
その日は朝起きてからなぜか無性にうずうずしていた。
シャワーと朝食を簡単にすませ身支度を整えてから仕事に出かけようとシュークローゼットの靴に手を伸ばした時、ふとライディングブーツが目に止まった。
"ああ、私はバイクを走らせたかったのか"
それに気づくと衝動を抑えることはできなかった。一度着こんだ服を脱ぎ捨てライディングギアに着替えてからガレージに入る。腕に一筋のライン、背中には薔薇とチェッカーフラッグ。数台置かれたバイクの中から、他の車両には目もくれずX350に跨り路上へと滑り出した。
サボタージュは趣味ではないので仕事をちゃんとこなしてから、私とX350の濃密な時間を楽しむ。
私のところへX350が来たのは少し前のことだった。これまで何台かのバイクを乗り継ぎ、今もまだ排気量の大きなモデルなどもあわせいくつか所有している。ただ、東京を走るなら、私は迷わずX350を選ぶ。
ローズレーサーメッシュヘンリーTシャツ ¥11,343(税込)
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理由は大きすぎず、かといって小さすぎることもないサイズ。同じクラスのバイクと比べて決して軽いほうではないし、むしろやや重量がある。でもその重みが伝わってくることに安心する。驚くほど滑らかなフィーリングで力強く車体を前へと押し出すパラレルツインエンジン。他のバイクとは間違いなく一線を画しており、いつまで見ても飽きることがない特別なスタイリング……、数え上げればきりがない。
そして何よりも、X350は今の東京の街並みに溶け込むほど良く似合う。
東京は生まれ変わろうとしている。長年親しまれてきたランドマークが姿を消していることを知ると寂しさを覚えるけれど、今まではそこに無かった道が、ある日突然開けているのを見つけると嬉しくてたまらない。
時代が移り変わり未来を感じさせるモノ、コト、バショが溢れかえっているのだ。
X350はハーレーダビッドソン初となる普通自動二輪免許で乗れるモデルでありながらも、往年のダートトラックレーサー、XR750をオマージュしたスタイリングで纏められている。
新旧の共存。これがX350と東京を上手く混在させているレシピのポイントになっているのかもしれない。
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X350とともに東京に溶けるその感覚が、私を奮い立たせる。
今日も私は東京ストリートライフを謳歌する。