バイク好き、自動車好きのあいだで話題となっているケミカル「スーパーゾイル」シリーズ。数多くの愛用者がリピーターになっている事実こそが、同シリーズ商品の性能や効果を何より裏付けている。メンテナンス入門者こそ高性能なケミカルを上手に利用し「バイクのコンディションを常に良く保ちたい」ものである。また、新車だからこそ高性能ケミカルを利用し、愛車と末永く良い関係を保ちたいものでもある。ここではカワサキKLX125をトライマシンに、DIYメンテナンスのコツや楽しさを紐解いていこう。
2015年モデルのKLX125(新車)をこの春に購入した弊社スタッフ。そのKLXの定期メンテナンス(現実的に2ヶ月に1度のメンテナンス)を担当しているのがこのコーナーである。初回の点検は走行800kmの際に購入ディーラーで行い、その後、さらに約250km走行後にオイル交換を行った。前回のリポートがまさにそのオイル交換だったが、メンテ完了後にツーリングへ出掛けたマシンオーナーからは「オイル交換でずいぶんエンジンが軽く回るようになりました!! 振動も減ったみたいでこれまで以上に快適になりましたよ」とのインプレッション。
くたびれ気味のエンジンでオイル交換を行う際に、高性能ケミカル(エンジンオイル添加剤)を併用することで、その効果が顕著に表れることは広く知られている。実は、それは新車にも言えることなのだ。「慣らし運転」が必要なように、その慣らしのときにも高性能ケミカルが大きな役割を果たしてくれるのだ。つまり、エンジン内部の各摺動部の当たり(摩擦抵抗)を減らし、初期馴染みを高めるのが慣らし運転の目的なので、そんな時にこそ高性能ケミカルが大きな効果を発揮してくれるのである。
前回、KLXのオイル交換時には、高性能エンジンオイル添加剤、スーパーゾイルがあらかじめ配合されたエンジンオイル「シンセティックゾイル10W40」を利用。その効果によってエンジン内部の摩擦抵抗が減り、以前と比べてよりスムーズに、かつエンジンの吹けが軽くなり、振動が減ったとの印象を受けたのだろう。
ブレーキフルードと同系統の特殊合成潤滑油をベースにした商品で、油圧式ブレーキシステムの各摺動部に使うことを目的に開発された。したがってブレーキフルードとの相溶性に優れている。高温でも酸化および炭化しにくいため、グリースがスラッジになり作動性を低下させることもない。ゴム部品同士やゴム部品×金属部品の摺動箇所に塗布する。
エンジンばかりではなく、車体に関しても慣らし運転が必要なことをご存じだろうか? 前後サスペンションやステアリングには様々な作動部、摺動部があるため、それらがスムーズかつレスポンス良く動かなければ、本来の走行性能を楽しむことができない。例えば、リアショックユニットで考えてみよう。スイングアームピボットシャフトを強く締め付け過ぎた結果、スイングアームがスムーズに上下作動せず、動きが渋くなってしまうことが時折ある。モノショックのリアサスでリンク機構付きの場合は、このリンクの摺動部分に不具合(ブッシュカジリ)が出て、作動状況が著しく悪くなるケースもある。完全なグリース切れ=潤滑不足で作動性が悪くなり、それに気が付かずに「リアショックの動きが渋いから高性能パーツに交換してみよう!!」などと、勘違いをするケースも多い。そのような場合は、リンク周りを分解し、汚れやサビを落して摺り合わせ、患部にグリースアップすれば、驚くほどリアサスペンションのレスポンスが良くなるものだ。そんな経験を過去にしたことがあるサンデーメカニックも数多いはずだ。
三角形のリンクブロックには摺動性&作動性向上のためにベアリングが組み込まれている。このKLX125の場合はリアショックユニットの下側締結部分にニードルローラーベアリングとダストシールが圧入されていた。汚れを洗浄してからグリースアップを施した。
スイングアーム側ピボットやリンクを組み合わせる他の2箇所はピン×ブッシュの摺動軸受けとなっていた。グリースの塗布量が著しく少なく、ピンの一部はすでに強く擦れ合ってピカピカに輝いていた。KLX125も明らかにグリースの塗布が少ないようだ。
スイングアームピボットにはグリースアップしなかったが、ピボットシャフトを抜き取り、サビの防止を目的にグリースを適量塗布した。締め付け復元時にはトルク管理しよう。108N・mで締め付けた。オーバートルクは作動性低下の原因だ。
分解したリンク周辺部品は洗浄してから各部に適量のグリースを塗布。インナーカラーやブッシュピンを差し込んだ状態で復元開始。タイヤからドロや小砂利のハネ返しをダイレクトに受ける場所だ。
スイングアームのピボットシャフト以外に、スイングアーム側ピボット、フレーム側リンクピボット、リアサスロア側などなど4本のシャフトをすべて差し込んでからナットを止め付ける。トルク管理はボルトの太さで50N・mと60N・m。
今回のメンテナンスでは、リアサスペンションリンク周辺のクリーンナップとグリースアップ、そして締め付けボルトのトルク管理をしっかり行ってみた。前回のメンテナンス後には未舗装林道ツーリングを楽しみ、しかも雨にも降られたそうだが、車両をあずかったとき、リアサスペンションの動きは明らかに重く感じられた。ところが、メンテナンス後のリア周りは、実に軽く作動し、レスポンスも良くなった。さらに前回のメンテナンスと同様にドライブチェーンをしっかり洗浄した後にスーパーゾイルチェーンルブをしっかりスプレーしたことで、リアホイールの空転時間が驚くほど長くなった。改めて「潤滑」の重要性を思い知ることができた。
オフ走行を楽しむユーザーの中には、ツーリング先や林道走行前にチェーンルブをしっかり吹き付けてイザ出陣!! といったケースが多々ある。これは大正解だ。特に、雨天時やぬかるみ路が多い走行ルートでは、チェーングリースが洗い流され、まともに潤滑されていないチェーンも多い。オフ走行が多いキャンプツーリーングなどでは、チェーンルブの携行は必須。なにしろ吹き付けた後の走りは気持ち良い!!