
現代のバイクは、公道走行時にヘッドライト常時点灯が義務付けられている。それは夜間の照明効果とは違う意味で、被視認性を上げて安全性を高めることが狙いだ。同じ観点から、さらにバイクの存在を目立たせる効果を期待して開発されているのが、ボスコムジャパンの照明システムである。今回は、ヤマハのネイキッドスポーツであるMT-09やMT-07などに装着されているヤマハ純正ウインカー用に開発されたアイテムを紹介しよう。
ZX14RのようなフルカウルモデルやT-MAX、各メーカーのビッグスクーターなど、様々なタイプに適合するデイライト&バックフォグを独自開発し販売するボスコムジャパン。日々開発と年次改良を推進している同社では、単独でステーにて装着するウインカーへも対応幅を広げ、同タイプではカワサキならZRX1200DAEG、BMWではR1200GSやS1000RR用など多岐にわたり販売している。今後の販売に向け、ヤマハ、ホンダ用の商品開発にも取り掛かっている。なぜ同社はウインカーにこだわりデイライトやバックフォグを販売し続けているのか探っていこう。
フルカウルモデルのバイクの正面は張り出したボディにより存在を強調できるがネイキッドスポーツやトラディショナルスポーツを正面から見たときは面構成がほとんど存在しないため、とてもスリムだ。さらに被視認性においては基本的にヘッドライトの照明ひとつに頼るのでそのポイントは1点のみ。つまりバイク特有の視覚的に地味な存在であり、距離感がつかみにくい形状だ。そこでデイライトを加えることで3点にポイントが増え、より立体的(三角形)に存在を主張できるようになるのだ。
今までの車種でも一部ではウインカー部分とポジションが兼用している車種はあった。しかしそのポジションの光量は薄暗く、ダブル球によりレンズのオレンジ色に点灯していたためにファッション的にも敬遠されがちだった。そこでボスコムジャパンは確かな光量とファッショナブルな色の選択によりデイライトシステムを完成させた。今日までLEDウインカーのみ販売し続け、さらに年次改良を必ず行うことからもその強い思いが込められた製品づくりを徹底した会社でもある。
今回はヤマハのMT-07を用いて紹介するが、この車種のウインカーはヤマハ純正の汎用ウインカーのため、ヤマハ車であれば同形状ウインカーを採用している車種にも適合できる。今後は対応車種のラインナップも増やす予定だ。
フレームもエンジンもブラックアウトされたMT07のスタイリングは、個性的ではあるものの、夜間や黄昏時には目立にくい存在だということが分かるだろうか。これがネイキッドの盲点である。したがって、もっと積極的にバイクの存在感を強調するためには、デイライト&バックフォグという考え方が有利ということなのだ。
ノーマルとまったく同形状のウインカーに、LEDでのデイライトを装備する。きわめて爽やかな色合いであるクールホワイトの照明は、指向性のない拡散光なので被視認性も抜群なうえに、車体の周辺も明るく照らす。つまり暗い路地や交差点での右左折時、夜間停止時の押し引き操作も楽になるということなのだ。
ネイキッドモデルのリアビューもまた、面の少ないボディ形状ゆえにその存在を主張する材料が少ない。最近は車体そのものに小型のLEDを様々に飾りつけるカスタムもあるが、ビッグスクーターや超大型のハーレーのようなスタイルには似合うものの、とくにスポーツモデルでそのようなカスタムを好むライダーは少ない。そこで、効果的でかっこ良く決まるのが、このバックフォグなのだ。
テールライトとは離れた位置にあるウインカー。バックフォグを点灯すれば3点での照明ポイントとなり、被視認性は飛躍的に高まる。雨天はもちろん、霧が濃い状況下では抜群の威力を発揮する。もちろん不要な場合はスイッチでオン/オフが可能。ウインカーの点滅やハザード点灯時には自動的に消灯して、その役割をウインカーのボディだけで分担する。バックフォグの照度は、ストップライトと同程度の明るさだ。