取材協力/グリーシーキッズ  取材・文・写真/モリヤン  構成/ストリートライド編集部

掲載日/2014年3月19日

様々なデザインやサイズを取り揃えて、ヘルメットが試着できるショップの「グリーシーキッズ」は、
豊富な在庫からほとんどのモデルを手にとって確かめることができる、国内有数の専門店である。

INTERVIEW

都心から少し離れた郊外に
とてもポップな新店舗を開店させた

ストリートのバイク乗りにとって最も身近な存在のヘルメット、それがジェットヘルメットであることは間違いない。元々は名前のとおりジェット戦闘機乗りのために開発されたヘルメットだが、1960年代の初頭にフォーミュラーF1やモーターサイクルレーシングライダーにも愛用者が広まったものだ。特にバイク乗りにとってジェットヘルメットは、それまでの半キャップ型ヘルメット(クロムウェル等)が、自転車用のカスク(革製の頭部保護キャップ)から進化したヘルメットだったことから、飛躍的に安全性が向上し、1970年代にフルフェイススタイルが登場するまでは、完全にレース専用ヘルメットだったと言える。

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F1やバイクのグランプリライダーがフルフェイスに移行しても、オフロードシーンでは、依然としてジェットタイプが主流だった。特にアメリカでは、ヘルメットのペイントというポップカルチャーも発生して、ストリートライダーに浸透。その流れは現在でも脈々と続いている。

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グリーシーキッズという名前の由来は、そんな当時のアメリカンポップカルチャーからヒントを得たものだ。グリースは、当時の若者が必ず手にしていたヘアコムであり、しかもバイク乗りにとって油は切っても切れない関係である。オイリーボーイという意味合いも兼ねた表現として、この店を立ち上げる時から変わらない名称なのだ。創業オーナーは1950年代からのアメリカンモーターシーンが大好きで、ヘルメットの販売を始めた人。そして、安全性を重視することから、日本国内のSG規格をパスしたモデルをメインに扱うというこだわりを持っている。それがこのグリーシーキッズのポリシーなのだ。

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お店を立ち上げたのは2006年。当時は、オーナーの趣味でヘルメットを掻き集め、販売するという方法だった。一時は国内のアライやショウエイ等も含む10社以上のアイテムを扱ったが、徐々にグリーシーキッズで扱うジェットヘルメットの基準が出来上がる。それは単に機能的な安全性だけではなく、ライダーのバイクシーンを魅力的に演出できる一品であること。それは正しく1970年代までのアメリカンカルチャーを再現させたヘルメットにこだわるというショップに変貌していったのだ。

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ジェットヘルメットの素晴らしさは、安全性にある。実はここが大切なポイントだ。機能面だけで考えれば安全性においてフルフェイスタイプが優秀なのは誰の目にも明らかである。しかしそれは見方を変えると正解とは言えなくなるのだ。人は五感をフルに働かせて生きている。危険を察知する能力は、裸に近いスタイルが最も発揮されるはずであり、その点でフルフェイスヘルメットはロードインフォメーションが足らないことが致命傷になり安全性が高いとは言えないという立場になる。例えると、走行中の体感スピードはフルフェイスよりもジェットの方が上。危険を感じるスピード域は、フルフェイスよりもジェットの方が下という点で、安全をライダーに提供するヘルメットはどちらなのかという問いには、様々な答えが考えられるようになるのだ。ストリートライディングにおいて、ちょうど良い解放感と安全性を兼ね備えているのは、ジェットヘルメットであるとも言える。グリーシーキッズの扱うSG規格のジェットヘルメットたちは、安全性というハードもソフトも持ち合わせた商品なのである。

PICKUP PRODUCTS

現在取り扱うイチオシのヘルメット
自分にフィットする一品を選びたい。

足立区にあった以前の店舗は、ショールームと倉庫が離れた場所にあり、様々なサイズのヘルメットをスピーディに用意することが困難だった。業務が多忙になるにつれ、最初は大きめの倉庫を探していたのが、ついに店舗ごと移転して新築することになったという。現在八潮にある新店舗は、大量に在庫するヘルメットを即その場で用意できる環境を整えた。やはりヘルメットは、実際に被ってみなくてはフィッティングが判らないもの。その点で、この専門ショップは本当に優れているのである。現在数多く扱うブランドは、ブコとSHMタチバナ製のヘルメット。他には、アベンジャーやバンブルビー等も、取り扱う。

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1ブコとグリーシーキッズのコラボレーションモデルとして販売されているエンデューロ。ガンメタリックのボディにチェッカーラインを施した、グランプリテイスト。サイズは、スモールとベビーが3万4,650円。エクストラが3万5,700円である。

2セブンティーズを強烈にアピールするメタルフレークの塗装が施された人気アイテム。カラーは他にシルバー・レッド・ブルーを選択できる。価格は、スモール&ベビーが3万5,700円。エクストラは3万6,750円である。

3タチバナ製のヘルメットでも特にビンテージ色が強いモデルが、このハンドステッチモデルである。マッドブラックの帽体に、手仕事で製作されたハンドステッチのモール部分が特徴。サイズはS・M・Lの三種類で価格は2万2,050円。

4タチバナとグリーシーキッズのコラボモデルであるリミテッドエディション。カラーはマッドホワイトで、シンプルながら高級感のある仕上がりになっている。派手さを好まないオールディーズファンにはたまらない一品。各サイズとも1万9,425円。

5アメリカのチョッパーシーンを色濃く再現するアベンジャーのヘルメット。このグルービーブラウンカラーのヘルメットは、グリーシーキッズの別注モデルである。帽体はフリーサイズだが、新しいSG規格にパスしたニューバージョン。価格は2万9,190円。

6「GMG」Genuine Manufacture Gloveとして、専用開発されたグリーシーキッズのオリジナルグローブは、アウトドアグローブの老舗「グリップスワニー」とのコラボで製作されたもの。プレーンとパンチング加工の2種類から選べる。サイズは、S~XLまで。価格は、カラーによって1万2,600円と1万1,550円に分けられている。

7グローブはグリップスワニーのアイテムが、数多く取り揃えられていて、サイズも多い。グリーシーキッズとのコラボレーションモデルだけでなく、様々なグローブから選びとることができる。

8店内の奥にある壁にはAZのバイカーシェードが展示されている。その他、シールドやバイザーなども豊富に揃えられていて、各ヘルメットとのフィッティングを確かめながら商品を選べるのは、専門店の強みだ。通販ではフィッティングやバランスを確認することは不可能である。

9ヘルメットはメーカーごとに分けられて展示されているので、好みのヘルメットを探しやすい。どのヘルメットも手にとって実際に試着することができるから、自分の頭に合ったヘルメットをしっかり選ぶことができるのだ。

RECOMMENDED THE 3 BRAND

かっこ良さを表現するには
フィットしたヘルメットを選ぶべき

現在、グリーシーキッズが主に扱っているヘルメットは、ブコとタチバナ。そしてアベンジャーである。ブコは、現在トイズマッコイのライセンスにて製作されており、その品質は折り紙つき。1970年代当時のシルエットを、現在のクオリティで再現している高級ブランドである。当時のアメリカンライダーがこよなく愛した老舗ブランド。多くのレースシーンやストリートで使用されてきた魅力的なシルエットは、未来永劫愛され続けるに違いない。

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タチバナは、日本人の手による日本のライダーに向けたヘルメット製作で定評のブランドである。ハンドステッチをはじめ、内装へのこだわりや塗装の美しさなど、数多くのファンを離さない魅力が特徴である。グリーシ-キッズは、コラボレーションモデルも多く、日本一の店舗販売数を誇る。

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アベンジャーは、1970年代のチョッパームーブメントを再現すべくアメリカで生まれたブランド、そのペイント技術はまるでワンオフ製作されたかのような仕上がりで、満足感の大きいものだ。新たにSG規格をパスしたモデルを取り揃えて、豊富なカラーリングを店頭にて展示販売している。

新店舗は2014年1月18日にオープン。新築された店舗は倉庫と店舗が一体になった大きな建物でパーキングも広いから、バイクだけではなく、クルマでの来訪も問題ない。首都高の6号線「八潮南出口」から数分で到着できる立地も分かりやすい。

2階にあるショールームは、採光も明るくヘルメットのカラーリングが確認しやすい構造になっている。棚から出して窓際に移動すれば、自然光での確認も容易だ。

壁一面に並べられたヘルメットの他にも、サイズ違い等は数多くの在庫からすぐに持ち出すことができるので、お気に入りをゲットしやすいショップである。

SHOP INFORMATION

Greasy Kids グリーシーキッズ

住所/〒340-0824 埼玉県八潮市垳129-4
Tel/048-954-7510
営業時間/月~金13:00~18:30  日曜日10:00~18:30
定休日/土曜日