
今回ご紹介するのはオーヴァーレーシング製カスタムパーツを組み込んだ「Z900RS」である。コンセプトは「スポーツネイキッドの王道」。Z1、Z2などかつてカワサキの黄金時代を築いた”あの頃のネイキッド”を現行エンジンと最先端の足回りで再現したZ900RS。その素性の良さを正統進化させた公道用カスタムの決定版である。
「目を惹く美しさはもちろん、“いい意味で”見た目を裏切る走りの楽しさを体験してほしい」とオーヴァーレーシングの開発スタッフは胸を張る。カスタム心を刺激するスタイリッシュな外観は所有する満足感を満たし、進化した走りはライダーをかつてない高揚感へと誘うはずだ。まずは順を追って装着パーツを紹介していこう。
82-71-20T:GP-XX ホイール 3.50/6.00‐17 フラッシュチタン Z900RS
定価396,000円
クラシカルな雰囲気と確かな走行性能を両立させた、20本スポークデザインが特徴の最新版アルミ削り出しホイール。GP-TENの設計で培ったY字スポークデザインをさらに発展させた形状を持つ。ワイヤースポークと見紛うほどの繊細で美しいマルチスポークデザインが独特の世界観を演出し、愛車の個性を強く印象づける。190~200サイズのワイドタイヤにも対応し、ハイパワー&マッシブなZ900RSの魅力をさらに惹き立ててくれるはずだ。アルミ削り出しならではの美しい切削跡と3次元デザインは、マシニングと旋盤を組み合わせたOVER独自の特殊技術によるものだ。デザインと軽量化を狙ってスポーク内側まで削り込まれた精密加工に注目してほしい。ホイールは大物パーツだけに目立つのでドレスアップ効果が大きい上に、走行性能に直結するバネ下重量の軽量化にも大いに貢献するものだ。
52-71-12:スイングアーム Snella Z900RS
定価418,000円
フルビレット(総削り出し)構造のメインアームが特徴のスイングアーム。従来の引き抜き材やプレス材、鋳造では成しえない複雑な3Dデザインを実現。削り出しならではの美しい外観とトラス形状だからこその剛性バランスにより、微振動や衝撃をいなしつつ安心感あるトラクションを生み出せる。重量・剛性・周辺パーツとのクリアランスを高い次元で両立。剛性バランスを最適化することで強度としなやかさを実現し、旋回性能や乗り心地までも向上させた。数々のスイングアームを作り続けてきたOVERの経験に基づく確かな性能が、ライディングをさらなる高みへと進化させた。基本寸法はスタンダードと同じ幅と長さに設計されているためノーマル車両にもそのまま対応できる。
83-71-51A:OVER×SUNSTAR ブレーキディスク セミフローティング TypeA Z900RS(18-)
定価123,200円
「止まる」ための性能であるブレーキは、足回りの中でも最重要パーツといえる。ノーマルZ900RSが採用するφ300㎜ディスクは扱いやすいが、攻め込んでいくと物足りない感じが出てくることも。かといって、レーシング用φ320㎜だと公道では効きすぎてしまい、かえってコントロールが難しい場合がある。そこでおすすめしたいのが、こだわりのφ310㎜/板厚5.5㎜/パッドあたり幅33㎜のスペック。
ブレーキディスクメーカーの名門「サンスター」とのコラボによるフルフローティングタイプを採用することで、熱膨張による耐ひずみ性を大幅に向上し、優れたコントロール性とストッピングパワーのバランスを高い次元で両立したのがこの製品。大径ディスク化に伴う重量増に対しては、ブレンボキャリパーに合わせてディスク内側を僅かに削って当たり面を調整することで解決、さらなる軽量化も実現した。これはOVERが考えるブレーキディスクの最適解である。
55-71-02:ロワーステムKIT SIL Z900RS
定価82,500円
フロントフォークを支える地味なパーツと思われがちだが、実はハンドリングに大きく影響するのがステムである。美しいデザインとマッシブな存在感、優れた走行性能のすべてを満たすことを前提に開発されたOVER製ステムキット。単体そのものではなくスイングアームやホイールを含む車体全体のバランス調整も担っているパーツと考えたい。具体的には前後方向に剛性を大きく高めることで強力なブレーキ力を受け止めつつ、横方向の剛性はあえて少し抜くことで旋回性能も高めたという。パーツの裏側を見れば、削り出しならではの精緻な肉抜き加工と計算されたトラス構造に匠の技を見ることができる。
ちなみに最新のGPマシンもロワーブラケット側をガッチリと固めながらアッパーブラケット側は華奢に作るのがトレンドだとか。ステム周りの“捩じれ”を積極的に利用することで、バイクを倒し込んでいったときに実舵角以上に曲がる効果が得られるという。次元の高い話ではあるが、走りのクオリティを高める機能性パーツなのだ。
87-71-03:リンクプレート SIL Z900RS
定価17,600円
リアサスペンションとスイングアームをつなぐリンクプレートを交換するだけで最適なプログレッシブ効果を実現。作動の初動は柔らかく、奥でしっかりと踏ん張る特性とすることで、街乗りやツーリングでの快適な乗り心地とスポーツライディングでの安定感やトラクション性能を向上させた。ドレスアップだけではなく、乗ってこそ真価を発揮するアイテムだ。ちなみに乗車1G(車両+ライダーの重量でサスペンションが沈み込んだ状態)での車体姿勢はノーマルを基本としているので、足着き性やライディングポジションに悪影響がないこともポイントだ。
87-71-01:モノショック R3 OVER×NITRON Z900RS(17-)
定価245,080円
レースの世界でも高い実績を誇るサスペンションブランドNITRONとのコラボによる特別仕様のリアサスペンション「OVER Racing EDITION」が誕生した。基本性能はNITRONクオリティそのままに耐久性も重視することでツーリングからスポーツライディングまで幅広く使えるスペックに仕上がっている。
通常のアルマイト加工と比べ潤滑性に優れるカシマコートを採用し、摩擦係数を大幅に低下させることでフレッチング摩耗や凝着摩耗を大幅に低減させたことにも注目したい。また、カシマコート特有の深みのあるブロンズカラーは高級感を際立たせている。OVER製スイングアームに限らず純正スイングアームでも存分に性能を発揮。完全独立式3wayアジャスター(高速圧側、低速圧側、伸び側の減衰力)の他、プリロードや車高など各種調整機能を備えたフルアジャスタブルタイプ。さらに奥深いライディングの楽しさを味わえること間違いなしだ。
55-71-12:スポーツライディング ハンドルキット Type2 SIL Z900RS/Café
定価103,400円
純正ポジションをよりスポーティに変更するためのハンドルキット。トップブリッジ/ハンドルポスト/ハンドルバーの3点を交換することで、フロントフォークを通じて路面の情報をより正確にライダーに伝える。単なるハンドルバー交換では得られないダイレクトな操作フィールを楽しめるのも魅力だ。セパレートハンドル仕様でバックステップキットとの併用によりレーシーな雰囲気を楽しめる。ハンドルの高さや絞り角も調整可能でスポーツからツーリングまで幅広いシチュエーションに対応。取付けは穴あけ加工を必要とせず、配線の取り回しもスムーズに行えるよう純正スイッチハウジングとレバーホルダーに合わせた専用設計。ハンドルロックも使用可能だ。
51-71-01GM:BACK-STEP 4ポジション ガンメタ Z900RS
定価68,200円
Z900RSのデザインを崩すことなく設計されたバックステップキット。4ポジション(純正ステップ位置から35-40㎜バック/40-50㎜アップ)を選択可能とすることで、力まずに踏み込める自然なステップワークを実現。シフトチェンジやブレーキングでも安定した操作感を得られる。アルミ削り出し&シルバーアルマイト仕上げの機能美に溢れるデザインに加え、ステップバーには滑りにくい切削溝加工を施し、日常での使用からライディングブーツでの走行にも対応した本格的なオリジナルヒールガードを左右に採用。肉厚のメインプレートと合わせてステップ全体の剛性を高めることでライディングフィールも向上させている。純正マスターシリンダーとホース類、ブレーキランプスイッチ使用可能。逆チェンジ、ABSにも対応。
25-712-02:GP-PERFORMANCE フルチタン 4-1 Z900RS(23-)
¥253,000(税込み)
オーソドックスなスタイリングで人気の「GP-PERFORMANCE」をマイナーチェンジしたZ900RS(2023年式)に合わせてモディファイ。集合方式を従来の4-2-1から4-1に変更し、エキゾーストパイプの管長を最適化することで、低速域を犠牲にすることなく高回転の伸びを強化した。サウンドも低音域を拡張しライダーの耳に心地よく高揚感のある音質へと仕上げている。
前傾したパイプレイアウトの見た目や、往年の旧車を思わせる重厚なサウンドはネオクラシックらしさを強調し、Z900RSの魅力をさらに引き出す。フルチタン製で重量5.1kg(STD11.7kg)とノーマルの半分以下の軽さも大きなアドバンテージだ。
政府認証品マフラー。H28年騒音規制/R2年排ガス規制。
跨った瞬間、「スッ」と沈み込む感じ。ノーマルと比べても初期荷重でのリアサスペンションの動きがスムーズで乗り心地が良いし、荒れたアスファルトでもタイヤが路面を舐めていく感じで安心感がある。峠道のコーナーでじわっとアクセルを開けていくと、リアサスがしっかり踏ん張って路面を蹴り出してくれる。しなやかな足まわりとはこのこと。プログレッシブレートの専用リンクがいい仕事をしているのを感じる。
一方でステムやスイングアームなど車体の要となる部分はカッチリと剛性感があって、入力したときに車体が機敏に反応してくれるし、適度に前下がりの姿勢のおかげで初期旋回から良く曲がってくれる。軽量化されたホイールによりバネ下が軽くなっているのも奏功していると思う。セッティングが出ているマシンに乗っていると気分がいいので、ついアクティブに走りたくなるが、そんなときも程よく前傾したライポジと後ろ過ぎないステップが一体感を高めてくれる。マフラーの音も最高だ。直4エンジンはやはり4in1が正統派。かつての空冷Zを思わせるざらっとした無骨なサウンドに痺れる。パワフルだけどアクセルを開けた瞬間の当たりがまろやかで扱いやすく、だからコーナーでも開けられるし扱いやすい。ブレーキタッチも繊細で速度コントロールもしやすいのでコーナー進入時も安心だ。カスタム全体としてZ900RSの素性の良さを引き出しつつ、ワンランク上の走りを見せてくれる。街乗りで熱視線を浴びるのも良し、ツーリングやサーキットで豪快に遊ぶのも楽しいと思う。
とにかく楽しい! 純正のZ900RSの良さを残したまま、もっと軽やかさで乗りやすいというか、安定感もあるのでコーナーも安心して倒していける感じです。まるでミドルクラスに乗っている感覚で曲がるのが楽しい! カスタムってちょっとクセがあったり純正から離れてしまうイメージもあったけれど、元々の乗りやすさはしっかり残していますよね。マフラーもイイ音してますねー、でも爆音すぎないのが好き。いつまでも乗っていたい感じです。
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