
愛知県豊田市で開業16年目となるルサンバレーがロイヤルエンフィールドの取り扱いを始めたのは2020年12月のこと。名古屋駅からは車でも電車でも1時間前後でアクセスできるバイク乗りとしては実にほどよい距離があり、愛知・三重・岐阜を主な商圏としている。代表の岡田さんはサラリーマン時代にツーリングツアーで訪れたアメリカの砂漠で、その魅力にどっぷりハマり、次第にメキシコのバハカリフォルニアに通うようになった根っからのバイクフリーク。ロイヤルエンフィールドを扱いつつも、オフロードバイクライダーの間口を広げるために精力的に活動をしており、その豊富な経験と確かなスキルで、林道ツーリングからちょっとしたレース遊びまで様々な遊び方を提案してくれる。
店内には岡田さんが愛するバハカリフォルニアのルートマップや思い出の写真がたくさん飾られていて、バイクがもたらしてくれる非日常の世界の究極形を疑似体験することができる。
「元々は自分がオフロードバイクが好きで、お客さんのフォローをしながらレースを一緒に回ったりしながらお店をやっていたんです。トライアルからモトクロスまで、ラリー以外は、オフロードは一通りやりましたね。それでもうちはレース屋さんではなくて、もっと入り口。初めてオフロードバイクを買う人から、ちょっとレース遊びする人くらいまでが多くて、僕は一人で始めたそういう人たちを、然るべき居場所へ導いてあげる役だと思っているんです。今の時代はSNSが発達してきていて、コミュニケーションが得意な人は自分で仲間を見つけることができますが、それができない人もたくさんいるんです」と岡田さん。
そしてこれは必ずしもオフロードに限った話ではなく、オンロードバイクでも全く同じことだ。SNSや道の駅ですぐに仲間を作ることができる人もいれば、なかなかそれができない人もいる。「せっかく乗り始めたのに、そういう風に降りていってしまうのは、とても残念なことだから」と岡田さんは言う。
岡田さんがこれまでに受賞したレースのトロフィーも飾られている。多くのオフロードレースでの実績に裏付けされたライディングテクニックは当然、オンロードでも活きてくるのだ。
そんな岡田さんは現在のロイヤルエンフィールドについて、どう捉えているのだろうか。
「ロイヤルエンフィールドはとにかく母体が大きくて、どこのメーカーも半導体不足で売りたくても物が無いこの時代に、ある程度しっかり車両を確保してくれるのがありがたいですよね。日本の市場なんてロイヤルエンフィールド全体にしてみればほんの一部ですからね。代理店のPCIもとても体制がしっかりしていて、エンジンパーツの在庫なども充実しているので、販売した後のアフターケアも心配ないですし、とても安心して扱うことができます。ちょうどメテオ350が出たあたりからメディアにも多く露出するようになって、昔のロイヤルエンフィールドを知らない若者にも、新しいバイクとして認知され始めているように思います。これから日本でももっと育っていく、とても面白いブランドだと思いますよ」とコロナ禍でも安定した供給を誇るロイヤルエンフィールドと、代理店のPCIへの高い信頼を窺えた。
待望の普通自動二輪免許で乗れるロイヤルエンフィールド、メテオ350。空冷単気筒の350ccエンジンの鼓動を楽しむことができる、数少ないモデルだ。海外では同エンジンのクラシック350も発表されており、国内導入への期待も高まっている。
現在、ロイヤルエンフィールドは大きな変化の中にある。長年ブランドを支えてきた500cc単気筒のクラシック500、バレット500が共に生産終了となり、650ccツインエンジンを搭載したコンチネンタルGT650、そして同エンジンを搭載するINT650をメインに、ミドルアドベンチャーモデルとも言えるのヒマラヤ。そして新車種として仲間入りを果たしたばかりのメテオ350で、フルラインナップだ。
「個人的に好きなモデルはコンチネンタルGTですね。僕はオフロードばかりじゃなくカフェスタイルのバイクも大好きなんです。決して攻めて速く走るバイクではありませんが、乗り味もすごく良いんです。トルクバンドがすごく広いから5速でギア固定でも山道をダラ〜と気持ちよく流せる。また、18インチのフロントホイールもすごくいい仕事をしていて、コーナーで切れ込んでいかないから怖くないんですよね。今はもう公道でバカみたいに飛ばす時代じゃないのに、バイクはどんどん高性能になっていってる。もっとこういうバイクが増えて然るべきだと思うんですけどね。
僕はモノづくりが好きで、旋盤やフライス盤もお店にあるので、コンチネンタルGTは一台、目一杯いじってみたいと思ってるんです。ただ売っているカスタムパーツをつけるだけっていうのはカスタムとは言わないと思っていますので、シートレールを切ったり、もっと攻めた“作ってる感”のあるやつにしたいんです。自社でできるからお待たせしませんし、一台一台オーナーの細かい注文にも対応できます。新車価格がそんなに高くないから、例え30万円かけてカスタムしても国産のバイクと同じくらいの値段で済んじゃうところも魅力ですよね」と岡田さん。
そう、ロイヤルエンフィールドはその世界的な生産台数の多さとシンプルな機能性からくる価格の安さも魅力的だ。それでいて細部まで国産にも劣らない高クオリティで作られているため、安心して購入できるクラシックバイクと言える。
工場内には様々な機械が所狭しと設置されていて、中には旋盤やフライス盤も。ルサンバレーでは、お客のニーズに合わせたオリジナルの機械加工も得意とするのだ。
そしてもう一台。オフロード好きな岡田さんとしては絶対に見逃せないモデルが、ヒマラヤだ。こちらは実際に日帰り500kmのロードツーリングに使用した際に、その真価を実感したのだと教えてくれた。
「とにかくバイクが全く急かしてこないんです。こんなに楽なツーリング、久しぶりだなって。速く走りたい人にはオススメしません。似てるバイクがあるとすればセローなんですけど、411ccあるから、アクセルを開ければじんわりとだけどついてくるし、高速道路の100km巡航も苦じゃない。純正オプションのパニアケースで荷物もたくさん積めるし、燃費が35km/Lも出たんですよ。タンクは15L入るので、航続距離は500km以上。これはもう完璧な旅バイクですよね。乗らなきゃ絶対わからないし、ちょっと試乗しただけだと“おっそ!”で終わってしまうから、いつもお客様には『一日貸してあげるから200kmくらいツーリングしてきて』って言うんです」
と、じっくりと時間をかけて対話することでヒマラヤの持つ懐の深さを知ることができたという岡田さん。オンロード・オフロード問わず「いっぺんこやー(ぜひ一度ご来店ください)」と、三河弁で豪快に笑う。
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