
2023年10月にジャパンプレミアが行われたハーレーダビッドソンの世界戦略モデル「X350」と「X500」。普通二輪免許で運転できる唯一の現行モデルであるX350に、とかくスポットが当たりがちであるが、今回は上位モデルのX500をフィーチャーし、その魅力に迫る。
Xシリーズは日本に先行して中国マーケットで発売されたモデルだが、米国本社のミルウォーキ-で設計され、生産はイタリアのベネリを傘下に収める中国の銭江モーターによって行われている。X500はハーレーの公式アナウンスでは「アメリカンロードスターモデル」と紹介されているが、いわゆる一般的なネイキッドモデルだ。
その心臓部には排気量500ccのDOHC4バルブ、クランク角360°の水冷式パラレルツインエンジンを搭載し、6速トランスミッションが組み合わされている。ボア69mm xストローク66.8mmという、ほぼスクエア型のエンジンはシャープに吹け上がり、最高出力47HP@8,500rpm、最大トルクは46Nm@6,000rpmを発揮する。
前後ホイールは17インチのアルミキャストタイプ、フロントフォークはリバウンド調整機能を備えたφ50mmの倒立式。リアサスペンションはプリロード&リバウンド調整機能付きのモノショックとされる。フロントブレーキは対向4ピストンのラジアルマウントキャリパーのダブル、リアはシンプルな片押し1ピストンキャリパーを装備している。シート高は820mmで車両重量は208kg。ライディングモードは搭載されておらず、メーターはシンプルなアナログ式だ。
エキゾーストサウンドは、とてもノーマルマフラーとは思えない迫力あるもので乗り手を高揚させる。エンジンはトルクフルかつ軽快で、特に6,000回転辺りからの加速感は痛快である。ポジションはアップライトなもので視界も広く操作性は高い。ブレーキのタッチにやや不満を感じるが、しっかりと握り込むことで制動力を発揮するタイプで、大らかなハーレー的と言えばハーレー的なブレーキだ。価格は83万9,800円(税込)。同等クラスの他メーカーモデルと比べても十分に競争力のある価格設定だ。気軽に乗れるハーレーダビッドソンとして非常に魅力的なモデルに仕上げられている。
世界最高峰のワークブーツメーカー「WESCO(ウエスコ)」は1918年に米国オレゴン州ポートランドで創業され、現在に至るまでメイドインアメリカを貫き続けている稀有なブランドだ。熟練した職人の手によりハンドメイドで生み出される質実剛健のウエスコブーツは、バイクギアとしても高く評価されており、事実ハーレーユーザーを中心に広く愛用されている。
数多くのモデルをラインナップするウエスコだが、代表的なモデルにエンジニアブーツのBOSS(ボス)がある。1939年に機械作業用の安全靴として生まれたボスは、最高峰のモーターサイクルブーツとしても広く認知されている。
豊富なカスタムメニューにより、世界でただ一足のオリジナルブーツを製作することができる点もウエスコの大きな魅力だ。使用するレザーの種類やカラー、その組み合わせ、ハイト(踵から履き口までの高さ)、トウプロフィール(つま先の形状)、ソール、ステッチのカラー、ボスで言えばバックルの種類やカラーも変更することができる。オーナーの用途や好みに合わせ、ウエスコブーツのカスタムには、それこそ無限の組み合わせが存在する。
ここで今回ピックアップするボスの仕様を紹介しよう。ハイトはスタンダードな11インチ、ソールは無骨なルックスと耐久性・耐油性・屈曲性に優れた#100 Vibramを選択。ハードなイメージのボスにベストなソールだ。
トウプロフィールはボス・トウ(ラウンド・トウ)をチョイス。ボスのスタンダードはつま先が盛り上がったバブル・トウなのだが、丸みを帯びたハイトの低いボス・トウに変更されている。ステッチは標準的なホワイト&ブラウンを選択。バックルも標準的なニッケルメッキが取り付けられている。
レザーはスタンダードなブラックレザーを使用。シャフト(筒状の部位)にはブラックのレザーライニングが取り付けられている。これによりブーツ全体が二枚革になり防水性と耐久性が向上、さらにシャフト部分に張りが出るのでプロテクト効果もアップ。まさにバイクギアとして最適な仕様と言える。
このボスを端的に言い表すなら「The Standard Boss」という、ひと言に尽きる。豊富なカスタムメニューにより、個性的なブーツに仕上げることも可能であるが、ワークブーツの本分である質実剛健さを貫く普遍的なボス。実用性に富んだシンプルなハーレーダビッドソンX500との相性も申し分なし。ウエスコブーツの一足目としても、ぜひお薦めしたいモデルである。