
郵便配達や宅配ピザのデリバリーなど、街中で走るビジネスバイクを見ない日はない。使用状況、走行距離とも格段に過酷なビジネス車を快調に保つにはメンテナンスが不可欠。ここでは確かな性能と耐久性で信頼されるNTBパーツに注目しよう。
夜明け前から始まる朝刊と午後の夕刊配達、集金業務や営業活動など、一年中ほぼ毎日、重い新聞を車体の前後に満載して、郵便受けから郵便受けまでの短い間でゴー&ストップを繰り返しながら走り回る新聞配達店のビジネスバイク。
新聞配達と言えばスーパーカブの独壇場のイメージだが、最近は変速不要で乗り降りがしやすく重心が低いスクータータイプも女性配達員を中心に好評だ。
中部地方のある大型販売店では、新旧あわせて約30台のヤマハ・ギアが活躍中で、走行距離は配達エリアや担当戸数によってまちまちだが、この販売店では1台あたり年間平均で5,000km程度、なかには1万kmを超える車両もある。
撮影に協力いただいたのは東海地方で30台もの配達車両を走らせている新聞販売店。ヤマハ・ギア(ニュースギア)には初期の2ストモデルと2007年以降の4ストモデルがあり、この販売店では日頃のメンテのおかげで2スト仕様も現役で活躍中だ。
そんな条件でも配達に支障がないよう、保守や修理の担当者は、配達員からの報告や走行距離に応じて、常にチェックとメンテナンスを行っている。
部品交換をともなう整備では、かつてはメーカー純正部品を用いるのが一般的だった。だが、丸中洋行が独自に開発と製造を行うNTBブランドの製品は、性能、品質ともに純正部品と同等レベルを実現することで、社外パーツに関するマイナスイメージを払拭。現在では信頼できる補修交換用パーツとして数多くのバイクショップからも選ばれている。
安価な社外パーツもあるが、コスト面で魅力でも短寿命だったり、配達途中でトラブルを起こすようでは元も子もない。そうした悪評はブランド自体の命取りになることを十分承知しているからこそ、丸中洋行では十分なテストと検証を重ねた製品を市場に送り出している。
今回、この販売店では4ストギアの駆動系メンテナンスにNTB製パーツを使用した。すでに摩耗が進行した状態だったため交換後の印象はとても良かったが、走行距離が進んだ時にどうなるか、純正相当の実力があるかどうかを、編集部も興味を持って確認してみたい。
水冷インジェクション仕様の4ストエンジンを搭載したモデルは2007年に登場。2ストに比べて発進加速が穏やかで静粛性が高いので女性配達員に好評だが、ラジエターや冷却水などメンテ項目は多くなった。Vベルトやウェイトローラー交換は過去に行っているが、6万kmオーバーということでメンテ対象となった。
ビジネスモデルらしく外装(カウル)を一切外すことなく、エアクリーナーエレメントやドライブベルトカバーを取り外すことができる。ラジエターなどの冷却系は右側だ。
カバーを外すとプーリー(左)とクラッチ(右)が現れる。過去にベルト交換を含むメンテを行い、その際にケース内の洗浄を行っているので走行距離のわりにきれいだ。
以前交換した社外品のウェイトローラーは偏摩耗が進んでいる。これでも変速できるが、シフトダウンが鈍くなっていたそうだ。純正部品でも偏摩耗は避けられない。
ローラーが転がるプーリー内側のレールも著しく摩耗している。だが、この程度の減りはゴーストップを繰り返す新聞配達車では珍しくないそうだ。ある意味タフ!?
プーリー側のブッシュが摩耗してプーリーボスとのクリアランスが拡大すると、加速不良や変速不良などの不具合につながる。
純正ベルトは内側の谷部分に亀裂があった。NTB製Vベルトはアラミド繊維を採用して耐久性と耐熱性、耐燃性をアップしている。
自社製造の証としてNTBのロゴマークがプリントしてある。さらにウェイトローラーには重量が明記してあり、ユーザーに優しい。
プーリー、ウェイトローラーともに純正部品と完全に互換性がある。スチール製のカム(左)は純正部品を再使用する。
ベルトカバーを復元する前にエンジンを始動して、回転上昇にあわせてプーリーがスムーズに移動するのを目視確認しておく。
摩耗したプーリーとウェイトローラーでも走行できたが、新品パーツに交換後はエンジン特性と変速タイミングがマッチするため滑らかな印象に。毎日の配達で使用した後の耐久性チェックが楽しみだ。
丸中洋行では独自のリサーチにより、車種別に使用頻度の高い部品を中心にNTBパーツを開発。写真は4ストギア用で、今回は駆動系パーツを交換する。同社のパーツはオープン価格なので、実際の販売価格は部品商に問い合わせてみよう。
丸中洋行のホームページにある『NTBオートパーツサーチ』では、車種名や機種名からNTBパーツの一覧を確認できる。また、表示されたNTB品番を部品商に伝えれば、サンメカも購入できる。