2022年のMotoGPは、近年稀に見る……と言いたくなるほど、面白いことになっている。まずは最高峰のMotoGPクラスの事情を記すと、開幕前はヤマハ/ドゥカティファクトリーのエース、2021年の覇者であるファビオ・クアルタラロと、2021年後半に圧倒的な強さを発揮したフランチェスコ・バニャイアが、チャンピオンの有力候補と見られていた。とはいえ実際にシーズンが始まると、2人はまさかの大苦戦。
クアルタラロは第5戦でようやく初勝利を挙げたものの、最高速とグリップがいまひとつと言われているYZR-M1の戦闘力を考えると、タイトル防衛は容易ではないだろう。いずれにしても2022年のMotoGPクラスは、誰が勝っても不思議ではない、混沌とした状況なのだ。
なお2022年序盤の勝者は、第1/4戦:エネア・バスティアーニ(ドゥカティ)、第2戦:ミゲル・オリベイラ(KTM)、第3戦:アレイシ・エスパルガロ(アプリリア)で、2021年終盤の第17/18戦ではフランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ)が連勝を飾っている。日本勢が6戦連続で表彰台の頂点を逃したのは、おそらく、フィル・リードとジャコモ・アゴスチーニを擁するMVアグスタが圧倒的な強さを誇った、1973年以来のことである。
MotoGP以上の大接戦が毎回楽しめる、Moto2とMoto3で注目するべきは、小椋藍や佐々木歩夢を筆頭とする、若きジャパニーズライダーの活躍。すでに表彰台争いの常連となりつつある彼らの走りに、胸が熱くならない日本人はいないだろう。もちろん、MotoGP参戦5年目を迎えて、今年が正念場と言われている中上貴晶にも、多くの日本人が初表彰台、初優勝を期待しているはずだ。
さて、とりあえず現実の話をしてみたが、そういった事情を把握している人が「MotoGP™22」をプレイしたら、ドハマリするに違いない。何と言ってもこのゲームは、普段は応援しているレーシングライダーの立場になって、百戦錬磨のライバルたちと抜きつ抜かれつを楽しみながら、世界各国のサーキットを転戦できるのだから。
ちなみに現在の僕は小椋藍選手になって、2022年シーズンのMoto2クラスを転戦中である。当初はあまりにヘタすぎて、何だか本人に申し訳ない気持ちになったものの、ゲームを始めて約2週間が経過した今は、徐々に本物の小椋藍選手に近づいている……ような気がしている。
冒頭で述べたように、2022年のMotoGPはムチャクチャ面白いのだけれど、僕を含めたレース好きは心のどこかに、ロッシロス……を抱えているはず。四半世紀以上に渡って我々を魅力し、2021年にMotoGPから引退した伝説のライダー、バレンティーノ・ロッシがサーキットを疾走する姿は、今年はもう見ることができないのだから。
そんなレース好きを気遣ってくれたのだろう、「MotoGP™22」には、ロッシが9度目にして最後のチャンピオンを獲得した、2009年シーズンの追体験モードを設定している。しかもプロローグとして、2008年以前のロッシの活躍も動画で収録。これはもう、ロッシ好き、MotoGPマニアにとってはたまらない設定で、個人的には“さすがマイルストーン‼”と、声を大にして言いたい気分だ。
以下に2009年の概要を説明しておくと、当時のロッシの愛機はヤマハYZR-M1で、同じマシンを駆る若き日のホルヘ・ロレンソ、2007年にドゥカティ初のMotoGP王者を獲得したケーシー・ストーナー、この年から名実ともにホンダのエースに昇格したダニ・ペドロサと、序盤は四つ巴のバトルを展開。とはいえ、シーズン中盤にランキングトップに浮上したロッシは、後半は安定した走りを続け、最終的には17戦中6勝を挙げて王座を獲得した。
あのシーズンをレーシングライダー目線で追体験できるなんて、やっぱりロッシ好きとMotoGPマニアにとってはたまらない設定である。そして伝説のライダーの偉大さを再認識した僕は、来年以降のこのゲームでもロッシを語るうえで欠かせないシーズン、NSR500で初の最高峰クラス王者となった2001年、RC211VでMotoGP初年度を制した2002年、ヤマハに電撃移籍してチャンピオンを獲得した2004年のいずれかが、追体験モードして設定されることを期待しているのだった。
映像がリアルなのは、今時のゲームなら当たり前。この「MotoGP™22」の本当のリアルさは別のところにある。例えば雨の日のタイヤのグリップの違いや、ゼブラに乗り上げた時の衝撃、スリップストリームに入ればタイヤやブレーキの温度に影響があるし、レースが進むとタイヤが偏摩耗を起こす。さらにサーキットの途中にあるブリッヂの下を通過するとエンジン音が反響して聞こえるところまで、ものすごくリアル。
マシンの排気量によって操作性が変わるのも、本物と同じ。さらにこのゲームではサスペンションのセッティングやタイヤのコンパウンド、キャスター角、スイングアームの長さ、ギア比、トラクションコントロールの介入レベルなど、様々な調整を行うことができる。もちろん実際のレースでは、これらのセッティングは適当に決めることはできず、テストを重ねて決定していく必要がある。
そう、なんとこのゲーム、一つのレースをするのにウィークエンドを丸々体験することが可能なのだ。フリー走行や公式練習でセッティングを出し、予選でポールポジションを狙い、決勝レースで優勝を目指す。そんなリアルなMotoGPの週末を丸ごと楽しむことができてしまう。もちろん、時間がない人や、気軽に決勝レースだけを楽しみたい人のために、それらの手順を省略することも可能になっている。
自らのライディングスキルとともにライダーを育成し、MotoGPチャンピオンを目指すことができるキャリアモードも搭載されている。このモードでは自分のチームを作ってレースで賞金を獲得し、エンジンやフレームを開発していくといったチームマネジメントも楽しむことができてしまうのだ。
発売日:2022年4月28日(木)
機種:
・ダウンロード版:PlayStation4、PlayStation5、Xbox One、Xbox Series X|S、Nintendo Switch、Steam、Nintendo Switch
・パッケージ版:PlayStation4、PlayStation5のみ
価格:PlayStation4、PlayStation5版、Xbox One版、Xbox Series X|S版/8,778円
CERO:A
初回特典:
・パッケージ版「VIPマルチプライヤーパック」(獲得できる評判ポイントが2倍に)「スペシャルスーツ」※初回版限定特典
・ダウンロード版「VIPマルチプライヤーパック」※発売前日までに予約した方が対象