問題を抱えてしまうとメンテナンスが大変なので、転ばぬ先の杖としても数多くのユーザーに利用されているようだ。

大切な愛車だから「末永く乗り続けたい」とは誰もが考えるはずだが、お気に入りのブランドオイルにスーパーゾイルを添加し、その違いを体感していただければと思う。

SUPER ZOIL for 4cycle
100ml◎2,600円 / 250ml◎5,800円 / 320ml◎6,800円 / 450ml◎9,800円(表示価格はすべて税抜)

クリアランスうんぬん以前に、量産モデルの中にはエンジンオイルが回りにくく、生まれながらに潤滑不良を起こしている実例もある。本来なら根本的な対策が必要なのだが、こんな場面でも高性能ケミカルは頼りになるものだ。