
バイクのカスタムシーンでとても重要なファクターであるシートの交換。外装の変更やペイントと連動してチョイスされるシートは、そのデザインも重要だが、ライディングに直接影響のある機能アイテムでもある。ハンドルバーやステップとの関係で、バイクの方向性が決定すると言ってもよいだろう。それだけに、数多くのメーカーやショップが存在するのだが、今回紹介するパーツメーカー『Noz(ノーズ)』は、『HEAVEN'S(ヘブンズ)シート』というブランドで勝負する。
ノーズがシートの販売を開始したのは2012年。もともとマフラーなどのカスタムパーツを開発するメーカーで、シート部門はまた別会社でのスタートということになった。HEAVEN'S(ヘブンズ)シートというブランド名は現在6年目。拠点は兵庫県の宝塚市だが、生産はフィリピンに自社工場を持つ独特の方法である。今回は、営業本部の轟英幸さんに話を伺った。
「それまではOEMでシートを生産していたが、より多くのラインナップや様々なデザインを追求していく中でフィリピンに自社工場を立ち上げ、低価格ながら高品質を実現したHEAVEN'Sブランドが立ち上がりました。」
完全に独自のブランドとしてスタートしたヘブンズシート。ラインナップは、ビッグスーター用やトラディショナルなストリートバイク用のシートが主流。ほかには汎用のシングルシートやピリオンパッド。ユニークなものとしては、トラッカーシート用のメッシュカバーなども生産している。
「基本的に、唯一無二の凝ったカスタムシートではなく、様々なスタイルにマッチする普遍的なシルエットで、ボルトオン装着できるシートを製作しています。シートベースにはFRP使用し、自社工場で生産することでコストを下げ、品質も高いレベルでキープしています。ホームページから好みの仕様をチョイスして、セミオーダーも可能です」
もうひとつの特長は、オーダー時に低反発素材のスポンジをチョイス可能な点だ。通常のスポンジよりもライディング中の疲労が少ない低反発素材のスポンジは、プラス2,000円でオーダーすることができる。
今後は国産車用だけではなく、ハーレーなどの外国製バイク用シートも検討中ということだが、リーズナブルな価格帯でそのラインナップが加われば、ユーザーはシートを選ぶ上で選択肢が大きく広がることは間違いない。
話を伺ったのは営業本部法人営業課の轟英幸さん。以前は、自動車ディーラーに勤務していたが、バイク乗りであることもあってノーズのスタッフに。以前はホンダの大型スポーツバイクに乗っていた経歴が有り、バイクシート部門を牽引する立場にある。プロジェクトのスタート以来、ユーザーからのクレームはほとんど無いと胸を張る。
セミオーダーオプションで採用しているのが低反発ウレタン。安眠枕などでよく使われる素材をバイクシートに転用。スポンジの中央部に挟み込むスタイルで制作し、その乗り心地を飛躍的に向上させるというアイテムである。
スタンダードなシートとしては、ヤマハSR400/500用やカワサキのエストレヤ、250TR用や、ホンダFTR用など。デザインはプレーンなスタイルからタックロールまで。パイピングモールはスタンダードなブラックとは別に、ホワイトとレッドも選択可能。シートベースはすべてFRP製。
汎用のソロシートは、スタンダードに加えフラットやビンテージ、ロングノーズとデラックスワイドのシルエット。表皮はスムース、タックロール、ダイヤモンドなどから選択可能。もちろんこちらも低反発ウレタン仕様もあり、他にも表皮に牛本革を備えた物を選ぶことも出来る。ほかにも縫い目の無いタックロールの完全防水タイプもオーダー可能だ。
スタンダードバイク用のほかに、ビッグスクーター用や汎用のピリオンパッド、そして夏のツーリングに有効なメッシュ素材のシートカバーなどもラインナップ。どのシートも基本的にはノーマルよりも少しローダウンされたスタイルで、足つき性の向上が期待できる。そのうえ表皮やパイプモールのオーダーなども可能というセミオーダーシートでも低価格を実現している。