
2021年モデルとして排気量1,252ccの新型水冷60度VツインRevolution Max1250Tエンジンを搭載し、鳴り物入りで登場した新世代スポーツスター「RH1250S スポーツスターS」。このエンジンは1957年に登場した初代スポーツスターのショベルスポーツエンジンから、1986年登場のエボリューションエンジンへとその系譜が受け継がれてきたスポーツスターエンジンの三代目にあたる水冷ユニットである。
スタイリングはフォーティーエイトを彷彿させるマッシブかつ凝縮感のあるもので、フューエルタンク、シートカウル、マフラーはファクトリーダートトラックレーサーXR750(XR750のマフラーは左出し)をイメージしたレーシーなフォルムを採用し、無二のスタイルに仕上げられている。
可変バルブタイミング機構を備えたRevolution Max1250Tエンジンは最高出力121ps@7,500rpm、最大トルク125Nm@6,000rpmを発揮し、「スポーツ」「ロード」「レイン」と、任意に設定できる2つの「カスタムモード」を加えた5つのライディングモードを搭載。とくにスポーツモードは強烈で、4,000回転あたりからの加速は、体が後方に振り落とされそうになるほど過激なものだ。いわゆるタウンユースならレインモードでも十分だろう。
フレームはフロントフレーム、 ミッドフレーム、テールセクションの3つに別れており、車両重量は228kg。フロントフォークはコンプレッション、リバウンド、プリロード調整機能付きの43mm倒立フォーク、セッティングが見直されたリアサスペンションのトラベル量は51mmから82mmへと約60%拡大されている。これにより、路面追従性が向上し、操作性が格段にアップしている。もちろん765mmのシート高に変更はない。
フロントブレーキはブレンボ製ラジアルマウントモノブロック4ピストンキャリパーを装備。6軸の慣性計測ユニット(IMU)を搭載し、コーナリングABS、コーナリングトラクションコントロールシステム、過度のエンジンブレーキによる後輪スリップを抑制するドラッグトルクスリップコントロールシステムなど、最新の電子装備が満載。メーターは4インチ丸型TFTディスプレイを装備。タイヤ空気圧、エンジン温度、油圧、バッテリー電圧をモニタリング可能。
薄型のソロシートのフィット感は上々で、足つきに関しても大きな問題はないはずだ。ハンドルはアップタイプのナローバー、ステップはフォーティーエイト譲りのフォワードコントロールを採用している。実はこのポジションが曲者で、フォワードコントロールゆえに踏ん張りが効かず、特に乗りはじめは誰もが少々戸惑うことになるだろう。フロント17インチの160というワイドタイヤのため立ちが強く、小手先で曲がろうとしてもうまく曲がってはくれない。しかし体全体を使っての積極的なコーナリングを心掛ければ、小回りやUターンもなんなくこなすことができるはずだ。「クセ」といえば、それまでだが、漫然としたライディングでは思うように走らせることができないこともまた確か。まさに荒馬を「手懐ける」、といったところか……。個性が際立つ無二のスタイリングを含め、スポーツターSはドメスティックモデル特有の優等生的な車両とは対極の、いかにもハーレーダビッドソンらしい異彩のマシンである。
1918年、米国のオレゴン州ポートランドで創業された「WESCO(ウエスコ)」は100年を超える歴史を誇る世界最高峰のワークブーツメーカーである。メイドインアメリカに頑なに拘り、熟練した職人の手により生み出されるウエスコブーツは、その高い機能性により、さまざまな現場のワードワーカーから絶大な支持を得ている。ウエスコブーツはライディングギアとしても十分に機能し、事実、輸入車を中心とした感度の高いバイク乗りからも支持を集めている。用途に応じた豊富なラインナップを取り揃えているウエスコであるが、数多くのカスタムメニューにより、世界に一足だけのカスタムブーツを手に入れることができる点も大きな魅力となっている。
今回紹介するウエスコブーツはレースアップブーツの「WARREN(ウォーレン)」である。ウエスコのレースアップブーツといえば、まずは代表的モデルのジョブマスターが思い浮かぶが、ウォーレンはライトウェイトステッチだけで構成されたアッパー部によりスマートな印象が強い注目のモデルだ。また防水性が高く、バイクライドには打ってつけのレースアップブーツだともいえる。スマートな印象ゆえにタウンユースでも違和感なく履いていただけるはずだ。
使用されるレザーはオイルをたっぷり含んだ柔軟性に優れたチャコールドマーネレザーで、ハイト(踵から履き口までの高さ)はショートタイプの8インチを採用(スタンダードは10インチ)。オーダーにより、6インチから1インチ刻みでロングタイプの20インチまで選択可能。レザーに関してもスエード面のラフアウトや、ツートーン、スリートーンを選択することも可能となっている。
つま先の形状はロワーヒールのラウンド・ボス・トウで、レーシングパターンはレギュラー・トウをチョイス。アイレットはニッケル、ステッチはソール、アッパーともにブラックが採用されている。もちろんつま先の形状やアイレット、ステッチのカラーはお好みに合わせて変更可能。その組み合わせは多岐にわたる。
ブーツの要であるソールには迫力のルックスが特徴的な#100 Vibramが取り付けられている。クッション性、耐久性、耐油性、さらに濡れた路面でのグリップ性に大変優れたソールで、バイク乗りから大きな信頼が寄せられている定番ソールである。またソール交換はウエスコジャパンにて受け付けていただけるので、次回交換の際は違ったソールを選択してみるのもいいだろう。
今回紹介させていただいたウォーレンはウエスコジャパンが2025年2月に立ち上げたセカンドハンドブーツの委託・販売を行うサービス「YOUR WESCO」で販売されているブーツである。以前に発売されたウエスコジャパンの限定モデルや、現在は生産されていない希少なレザーを使用したモデルも数多く販売されているのでご確認いただきたい。
新世代の水冷60度VツインRevolution Max1250Tエンジンを擁した、いかにもハーレーダビッドソンらしい異彩のスポーツスターS。一方、100年を超える歴史を誇る世界最高峰のワークブーツメーカーであるウエスコのスマートなレースアップブーツ、ウォーレン。その相性は申し分のないもので、どちらもオリジネイターたる存在感が際立っている。