イカ、赤牛、大自然を堪能! 「名門大洋フェリーで行く九州ツーリング」
掲載日/2022年9月13日
取材協力/名門大洋フェリー
取材、撮影/稲垣正倫 
構成/バイクブロス・マガジンズ
遠方にツーリングをしに行く時、移動手段として人気なのがフェリーです。自分のバイクとともに移動することができ、目的地までは寝ているだけで着いてしまう。移動時間をも優雅に楽しめる「名門大洋フェリー」に乗って、大阪・南港から北九州・新門司港へ。糸島・阿蘇エリアのツーリングを満喫してきました

最近は近場も行き尽くしちゃったし、ちょっと遠い場所へ「スペシャルな」ツーリングに出かけたい。でも、風雨に耐え忍びながら何百キロも高速道路を移動する自信がない……。そんな時におすすめしたいのがフェリーを移動手段に組み込んだ長距離ツーリングです。今回は関西発ということで、大阪・南港から北九州・新門司港を結ぶ「名門大洋フェリー」を利用して糸島・阿蘇エリアを満喫。フェリーを使ったバイク旅の魅力をお伝えします。

フェリーを使ったツーリングのメリット・デメリット

・疲労
長距離の自走は体力を必要とし、休憩を挟んだとしても九州に着くまでにかなりの疲労が溜まるでしょう。肝心の目的地に着いたはいいけど、すでに眠気や疲れでフラフラ、なんてことでは本末転倒です。一方、フェリーはいうなれば「移動するホテル」。船上にいる間にたっぷり睡眠をとることができ、朝起きたら九州に到着しているため、到着してすぐ元気なままツーリングの舞台を楽しめます。

・時間
自走で大阪から北九州へ行く場合、高速道路使用・休憩なしでの所要時間は約7時間ほど。一方、フェリーでは12時間40分かかるため、単純に時間だけで見るとフェリーの方が長い。しかし、自走は出発時間によっては休憩や時には宿泊が必要な場合もあり、正確な時間が読みにくいだけでなく、当然移動中は常にリスクにさらされます。

・コスト
大阪から高速道路を使って九州へ行く場合、高速料金のみで片道2万円ほどかかります。もちろんここにガソリン代がプラスされますよね。一方、フェリーを利用する場合はバイク運賃(自動二輪車750cc未満)5290円(税込)と旅客運賃(ツーリストルーム)8840円(税込)で1万4130円(税込)。また、125cc以上の車両で利用する場合、WEB予約を使えば片道1万500円(税込)になる「ぶんぶんフェリー」という期間限定プランも用意されています。※価格は季節によって変動があります

さらに、シティライントラベルでは名門大洋フェリーで楽しむ船旅プランが多数用意されています。ライダー限定「九州宿泊バイクフリープラン」は、往復のツーリスト船室/バイク1台の運賃/ホテル1泊(朝食付き)込みで1人3万1000円(税込)〜3万3000円(税込)。割引や船旅プランを使えばさらにお得に旅を楽しむこともできるのです。※価格は季節によって変動があります

・旅感
そしてこれが最大の魅力。フェリーをスケジュールに組み込むことで、いつもの自走では感じられない「旅感」がグッとアップします。乗船・下船時の高揚感、日の出・日没時に見られる洋上の景色……。船の中に「泊まる」という経験すべてが非日常感をブーストしてくれます。

今回ツーリング旅を楽しんでいただいたのは、全日本トライアルレディースライダーの小玉絵里加さん。トライアルはもちろん、小玉さんの父、小玉健二さんがホンダドリーム八尾を運営しているということで、バイクに触れる機会やツーリングを楽しむ機会は多くあるそう。今回の九州ツーリングは、小玉さんの愛車CBR250Rで走ります! 

「名門大洋フェリー」の乗船予約はWEBで行うことが可能。WEB予約をしておくと乗船前には携帯にQRコードを見せるだけなので、スムーズに乗船できます。


手続きを終えいざ船内へ。船の入り口に向かって走っていく瞬間、胸が高まるのを感じます。なお、スタッフの方がバイクをしっかりと固縛してくれるので、北九州・新門司港までの船旅を安心して楽しむことができます。それでは、北九州へ出発!


「名門大洋フェリー」は、上りの北九州・新門司港〜大阪・南港と下りの大阪・南港〜北九州・新門司港、ともに、17:00〜翌5:30と19:50〜翌8:30の2便で運航しています。今回は時間が遅い2便目に乗船。こちらの便では、21:00頃になると船が明石海峡大橋の下をくぐります。タイミングに合わせて外へ出てみると、明石海峡大橋が目の前に! さらに、左手には淡路島、右手には神戸の夜景が広がります。海の上から夜景を楽しむのがフェリー移動の醍醐味。潮風を感じながら見る夜景は格別な気持ちよさがあります。

ご飯やお風呂を済ませてあとは寝るだけ。眠りについて起きると北九州・新門司港到着まであと少しとなります。


早朝にはゆっくりと上る朝日を眺めることも。バイクでは味わえない「旅感」を楽しむことができます。


到着時刻はそこまで早くないため、7:00に起きても朝ごはんを食べて準備する余裕があります。8:30、北九州・新門司港に到着。12時間40分の船旅でしたが、ほとんど寝ていたのであっという間に着いた感覚です。たっぷり休めたので元気満タン。船から降りたところで、九州ツーリングのスタートです! 

糸島・阿蘇エリアを満喫する九州ツーリング

海を見ながら写真スポットを巡る、糸島エリア

今回のツーリングは1泊2日。1日目は糸島〜阿蘇、2日目は阿蘇〜北九州・新門司港という、北九州を楽しむルートになっています。北九州・新門司港から高速道路を使って約1時間半。福岡県の北部、糸島は地図を見るとわかるように海に面した地域になります。そのため、海を背景にした写真スポットが集まっていることでも有名。海沿いのツーリングを楽しみながら、各所で思い出を写真に残すことができます。


福岡と言えば牡蠣のイメージも強いですが、今回お昼ご飯にいただいたのはイカ。「西ノ浦イカ活造り 波平」さんでは、お店近くの西浦漁港から獲れたてのイカを仕入れ、活き造りにして提供しています。料理が運ばれて来た時にはまだイカが動いていて、箸でつつくと身をひねるように動く新鮮さ。イカの身の柔らかさは絶品です。上に乗っているお刺身を食べたら、残った身を一度店員さんに戻します。少し待つと、イカはお刺身から天ぷらになって再登場。こちらのお店では2度に分けてイカを提供してくれるため、お刺身と天ぷらを一度に楽しむことができちゃうんです。贅沢!


ヤシの木ブランコのエリアには、名前になっているヤシの木のブランコやサメなど写真スポットがたくさん。小玉さんもカメラロールに思い出を残していました。また、近くにビーチガーデンもあるため海水浴を楽しむこともできます。


こちらは縁結びスポットとして知られている「夫婦岩」。白い鳥居と2つ並んだ夫婦岩は写真スポットとしても人気を集めています。こちらでも一枚パシャリ。


さらに海沿いを進むと、ロンドンバスが見えてきます。こちらはジェラートやホットドッグ、ドリンクを売っている「糸島 LONDON BUS CAFE」さん。テラス席とロンドンバス自体が飲食スペースとなっていて、こちらもお店の前や店内で写真を撮ることができます。

暑い中バイクで走ってきたのでここで休憩。先ほどお昼を食べたので、デザートに糸島の塩味とラズベリー味のジェラートをいただきます。窓から見える海に癒され、心も安らぎますね。

北九州を下って緑豊かな阿蘇エリアへ


海沿いを堪能したところで、1日目の後半は宿泊先がある熊本県阿蘇市に向かって九州を南下していきます。阿蘇に向かう途中にあるのは菊池渓谷。そこには様々な滝が各所に流れており、マイナスイオンを全身で感じることができます。


菊池渓谷から菊池阿蘇スカイライン/国道45号を16kmほど進んでいくと到着するのが「大観峰」です。こちらは阿蘇に来たら是非とも訪れていただきたいツーリングスポット。緑豊かな牧草地帯を抜けていく開放感はツーリング好きにはたまらない気持ちよさ! 小玉さんも「楽しくて、ずっと走っていたい!」と、大観峰を堪能していました。なお、季節によって新緑や紅葉などの様々な顔が見れるのも楽しみの一つです。

また、標高936mの大観峰は展望台から阿蘇五岳を一望することができ、その迫力は圧巻。日の出や日の入りのタイミングに行くと、朝日や夕日に照らされる山々を眺めることができます。なお、一日を通して半袖でも暑いと感じていましたが、標高の高い大観峰に着くと風は涼しく、むしろ一枚ジャケットが欲しいくらいの気温の低さに。夏のツーリングにはピッタリの涼しさですが、季節や寒暖差を考慮し衣服を用意しておくとよさそうです。


宿泊先は大観峰から15分ほどの場所に位置している「阿蘇プラザホテル」。お部屋からは、先ほど走ってきた外輪山を眺めることができます。さらに、7階には露天風呂もあり、一日を通して訪れた場所を思い出しながら旅の疲れを癒すことができます。


「阿蘇プラザホテル」の裏にはパワースポットも。石に囲まれた中心に立つと、スプーンを曲げることができるのだとか。

2日目は熊本の自然を大満喫

ツーリング2日目は新門司港に戻りつつ、熊本の自然を巡っていきます。



阿蘇で有名な絶景スポットのひとつと言えば「そらふね桟橋」です。駐車場から10分ほど歩くと目の前が開け、阿蘇の町を見渡せます。「そらふね桟橋」は展望台になっており、桟橋の先に立つと、絶景を独り占め。早朝や夕暮れ時のタイミングで来ることもおすすめです。

この旅のグルメのもうひとつの目的「赤牛」を求め、「いまきん食堂」さんへ向かいます。赤牛は阿蘇を代表する和牛肉。赤みが多く程よい脂肪分を含む、うまみと柔らかさが美味しいお肉です。



写真を見るだけで肉厚さと美味しさが伝わってきますね...... 「いまきん食堂」さんは地元の方にも人気のお店で、土日は3時間待ちになることも。お肉の上には少し甘めのタレに温泉卵やわさび、お味噌がトッピングされ、何通りもの味を楽しむことができます。




美味しいものを食べて幸せに包まれたところで、再出発。阿蘇を北上していく道中には「鍋ヶ滝」があります。緑と滝、そこに差す陽の光はなんとも美しく、思わずうっとり。側から見たらカーテンのような柔らかな印象を受けますが、滝の裏を通った時に感じる迫力には圧倒されます。

鍋ヶ滝からは耶馬溪を通って東九州自動車道へ。九州の自然を最後まで楽しみ、北九州・新門司港に到着です。


北九州・新門司港を出発する時、日の入り間際の空のグラデーションが鮮やかに見えました。港にいるスタッフの方のお見送りを受けながら九州を離れます。

「名門大洋フェリーで行く九州ツーリング」いかがですか? 海、山、滝、九州には自然を感じる場所がたくさんあり、開放的な自然の中を走るのは気分爽快。美味しい食べ物と自然に触れることで心も癒されます。大阪から九州地方への距離は遠く感じ、行ってみたいけど距離が遠いと思っている方も、フェリーを使えば気軽に九州へ行けちゃいます。ぜひ体験してみてください。

快適な船内時間が過ごせる「名門大洋フェリー」


フェリー内に入り、最初に出迎えてくれるエントランスは広々とした開放感を感じられます。各部屋につながる階段は上品な印象で、船旅への気持ちが高まります。

ゆったりと海を眺める「展望ラウンジ」


エントランスの階段を上ると、椅子と大きな窓がある展望ラウンジがあります。こちらで海をゆったりと楽しむことができますよ。

豊富なメニューを揃える「展望レストラン」



レストランはバイキング形式となっていて、和食から洋食、デザートまで豊富に取り扱っています。好きなものを好きなだけ食べることができますよ。

目的地に着くまで運転はしないので、生ビールも飲めちゃいます。フェリーの夜といえば、ビールを楽しみにしている方も多いのでは? 小玉さんも楽しみにしていたようで、レストランに着くとビールサーバーがあることをチェック。夕ご飯とともに一杯いただきました。

海を一望できる「大浴場」


海の旅を楽しむ場所として、大浴場もあるんです。疲れを癒すのはもちろん、湯船に浸かりながら海を眺めることができます。フェリー内でしかできない貴重な経験はまさに自走では味わえない「旅感」。夜は18:30〜0:00、朝は6:00から入浴可能です。

また、感染症対策として、モニターで混雑状況などを表示。空き具合がわかるのは嬉しいですね。

ホテルのようなリラックス感がある「客室」



一通り船内を楽しみ、あとは寝るだけ。客室は最上級のスイートから相部屋のツーリストルームまで完備しており、客室に向かう前に受付で鍵を受け取るシステムになっています。まるでホテルに宿泊しにきたかのような気分になれますよ。


今回、小玉さんが宿泊したお部屋はシャワー・トイレつきのスーペリアルーム。ベッドが3台あるため、複数人での利用も可能です。トイレ・シャワールームに加え、テレビや机など、まるでホテルの一室のような空間なので、お部屋から一歩も出ずに、リラックスした状態で船旅を楽しむこともできちゃいます。

また、スーペリアルームには女性専用のレディースルームも用意されています。シャンプー・リンスやヘアミルクなどアメニティが充実。さらに、インテリアやカーペットも専用のデザインとなっています。



お手頃な価格で旅を楽しみたい方には「ツーリストルーム」がおすすめ。相部屋のカプセルタイプのお部屋です。頭上には、コンセントの下に物置き台やドリンクホルダーが設置。コンパクトなお部屋ながら、収納スペースが十分に備わっています。さらに、通気口も完備され、感染症対策も行われています。

日用品も揃う「売店スペース」



売店スペースでは、名門大洋フェリーのオリジナルグッズや、関西・九州のお土産が揃っています。また、食べ物や日用品も取り揃えているため、歯ブラシなど忘れ物をしても購入することが可能。

さらに、船に乗船した記念として御朱印ならぬ「御船印」も販売されています。様々なフェリーに乗って、御船印を集めるのも楽しいです。

INFORMATION

株式会社名門大洋フェリー
住所/大阪市西区江戸堀1-9-6(肥後橋ユニオンビル2階)
電話/06-6449-7155