取材協力/株誌会社東単優美社産業株式会社  取材・文・写真/野岸泰之  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2016年6月22日

一昔前まで、バイク用品店のバッグ売り場といえば黒一色が当たり前で、どれもバイク専用品として高機能で価格も高め、というものばかりだった。そこに「カジュアルでリーズナブル、バイクを降りて街でも使える」というコンセプトのバッグが登場した。それが、株式会社東単のオリジナルバッグ『一風~IPPU』シリーズだ。今回はその特徴や魅力に迫ってみよう。

INTERVIEW

デザイン、機能、そして価格
すべてを高次元でバランスさせたい

東単は1955年創業のオートバイ用品・パーツの総合卸商社。アライとのコラボでスペシャルグラフィックのヘルメットを販売するほか、自社のオリジナルヘルメット『OWL』シリーズを開発・販売するなど、長年にわたってライダーのバイクライフをサポートしてきた。その東単がライダー向けに販売するオリジナルバッグが『一風~IPPU』シリーズだ。今回は株式会社東単営業部課長代理の金森一男さんと、実際にバッグを製作する優美社産業株式会社雑貨事業部係長の坂口仙さんに、その開発経緯とともに『一風~IPPU』の特徴や魅力を伺った。

「ヘルメット以外にも弊社のオリジナル商品を増やしていこう、と考えていた際、ギフト用品の展示会で優美社産業さんのカジュアルバッグに出会ったんです。とても高品質なのに低価格で、“こちらと組んで、今までにないライダー向けのオリジナルバッグをぜひ作りたい”と思いました」と金森さん。手始めに優美社産業が扱うシザーバッグをそのままバイク用品店に置いたところとても評判となり、「カジュアル路線は間違っていない」と確信したとか。そこで、本格的に優美社産業をパートナーとしての共同開発が始まった。

「弊社としては当初、金森さんの情熱に応える形で、東単さんオリジナルのライダー向けバッグ製作をお手伝いするというスタンスでした。しかし私もベスパに乗るライダーであり、以前から“バイク用品店のバッグ売り場を黒一色でなくカラフルにしたい”という思いもあり、やるからには徹底的に理想を追求しよう、と取り組んでいます」と坂口さん。

「一風」という名前はもともと、変わり者を自認する坂口さんが“ちょっと変わった奴が作る、従来のバッグにはない一風変わったテイストのバッグ”としてあたためてきたもの。それが、今までのバイク用にはなかった一風変わったデザインを目指すブランド『一風~IPPU』として、東単とのコラボレーション商品に活かされることになった。

株式会社東単 営業部課長代理 金森一男さん

東単と優美社産業がパートナーとなり生み出す『一風~IPPU』ブランドのバッグのコンセプトは、“バッグとして街に持ち出しても違和感のないカジュアルなデザインでありながら、バイク用としての機能を併せ持ち、しかも低価格で提供する”というもの。これだけでもかなりハードルが高い要求だが、さらに“ライダーとして欲しいもの”“クリエイターとして作りたいもの”“販売者として売りたいもの”という、さまざまな目線からの理想があり、いかにバランス良く商品としてまとめるか、に苦労するという。

「クリエイターとしては売り場に置いた時の“バッグの顔”をいかに目立たせるか、まずは色。そしてアパレル業界の流行を取り入れた、バイクを降りた街中でも違和感のないデザインにこだわります」と坂口さん。それに対して金森さんは「東単オリジナルとして出す以上、ライダーに納得してもらえるだけのバイク用品としての機能も当然、備えていないといけません」と強調する。

優美社産業株式会社 雑貨事業部係長 坂口 仙さん

商品開発の打合せ現場では、デザインや生地はもちろん、ファスナーの種類や引き手の形状、素材、ボタンやホック類の種類や取り付け方法など、全体のことから細かいパーツ一つにいたるまで、徹底的な議論が尽くされるという。

「ユーザーのことを考えるとできるだけ低価格で抑えたいんです。しかし、だからと言って機能性や安全性をおろそかにするのは、バイク用品として本末転倒ですよね。単価を抑えながらどこまで機能を盛り込み、売れる商品を作れるか。坂口さんとは、いつも電卓を片手に熱い議論を重ねています」と金森さん。

『一風~IPPU』にはシザーバッグやボディバッグ、ミニショルダーなどさまざまなタイプがあるが、どれも一見はカジュアルバッグの装いだ。しかし、細部まで見るとリフレクターを装備していたり、はっ水性の高い生地を採用したりと、バイク用としての機能と安全性を満たしている。バイクライフの良き相棒としてはもちろん、日常のシティユースにも似合う『一風~IPPU』シリーズのバッグは、お洒落に気を配るライダーのマストアイテムとして注目のブランドだ。

機能とデザインの融合。そこから『一風』が生まれる

PICKUP PRODUCTS

街に持ち出せるカジュアルさに
安全性と機能性をプラス

東単と優美社産業、両者の思いとこだわりの詰まった『一風~IPPU』シリーズは、ボディバッグやシザーバッグ、レッグポーチ、ミニショルダーなど多くのラインナップを持つ。素材もポリエステルや合皮などさまざまで、カラーバリエーションも豊富に揃っているから、ウェアとのコーディネートや用途、その日の気分などに応じて使い分けても楽しい。ここでは数十種類にも及ぶアイテムの中から、注目の商品をピックアップ。そのデザインや機能の詳細をご覧いただこう。

※キャプション内の価格はすべて税別

01一番の売れ筋はシザーバッグ。2016年最新モデルは流行のミリタリーテイストを取り入れている。
■商品名/シザーバッグ(IP13) ■カラー/カーキ、ブラック ■価格/2500円

02内部は明るいオレンジ色を採用。ミリタリー調を意識しつつ中のものが見やすい工夫がされている。

03レッグポーチは薄型でフィット感の高いタイプ。ショルダーバッグとしても使える2WAYだ。
■商品名/レッグポーチ(IP12) ■カラー/ベージュ、ブラック ■価格/3700円

04薄型ながら長財布も入るなど、収納力は抜群。生地にははっ水性の高いオリジナル素材を使用。

05シティユースに良く似合うミニショルダー。帆布と合皮を組み合わせ、洒落たデザインとなっている。
■商品名/ミニショルダーバッグ(IP10) ■カラー/ベージュ、ネイビー、ブラック ■価格/2500円

06デザイン上のアクセントにもなっているドーナツホック。片手でも確実に留められる工夫がされている。

077インチのタブレットが余裕で入るなど、収納力は十分確保されている。

08新デザインのボディバッグは流行のミリタリーテイストを取り入れ、パイピングリフレクターを装備。ファスナーの引き手は紐で操作しやすい。
■商品名/ボディバッグ(IP11) ■カラー/カーキ、ブラック ■価格3400円

09内張りは中身が見やすいオレンジ色となっている。7インチタブレットを収納可能で、背中部分にはパッド入り。

10ビッグサイズのボディバッグ。素材には1680Dポリエステルを採用。迷彩の柄はこのバッグのために作られたオリジナルだ。
■商品名/ボディバッグ(IP09) ■カラー/迷彩ブラック、迷彩グリーン、迷彩ブルー ■価格/3800円

1110インチタブレットや地図の収納に便利なクリアポケットのほか、バタつき防止ベルトも備えている。

12柄から作った同色プリントのオリジナル迷彩は美しい仕上がり。一風のロゴは刺繍となっている。

13ビッグサイズボディバッグの合皮タイプ。ロゴはパッチ仕様で、デザインテイストも迷彩タイプとはかなり違う。
■商品名/ボディバッグ(IP08) ■カラー/カーキ、ブラック ■価格/3800円

14リフレクターボディバッグも2016年の新作。メイン生地に1680D、ロールトップを採用するなど流行を取り入れた作りだ。
■商品名/リフレクターボディバッグ(IP14) ■カラー/レッド、ブルー、イエロー、シルバー ■価格/3400円

15ボディには大きくリフレクターを配し、デザイン上のポイントとするとともに夜間の安全性も確保している。

16内張りはカラーバリエーションに応じ、リフレクターと同色となっている。サイドファスナーは左右にあってどちらからでも内部にアクセス可能。

17商品化されたものもあれば、ボツになったものもある。多彩なアイデアをカタチにし、厳選されたアイテムのみが『一風』の名を与えられるのだ。こちらは商品化に至らなかったヘルメット収納機能付きデイパック。

BRAND INFORMATION

住所/東京都港区芝浦4-16-13
電話/03-5427-3114
ファックス/03-5427-3102
創業60年を超えるバイク用品、アフターパーツなどを扱う総合卸売商社。長年にわたりバイクシーンを見つめてきた確かな目から生み出される東単オリジナル商品は、ユーザーを満足させる逸品ぞろいだ。