
お店に並んでいるバイクのほとんどは若社長である木村公一郎さんが自ら仕入れに出向き、自分の目で見て仕入れてくる。その基準はただ一つ「自分が乗りたいバイク」だという。
「うちの場合は人気がある車種とか、市場の動向とかは関係なくて、ただ『自分が乗りたいバイク』というのを基準に選んでいるんです。ベースとなっている車両もそうですし、カスタムされている中古車なら、面白そうなカスタムがされてると、やっぱり気になってしまいます。だからこそお客様にも自信を持ってオススメできるんです。ただ、もう一つあるのは、東北にないバイク。カーセンター葵商会に来れば、何か面白いものがあるんじゃないか、というプレミア感を演出したいと思っています」と笑う木村さん。
さらにカーセンター葵商会では、仕入れて来たハーレーを時間をかけてほぼ全バラしている。「メッキパーツの多いハーレーは、バラして磨かないとキレイにならないんですよ。もちろんその過程でグリスアップもしますし、外から見てもわからないような不良があれば直してからお店に並べます。これをしておくことで、注文をいただいてから納車までの時間を短くすることができるんです」と木村さん。購入を決めたバイクを一刻も早く乗りたい、というライダー心をよくわかっているからこそできる、嬉しいサービスだ。
木村さんをはじめ、一族で経営されているお店は文字通りアットホームな雰囲気に溢れていて、常連さんからは「葵ちゃん」などと呼ばれ、愛されているという。バイクショップにおいて大事なことは、欲しいバイクが置いてあること、自分のバイクの整備を安心して任せられること、そして次にショップの居心地が良いことが挙げられるだろう。その意味でカーセンター葵商会を一度でも訪れれば、その雰囲気の虜になること間違いなしだ。
そんな木村さんが「自分で乗ろうと思って仕入れた」というこだわりの一台を紹介してもらった。ベース車両は2010年式のFLHXストリートグライド。
ストックでは96キュービックインチ、1580ccのエンジンを、124キュービックインチ、約2000ccにボアアップ。
フロントサスペンションにはオーリンズ、ブレーキキャリパーにはブレンボが使われている本気の走りカスタム。
オートシフター付き。手元のボタン操作でシフトチェンジが可能。ドラッグレースで使われていた車両とのこと。
ハーレーでは定番のスケルトンクラッチカバー。TPPライトクラッチが装着されている。
タンクにはコンピューターが埋め込まれており、ここでエンジンのマップスイッチなどを変更することができるという。
リアサスペンションにはHYPERPROのタンク別体式リアショックを採用。
あくまでこれは一例だが、カーセンター葵商会が自信を持って販売するハーレーダビッドソンのカスタムモデルには、このようなカスタムが施されている。見た目の美しさも大事だが、やはり「乗って楽しいバイク」という木村さんのこだわりがしっかりと反映されている。
一面の青空にカフェのテラスのような鮮やかなブルーとキレイに手入れされた芝生が見事なコントラストを生成。バイクが並んでいなければ、まるでオシャレなカフェかレストランと勘違いしてしまうかも。
芝生の横に設置された看板のロゴは、夜になるとグリーンに光るそう。
店舗前にズラリと陳列された美しいハーレーたちは、この取材が来ることを聞きつけた常連さんたちが置いていったものとのこと。このエピソードだけでお客さんに愛されている店舗だということが伝わってくる。
入り口をくぐるとすぐに出迎えてくれるのはお客さんの納車写真。ここに掲示されるのは本年に納車した分だけで、昨年以前の写真はアルバムで大切に保管されているとのこと。
ハーレーダビッドソンをメインに扱うお店だが、国内外問わず様々なメーカーのバイクが在庫されている。ジャンルもツーリングモデルからスポーツタイプ、オフロードまでバラエティに富む。
外観だけでなく、店内のカウンターもまるでおしゃれなカフェ。ここでコーヒーを飲んでいるだけでも絵になるし、レコードでもかけたら気分は最高。社長のセンスの良さが滲み出ている。
店内の看板が設置されている木材は自宅の蔵で使われていた梁を移設したものだそう。一族の歴史を感じさせてくれる。
入り口に「猛犬注意」とあったが、出迎えてくれたのはとっても可愛らしいポピーちゃん。もちろんむやみに吠えたりは一切ない。
こちらが入荷したバイクをバラして整備されているピット。来店したお客さんが気軽に覗けるようにオープンな状態で営業されている。
ピットで作業中だったのは木村さんの義兄・髙橋栄嗣さん。長年4輪の整備士として経験を積んだ、一流のメカニックだ。
木村さんが仕入れに使っているトラックがこちら! 仕入れの日には朝2時に起きてこれで向かうとのこと。