
2023年秋に発表されたトライアンフの中型セグメントモデル「SPEED 400(スピード400)」。TRシリーズと名付けられた排気量398ccの水冷単気筒エンジンを搭載した普通二輪免許で乗れるモダンクラシックモデルだ。完全なニューモデルであるスピード400は英国のヒンクレーで企画・設計されており、トライアンフらしい上質な仕上がりと扱いやすい車体特性により、エントリークラスのライダーや女性はもちろんのこと、ベテランライダーからも大きな支持を得ている話題のモデルである。
最高出力40PS @ 8,000 rpm、最大トルクは37.5Nm@ 6,500 rpmを発揮するTRシリーズエンジンは、ボア89.0mm xストローク64.0mmのショートストロークで、単気筒エンジンとは思えない軽快な吹け上がりを見せる。特に6,000 rpmあたりからの加速がすこぶる心地いい。車両重量170kg、シート高は790mmで、絞り込まれたシートとスリムな車体により数値以上の足つきのよさを実現している。ハンドルは肩幅より少し広い印象で、ステップ、シートの位置関係により、非常にニュートラルなポジションを形成。街乗りからツーリングまでストレスなくこなすことができるはずだ。
完全新設計のフレームには、ボルトオンのリアサブフレーム、鋳造アルミニウム製スイングアームを装備。サスペンションは43mmビッグピストン倒立フロントフォーク、リザーバー付きモノショック式リアサスペンション、前後ホイールは17インチが採用されている。フロントブレーキには300mm径ディスク&ラジアルマウントの4ピストンキャリパーを装備し、必要十分な制動力を発揮する。ややサスペンションがソフトな印象を受けたので、タンデム走行や荷物を積載する際は、リアのプリロードを調整し、ベストな乗り心地を探ることをおすすめする。
価格は69万9,000(税込)という70万円を切る戦略的なもので、同セグメントの国内モデルとも十分に渡り合える魅力的な設定になっている。この価格でプレミアムモーターサイクルのトライアンフが手に入るのだから、人気が出ないはずがない。セカンドバイクとしてはもちろん、1台目のバイクとしても非常に満足度の高いモデルに仕上げられている。
輸入車を中心としたバイクユーザーから絶大な支持を得ている世界最高峰のワークブーツメーカー「WESCO(ウエスコ)」。1918年に米国のオレゴン州ポートランドで創業されたウエスコは100年を超える歴史を持ち、メイドインアメリカにこだわり続ける数少ないレジェンドブランドである。熟練したブーツ職人により生み出されるウエスコブーツは、米国では消防士などのハードワーカーからガソリンスタンドやドラッグストアの店員に至るまで幅広い現場で愛用されている。質実剛健のウエスコブーツであるが、豊富なカスタムメニューにより世界にただ1足のカスタムブーツを製作することができる。オーナーそれぞれの用途や好みに合わせて製作されたカスタムブーツは、人生の相棒にもなり得る特別な存在と言える。
数多くのモデルをラインナップするウエスコであるが、今回はレースアップブーツの「HENDRIK(ヘンドリック)」を紹介しよう。ウエスコの代表的なレースアップブーツと言えば、まず「JOBMASTER(ジョブマスター)」が思い浮かぶが、ヘンドリックはレースアップブーツのウエスタンモデルとも言える「PACKER(パッカー)」から派生したエレガントな印象のモデルである。
特徴的なのはつま先の形状で、踵が低く、甲からつま先にかけて薄いシャープなフォルムのモーターサイクルトウと、踵が高く、甲からつま先にかけて薄く、やや尖ったナロートウの2パターンから選ぶことができる。さらにトウキャップが標準装備されている点も見逃せない。トウキャップは穴飾りを配したドレストウキャップに変更することも可能。今回紹介するモデルはナロートウ&標準装備のトウキャップが取り付けられている。バイクライドのことを考えれば、シフトチェンジによるダメージからつま先を保護する意味でもこのトウキャップは非常に有効な装備と言える。
レザーはブラウンのラフアウト(裏革)でハイトは7インチ、レーシングパターンは標準的なレギュラートウ、アッパー部に使用されるライトウエイトステッチはブラウン、ソールを固定するヘビーウエイトステッチにはカーキをチョイス。アイレット&フックは日本限定のブラウンが取り付けられている。ソールはウエスタンソールと呼ばれる#269ビブラムで、軽量かつエッジの効いたフォルムが特徴となっている。
バイクギアに求められる強度や耐久性、防水性に関しては、なにひとつ犠牲にすることなく、ドレッシーさを兼ね備えた稀有なモデル、ヘンドリック。ブラックやブラウンの表革を使用し、ハイトを低くしてドレストウキャップを選択すれば、スーツなどのフォーマルウエアにも違和感なく合わせることができるはずだ。「タフ&ドレッシー」。ヘンドリックを簡潔に言い表すなら、このひと言に尽きる。