ライダーが求めるすべての機能をフル装備したSHOEIシステムヘルメットの進化形
掲載日/2018年06月13日
取材協力/株式会社SHOEI
取材・文/佐川健太郎
撮影/山家健一
構成/バイクブロス・マガジンズ
ライダーが求めるすべての機能をフル装備したSHOEIシステムヘルメットの進化形
走行時のフルフェイスヘルメットの安心感と、停車時のオープンフェイスの手軽さを兼ね備えたシステムヘルメット。その代表格でもあるSHOEIのプレミアムモデル、NEOTECが最新機能を搭載してさらに進化した『NEOTECⅡ』として登場した。いま最も進化したシステムヘルメットのインプレッションをケニー佐川がレポートする。

1人のユーザーとして進化の度合いをチェックしたい

私は従来型NEOTECの現ユーザーでもあり、そのオールマイティな性能に惚れ込んだ1人だ。出会いは2012年。本格的なヨーロッパツーリングに向けてヘルメットを新調したいと思っていたときに目に入ったのが、当時デビューしたばかりのNEOTECだった。

ライダーが求めるすべての機能をフル装備したSHOEIシステムヘルメットの進化形

アルプス地方を中心にドイツ、オーストリア、イタリアなど11日間で3,000km近くを走破する旅で、真夏のようなミラノの市街から冠雪する山岳路へ、そして雨のアウトバーンでは150km/hアベレージで国境を越えて突っ走った。そんなタフな道中を楽しく快適に過ごせたのは、NEOTECの恩恵も大きかったと思っている。

洗練されて見た目がコンパクトに

さて、オールニューとなる新世代のNEOTECⅡだが、まず見た目がシャープに洗練された感じだ。サイズがやや小さく重量も僅かに軽くなって、見た目も従来型よりコンパクトに見える。ベンチレーション用のパーツがより空力を意識したデザインになったことや、フェイスカバーとシェル本体との接合部の段差が少なくなるなど、フォルム的に一体感が高まったことが大きいと思う。一見するとよりフルフェイスっぽく見えるのだ。

高速スタビリティと涼しさに感動

高速道路でまず感じたのがスタビリティの良さ。トップアウトレットからリアスポイラー、ダックテイルシェイプへと繋がる3段階のエアロパーツが効いていると思う。ちょっと前傾気味に構えると、空気の層がスムーズに後頭部からはがされていくのが分かるようだ。高速走行時のスタビリティは疲労低減に直結する部分なので有難い。

ライダーが求めるすべての機能をフル装備したSHOEIシステムヘルメットの進化形

ベンチレーション効果も高められている。アッパーエアインテークを開口すると、フレッシュエアが一気にヘルメット内に流れ込み、爽やかな風とともに汗を吸い出してくれる。これは快感! 流入量は従来比でなんと1.7倍だとか。エアインテークのパーツ自体が大きなスイッチのようにスライドするので、グローブを付けたままでも簡単に操作できる。また、口元のインテークも形状が改良されて操作しやすくなった。

風切り音が気にならなくなった

もうひとつ忘れてはならないのが、今回新たに装備されたノイズアイソレーター。チークパッドと一体化した構造で、ヘルメット下側からの風や音の侵入を防ぐというもの。NEOTECⅡ単体では正直分からなかったが、NEOTECと比較してみると違いは明らか。従来型は「ゴーッ」という風切り音のノイズが間断なく進入してくるのに対し、新型ではそれがミュートされた感じだ。ノイズアイソレーターはオプションでさらに遮音性の高いレザータイプや、夏用として「無し」のタイプが選べるので、必要に応じて使い分けることも可能だ。

ライダーが求めるすべての機能をフル装備したSHOEIシステムヘルメットの進化形

シールドもNEOTECⅡ専用設計となりシールド上端部がシェル側へカーブした密着性の高いデザインになったことも大きいと思う。システムヘルメットはどうしても構造が複雑なので風や音が進入しやすいが、そこをカバーする新機構として評価したい。

さらに扱いやすく視界もクリアに

そして、システムヘルメットの真骨頂は何と言ってもフェイスカバー機構だろう。高速クルーズでの快適性やワインディングでの安心感はコレなしには語れない。それでいて、休憩時にはガバッとフリップアップして深呼吸できる解放感や、顔を見せながら仲間と会話したり、ツーリング先で初対面の人に道を尋ねたり、コミュニケーションを図りやすくする便利さはシステムヘルメットならではだ。

その要であるフェイスカバーのロック機構が新たに2段階となり、奥でしっかりロックできるようになった。従来型ではバイクの取り回しなど、ふとした瞬間にフェイスガードが下がることがあったが、新型ではより確実になりカバーの開閉アクションそのものもよりスムーズに改良されている。意識しなくても自然に手が届くロックレバーの扱いやすさも従来どおりだ。

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また、シールド、ピンロックレンズ、サンバイザーと3層構造となるアイプロテクトパーツも光の透過率が高く、とくにサンバイザーは見た目以上に明るくクリアな視界が得られるのがいい。朝陽や夕陽などの強烈な逆光にも即座に対応でき、雨天でも曇りにくいなどまさにオールマイティなシステムだ。

インカム一体型の時代がついに来た!!

最後にコミュニケーションシステムについて。NEOTECⅡにはヘルメットの中にインカムを組み込める設計になっている。インカムはSENA(セナ)のSRLで別売にはなるが、さすが専用設計、ピッタリと一体化したデザインがじつにスマート。取り付けも簡単で、初めてでも10分程度で組み込めるはずだ。

今回、インカムそのもののテストはしていないが、インカム一体型ヘルメットというライダーの長年の夢を叶えた量産モデルということになるだろう。もちろん、通常どおり他のインカムにも対応可能だ。

ライダーが求めるすべての機能をフル装備したSHOEIシステムヘルメットの進化形

従来モデルも完成度の高いモデルだったが、それを上回るデザインと性能、利便性を備えたモデルとして満を持して登場したNEOTECⅡは、ヘルメットに求められるすべての機能をひとつに凝縮した、まさに最強のオールインワンモデルと言えるだろう。

フェイスカバーとスクリーンの開閉バリエーション

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フェイスカバーを全開にした状態。解放感は抜群だ。安全のため走行時は必ずフェイスカバーを閉めよう。

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サンバイザーを下した状態。バイザーのアクションもスムーズかつ節度感が出た印象。

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フェイスカバーを下ろしてシールドを閉じた状態。見た目どおりフルフェイスに匹敵する安心感と静寂性を得られる。

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シールドを開けてサンバイザーを下した状態。逆光の中でもクリアな視界が保てる。

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フェイスカバー下側にあるロックレバーはグローブのままでも操作しやすく動きもスムーズ。カバーの重量バランスも改良されている。

作り込みのディテールをチェック

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ヘルメット内の熱気を吐き出すトップアウトレットは従来の開閉式から固定式に変更され、空力パーツとしての機能性もアップ。

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アッパーインテークも流量を拡大するとともに、ガンダム的デザインにアップグレードされている。ストレートにカッコいい。

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ロアインテークはリップ形状が見直されグローブをしたままでも簡単に操作できるようになった。赤いロックレバーは従来型を踏襲。

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シェル、フェイスカバー、シールドの重なる部分を従来モデルよりもコンパクトかつフラット化し、見た目にもすっきり。空力特性も向上している。

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チンストラップの留め具は従来どおりの頑丈なステンレス製マイクロラチェット式を採用。信頼性が高く着脱も簡単。

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シェルは最初からインカムのパーツを組み込めるようにデザインされている。両側の三角形の部分にはアンテナとスイッチを装備できる設計。

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ノイズアイソレーターはメッシュ素材で肌触りも快適。ヘルメット下側から進入してくるノイズや走行風を低減する効果がある。

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NEOTECⅡに組み込むために専用開発されたSENAのSRL。通常のインカムとは異なる一体型のデザインで非常に軽量だ。

インカム取付手順はいたって簡単だ

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最初にチークパッドやイヤーパッドなどの内装類を取り外す。

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ヘルメットに同梱された専用ツールでベースパーツを取り外す。

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ヘルメット後端部のカバーを取り外す。ここにはバッテリーが組み込まれる。

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インカムパーツはベースカバーを外した場所にスライドさせて「パチン」とはめ込むだけ。

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チークパッドを外した下の溝に沿ってマイクとスピーカーを流し込むように装着する。

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余った配線は内装の隙間などに収めれば完了。作業時間は10分程度だろう。

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インカム本体が内蔵されているので見た目にもスマートで風切り音も最小レベル。

新旧比較でわかる進化したカタチ

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手前(白)の新型は奥の従来型(グレー)に対してより軽快でシャープな印象だ。ブラックのベースパーツが全体を引き締めている。

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白が膨張色のせいで一見大きく見えてしまうが、フェイスカバーの接合部はフラット化されてスリムになっている。

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フェイスカバーからシェル後部につながるキャラクターラインやダックテイルシェイプされた空力デザインが印象的。

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シェルとフェイスカバーの接合部がよりコンパクトに、一体化されたのがよく分かる。シールド上端を内側に折った滑らかな形状と合わせてフラットサーフェス化されている。

SHOEI NEOTECⅡ を動画でチェック!

BRAND INFORMATION

問い合わせ/03-5688-5180

世界中で高い評価を得る、オートバイ用ヘルメットを数多くラインナップする日本のヘルメットメーカー。自社で風洞実験設備を持ち、開発から生産、加工、塗装、組み立てまで全工程を自社で一貫して行っている。世界最高水準のものづくりを求め続けていることへの自負の念を込めて「プレミアムヘルメット」と呼ぶ。フリップアップ式のシステムヘルメットが一般化したのもSHOEIの取組みがあってのこと。