メイン写真

取材協力/AN-BU 取材・撮影・文/高城一磨 構成/ストリートライド編集部

掲載日/2011年8月10日

ストリートを闊歩するバイクたちの中で、SR、エストレヤ、ハーレーなどクラシカルスタイルをベースにカスタムを施したバイクは、いまだ多く見かける。よき時代を感じさせる造形を自分好みに変え、足として使うシンプルでラフなストリートスタイルは、高級パーツを使用したまばゆさこそないものの等身大の位置にあり、道を賑わせている。今回紹介する名古屋のAN-BU(アンブ)もストリートカスタムを得意とするショップだが、特徴的なのはストリートで人気の路線を2本立てで展開し、しかもオリジナルパーツを駆使して造形に統一感を持たせ、なんでもありのストリートルールの中で巧みに個性を演出しているところだ。それを集約した1台が、このカフェレーサースタイルである。

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現在主力として推しているカフェスタイルは、丸型ライトをオフセットした一体成型のフルカウルに、ショートスクリーンを細かにボルト留めするなど、緻密なレーシーさよりも敢えてラフさを強調。セパレートハンドルを使いながらも前後サスはローダウン、タイヤはバイアスだが太めのエイボン・ベノムなど、「低く太足」といういまの流れを取り込むことも忘れない。ベース車両はヤマハのGX400という70年代後半にデビューした旧車で、180度クランクのパラレルツインを搭載したスタンダードなバイクだ。AN-BUでは、このスタイルを誰でも簡単に楽しめるようにと、フルカウルやシートカウルなどオリジナルパーツをボルトオンで装着できるよう適応車種を拡大中で、GX以外にSR、XS、CB400SS、エストレヤ、スポーツスターなど、ストリートで人気の車種を中心に幅広く対応する。

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もちろん上記車両だけに限らず、車両持ち込みのカスタムにも対応する。もともとAN-BUの母体は4輪修理をメインに行う工場で、鈑金やFRP加工を含め、切った貼ったの世界は得意中の得意。またオーナーの藤田氏はフォーミュラレース(FJ、F4クラス)で腕を磨いた経験を持つドライバーでもあり、また現在はメカニックとして知人のレースをヘルプする、乗っていじれる人である。そんな経歴の人が、ご覧のようなストリートバイクに傾倒するというのも興味深い。その辺りを聞いてみたところ、「走る楽しみを身近なところから始められる機会を設けたかった。もちろん、スタイルは個人でいろいろ楽しめるよう、その手伝いも視野に入れ展開を考えています」とのこと。このGXは、レースを辞めた直後に知り合いから格安で入手したもので、コツコツと手を加えこの形になったのだとか。コンプリート車両の製作も行っているため、お気に入りの車種を指定すれば、なるべく格安でベース車両を入手し、同じようなスタイルにまとめることも可能。また値段の上限が決まっているなら、車種お任せでお願いすれば、極力予算に見合った範囲でカスタムを作り上げるという。一例としては、車両お任せなら50万円前後でカフェスタイルの製作は可能。ご覧のGXレベルになると50万円はオーバーしてしまうが、車両やパーツの組み合わせ次第で調整は可能だから、まずは相談してみるといい。予算は限られるけどカスタムを楽しみたい、そんな人にとっては朗報だろう。

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また写真のGXでは、外装パーツを外しタンクシートの交換を行えば、写真下のようなチョッパースタイルを楽しむことも可能。1台で、まったく異なる2つのスタイルを楽しめてしまうところがユニークである。カフェとチョッパー、異なるカルチャーを日本の旧車を素材に両方楽しむという欲張りなカスタムも、AN-BUなら可能である。

STREET RACER STYLE
右横写真

ロングタンクにショートテール、そしてフルカウルと、60-70年代のレーシングマシンのポイントを取り込み、生まれ変わったGX400。車種自体がレアであるため、判別はなかなか難しい。

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左横写真

セパレートハンドルだが、シート位置も低いために、ポジションはさほどキツクない。小物入れを兼ねたシングルシートカバーを取り外せば、タンデムも可能なフレキシビリティな作りを持つ。

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上写真

フルカウル付きにも関わらず、とてもスリムな仕上がり。カウルボディ下側が膨らんでいるのは、2気筒ゆえクランクケース幅が若干出ているためである。オリジナルマフラーもスリムさに貢献する。

フルカウル付きから一転、パラ2チョッパーに変貌したGX400。ドリルドのロボハンスタイルにステップ、ディアドロップタンク、シート周りに、あとはショートタイプのマフラーが相違点だ。1台で異なるテイストが楽しめる。

前写真

フロント、リアともに18インチのバイアスタイヤだが、フロントはアップハンドルで高さを確保し、タンクのラインを利用してリアの低さを強調する巧みな構成だ。

後写真

リジッド並みにタイヤの上をぺったりと這うリアフェンダー。これもリアを低く感じる要素のひとつだ。このスタイルだと、マフラーはやはりショートタイプが似合う。

CUSTOM POINT

  • スタイリングのキモとなるフルカウルはFRP製。黒ゲル仕上げで表をマットブラックに塗り、敢えてラフな仕上がりを狙う。低いマウント位置もGOOD。

    スタイリングのキモとなるフルカウルはFRP製。黒ゲル仕上げで表をマットブラックに塗り、敢えてラフな仕上がりを狙う。低いマウント位置もGOOD。

  • コクピットもレーシーにまとめる。右上はタコメーター、左は油温計、その下のデジタルメーターはスピードになる。トップブリッジのドリルドが雰囲気だ。

    コクピットもレーシーにまとめる。右上はタコメーター、左は油温計、その下のデジタルメーターはスピードになる。トップブリッジのドリルドが雰囲気だ。

  • 一見シングルシートに見えるが、テール部分はカバーで外せばタンデムも可能になる。オリジナルシートとのセットで、簡単に雰囲気を変えられるのが嬉しい。

    一見シングルシートに見えるが、テール部分はカバーで外せばタンデムも可能になる。オリジナルシートとのセットで、簡単に雰囲気を変えられるのが嬉しい。

  • エンジンは面研で圧縮比アップを行い、パンチのある特性に。キャブは円筒形のピストンを持つミクニのVMφ30mmで、この時代の雰囲気にピッタリのパーツ。

    エンジンは面研で圧縮比アップを行い、パンチのある特性に。キャブは円筒形のピストンを持つミクニのVMφ30mmで、この時代の雰囲気にピッタリのパーツ。

  • シンプルな作りのオリジナルマフラー。カフェ用は少し上に跳ね上がる。バックステップは汎用品を加工、リアショックはショート仕様でストロークは短めだ。

    シンプルな作りのオリジナルマフラー。カフェ用は少し上に跳ね上がる。バックステップは汎用品を加工、リアショックはショート仕様でストロークは短めだ。

  • ブレーキ周りはYZ用ローターにAPロッキードのキャリパーを組み合わせる。フロントローターはRZ用を流用。ホイールはブラックリムにスポークをセット。

    ブレーキ周りはYZ用ローターにAPロッキードのキャリパーを組み合わせる。フロントローターはRZ用を流用。ホイールはブラックリムにスポークをセット。

対応車種拡大中のオリジナルパーツ

  • BALLE フルカウル

    価格:118,000円~
    (スクリーンレス)

    FRP製のフルカウルはスリムさを強調する作りで、仕上がりは黒ゲル。セット内容はカウル本体、取り付けステー、ライト及びウインカーステーとなる。車種によってノーマルメーターは使えないため、別途工夫が必要。ライト穴等カットなしのプレーン仕様も汎用品(ステーなし)としてあり。8月末迄99,000円のキャンペーン価格! 他、カウルのみ63,000円/カット有り72,000円。8月末迄のキャンペーン価格はカウルのみ50,000円/カット有り55,000円。

  • BALLE ロケットカウル

    価格:63,000円

    こちらは新作のロケットカウルで、エッジをきかせた独特の造形を持つ。現在対応車種のバリエーションを拡大中。SR用はステー付きで上記の価格。ステーなしの汎用タイプは31,500円。カラーはブラック、グレー、ホワイトの3種。カフェにしたいがエンジンの造形も楽しみたい人には、ロケットカウルがお薦め。

  • BALLE シートカバー

    価格:26,250円
    (カバーのみ)

    シートカウルと同じ形状を持つシートカバーは、パッセンジャー部分に被せることで、シングルシートスタイルに早変わり。取り付けは付属のラバーバンドでステーにフックさせるだけ。SR用のステー自体はボルトオンでフレームに装着できるため、簡単に装着が可能(汎用品は付属ステーの加工が必要)。カバー内は工具などを収納する小物入れとしても活用できる。SR用39,900円のシートとセットで63,000円。

  • BALLE GASタンク

    価格:72,000円

    こちらはクラシカルスタイルを実現するオリジナルロングタンクで、装着には加工が必要となる車両もある。SR、エストレヤ、GX用他、要望次第でワンオフも可。FRP製でカラーはマットブラック、マットグレー、マットホワイトの3種類。ノーマルシートは取り付け不可の車種もあるので、購入前に確認を。

  • BALLE シートカウル

    価格:39,900円

    リアビューを小振りにまとめるシングルシートカウルは、エッジの立ったタイプ1と、丸みを帯びたベーシックな形状のタイプ2を用意。シート表皮は黒と茶から選べ、ステッチも旧車風に仕上げる。装着はボルトオンを基本とし、オリジナルタンクやカウルと併用すれば、より効果的に。シート長も適度で自由度も高い。

  • BALLE スタビライザー

    価格:12,600円

    フェンダーレスにする場合、左右のフォークを連結するパーツがなくなるため、できればスタビライザーを装着したい。とくにシングルディスクの場合はブレーキング時にフォークが少々よじれるため、安定して走りたいならスタビライザーは必需品だ。カスタム時は、パーツの脱着に伴う車体への影響も考える必要がある。

  • バンテージグリップ

    価格:1,360円

    ハンドルバーに直接巻きつけるグリップテープ。旧車の雰囲気を楽しめる小物だ。使い込んだスレやヤレが、逆に走りこんだ味として雰囲気を盛り上げる。アイデア次第で様々な用途に使えるストリートのバイク乗り注目のお手軽カスタムパーツだ。細部を細かに変えていくだけでも、イメチェンは可能である。

  • AN-BU

    もっと手軽に、でもカッコいい、
    皆がたのしめるカスタムを目指す

    名古屋のAN-BUのカスタム作りは明確だ。「カスタムをもっと身近に」、これを基本にコストパフォーマンスの高い遊びの提案を展開している。そこに「遊びの原点はストリート」という考えをミックスしているから、作り出すものも柔軟。ブログも随時更新中なのでぜひチェックを。

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    ■住所:愛知県名古屋市守山区天子田1-407
    ■TEL:052-776-0651
    ■営業:月~土12~20時/日祝13~18時
    ■定休日:第1・3日曜日
    ■URL:http://www.an-bu.jp/