取材協力/DUKE  撮影・文/山下剛 構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2014年2月12日


「新車のときの輝きと艶をいつまでもキープしたい」というのは、不老不死と同じで人間が古来から憧れる魔法の力だ。
バイクコーティングは、その魔法を現実にしてくれる技術だ。

CONSTRUCTOR

好きだから乗る、乗れば汚れる……
宿命的悪循環を断つ魔法のコーティング


「愛車をいつまでもきれいに乗りたい」というオーナーのキモチはクルマもバイクも変わらない。そんな思いに応えてくれるのが「コーティング」だ。

 

コーティングとはボディ表面に皮膜を形成し、水垢や泥や埃などの汚れを付着させにくくするものだ。もちろんまったく汚れないわけではないが、汚れたとしても簡単な洗車だけで汚れを落とせる。

 

これまではワックスがそうした効果を持つものとして使われてきたが、油脂系であるワックスは柔らかいため経年変化に弱く、長持ちしなかった。しかしコーティングはセラミック系やテフロン系、ガラス系といった「硬い素材」を用いるから、耐久性に優れるため効果が長期間持続するのである。そのため、汚れがつきにくいだけでなく砂や飛び石などによるキズもつきにくくする効果もある。

 

バイクコーティングの効果は、今では広く知られている。実際、バイク販売店や用品店でもコーティング施工が実施されるようになっているし、自分で施工するタイプの市販コーティング剤なども増えてきている。

 

すっかり身近な存在になったように思えるバイクコーティングだが、実は施工には専門の知識・技術・環境が欠かせない。そのため、多くのバイク販売店のコーティング施工は、コーティング専門のプロショップに外注されているケースが大半だ。バイク整備ととコーディングは異なる専門性が求められる作業なのだ。

 

「メンテナンスとコーティングでは、知識や技術、そして求められる作業環境が違います。そのため、コーティングはプロショップに任せる販売店さんが少なくありません。また、我々プロショップが使うコーティング剤は、一定以上の知識と技術があるスタッフが使用することを前提に調整された『プロ仕様』で、市販のコーティング剤とは、その仕上がりや効果継続年数が明らかに違いますね」

 

と、語るのは、今回取材に訪れた東京・小平のコーティングプロショップ「Duke」の代表取締役 本間條久さん。ここは四輪をメインに実績と定評を持つプロショップで、バイクのコーティングも手がけている。

 

というのも店長を務める三木譲さんをはじめ、スタッフがバイク好きだからで、「クルマにできるんだから、バイクだってできるんじゃないか」と思ったことがきっかけだそうだ。街乗りはもちろんのこと自らミニバイクレースを楽しみ、Dukeとして全日本RRを戦う高橋英倫選手のスポンサーでもある(2014年1月現在)。

 

「新しいコーティング剤は、まず自分のバイクに施工して毎日の通勤で使ってみて、たしかなことをチェックしてから採用してます」(三木さん)

 

バイク好きだからこそ、施工に熱がこもる。コーティングは使う液剤によっても仕上がりや効果、耐久性に差があるが、なんといってもバイクを好きな人がやるからこそ、そこには愛情がこもる。論理的でない話ではあるが、この違いは実に大きい。

前置きが長くなった。本題に入ろう。今回はバイクブロス・マガジンズの読者からバイクコーティングに興味を持つ人を募集、モニターとなってもらった。まずは二人のライダーとバイクの使い方を紹介しよう。

 

(写真・左)田中敏夫さん/カワサキ Ninja1000
2012年4月に新車で購入。走行距離は20,000km。主な用途は週末の日帰りツーリング。保管場所は月極のバイク駐車場で、屋根がないためカバーをかけている。洗車は汚れが目立ってきたらする程度で、濡らしたウエスやケミカル剤で拭く。水洗いはしないそうだ。

【2ヵ月経過後の実感】
コーティング直後の輝きが増した感じは、今でもキープされています。とくに実感したのは走行後の汚れの付き具合ですね。もちろん汚れは付着しますが、濡れたウェスで拭くだけで落ちてくれるので、手入れがホントにラクになりました。

(写真・右)山田正之さん/ヤマハ XJR1300
2011年12月に新車で購入。走行距離は2000km。主な用途は月に一度のツーリングや街乗りで、雨天走行は一度もない。屋内の駐車場でカバーを二重にかけて保管している。手入れは乗車前にケミカル剤で汚れや埃を拭き取る程度。

【2ヵ月経過後の実感】
コーティング前はケミカルを使って拭いていたのですが、今はケミカル不要で手入れが簡単になりました。ガラスコーティングは見た目が綺麗になることに加えて、塗装面を強固に保護してくれるという点でも頼もしい存在だと感じています。

 

どちらのバイクも外装やホイールなどに経年劣化や汚れはなく、非常にいい状態でコーディングを行うことになった。

WORKING

コーティングの輝きが持続する理由は
作業工程から見えてくる

さて、ここからはコーティング施工の工程を見てみよう。バイクコーティングの流れは、(1) 洗車、(2) 研磨、(3)コーティング、(4) 仕上げという4工程で、施工にかかる時間はおよそ3~4時間。施工後の乾燥には10時間以上かけるのが理想という。そのため車両を預け、引取は数日後になることもあるので、依頼時にはしっかりと日程を確認したい。

 

また、バイクコーティングはどんなバイクにも施工可能だ。料金はコーティングする部位の面積により変動するため、ネイキッドのほうが安価になる。料金の詳細は下記を参照してほしい。

 

コーティングの肝は下準備にある。まずは水洗いで車両全体のホコリを落としながら、塗装表面やキズの有無など車両の状態をチェックする。

電装系に不要な水がかかってトラブルにならないよう、しっかりと養生してから洗車する。必要な場合はゴム部品にも養生(マスキング)を施してから作業に取りかかる。

ブレーキダストをはじめとして、金属成分や油脂分を含む汚れがひどいときは洗剤を使ってしっかりと汚れを落とす。

作業をスムーズにするため、ナンバープレートなどの外装パーツを取り外すこともある。こうすることで隅々まで手が届くようになり、丁寧で確実な作業ができるようになる。

水洗いが済んだらエアガンを使って水分を吹き飛ばす。部位によってはアルコールで清拭して水分を完全に除去する。コーティング作業にとって、水分は天敵だ。

指先やブラシが入らない狭い場所には、セーム皮と竹串を使って汚れを落とす。金属だと硬すぎてキズをつけるし、樹脂だと柔らかすぎて汚れを落とせない。剛性と柔軟性のバランスがいい竹が最適なのだそうだ。

水分を完全に取り去ったら、研磨作業(ポリッシュ)に入る。バイク専用にあつらえた小型ポリッシャーを使い、金属や樹脂など磨く部位の素材に合わせた数種の研磨剤を使い分けて磨き込んでいく。

研磨用のポリッシャーは4種を使い分ける。大きさやトルクの違いもあるが、「ダブルアクション」と呼ばれるポリッシャー(右から2本目)は、通常の回転と違って中心軸をずらしながら回転するため、デカールなどの段差部分などにキズをつけにくい。

研磨によるキズの除去の効果を見てみよう。これはいわゆる引っかき傷で、ジャケットのジッパーやホック、キーホルダーなどでつけてしまいがちなものだ。

10軽い引っかき傷ならこのとおり、ポリッシュ研磨によってきれいに消せる。キズを除去できるかどうかの基準は、爪で触ってみてひっかかりがあるかどうか。爪が入り込むくらい深いと消すことはできない。

11このキズは摩擦によってできたもので、クリア層の表面が剥離している。この程度であればポリッシュ研磨で目立たなくするくらいまでキレイにできる(完全に除去はできない)。

12立ちゴケによってできたキズはクリアを通り越して塗装面も剥げてしまい素材が見えてしまっている。もちろん消すことはできないが、研磨することで目立たなくすることは可能だ。

13いよいよコーティング作業。Dukeではあらかじめ混合させた2液式のコーティング剤を使用している。今回施工したのはガラス系コーティングだ。セーム皮に浸したコーティング液をまんべんなく、かつ均一になるよう丁寧に塗布していく。

14コーティング剤を硬化させた状態がこれだ。透明度が高いことがわかる。これがミクロン単位の皮膜となり、ボディをコートすることで防汚効果を発揮するというわけだ。

15コーティング剤は硬いため、基本的に柔らかい素材に対しては耐久性が落ちてしまう。素材が変形したときに剥離してしまうからだ。とはいえDukeではこうした柔らかい樹脂素材にもコーティングを施工してくれる。

16コーティングが済んだら、乾燥工程に入る。紫外線を放射する専用ドライヤーにてじっくりと乾かし、コーティング剤を定着させる。通常ならばここで10時間以上乾燥させる。

17コーティングには水の表面張力をなくす「親和性」を持つものと、逆に表面張力を高めて水滴を作る「撥水系」がある。Dukeで使っているコーティングは後者だ。

18ネイキッドやアメリカンなどでも洗車、研磨、コーティング、仕上げという4工程は変わらない。とくにハーレーダビッドソンなどメッキパーツが多いモデルについては、施工面積は少ないもののより丁寧な施工が必要ともいえる。

19柔らかい樹脂の他、エンジンやマフラーなど高熱になる部分へのコーティングについてもやはり耐久性が落ちてしまうため、効果を発揮できる期間が短くなる。だがDukeでは「少しの間でもコーティングの効果を実感してもらいたい」とエンジンにもコーティング施工をしている。

20こちらは三木さんの愛車。5年前にコーティング施工をしてからは水洗いのみだというが、しっかりと効果を発揮している。カウルやタンクには艶があり、ペイントの深みがしっかりと出ている。

20コーティングによる艶を比較するため、スチール製ボックスでテストしたのがこちら。マスキングテープの右側が施工前、左側が施工後。黒に深みが出ているだけでなく、こすり傷も消えているのがわかる。

 

バイクコーティングお申込みの際に「バイクブロスのWEBの記事を見た」と言って頂くと、お持ちのヘルメット、またはお持ち込みの車輌のホイールのどちらかのコーティングを無料で致します。※詳しくはお問い合わせ下さい。

BRAND INFORMATION

有限会社デューク

ボディーコーティングのプロとして20年の実績を誇るデューク。クルマのボディケアは無論のこと、バイクに関しても早くからガラスコーティングの施工を実施しているボディケアの専門店である。その仕事は、ただコーティング剤をボディに塗り込むだけではなく、磨きや洗浄という基本的な作業をプロの手で実施するという徹底ぶりで、リピーターは数多い。バイクレースにもスポンサードするなど、バイクに対する造詣は深く、たよりになる存在なのだ。

 

住所/〒187-0001東京都小平市大沼町2-877-1
電話/042-312-1234

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営業/10:00~19:00
WEBサイト/http://www.duke-i.com/index.php