GPライダーがセカンドライフに選んだ伝統のBMWディーラー、DATZ浜松

掲載日/2021年8月30日
取材協力/DATZ浜松
写真、取材、文/伊井覚
構成/バイクブロス・マガジンズ
日本バイク発祥の地、浜松。この地で長年モーターサイクルの販売に力を入れているのが、DATZ浜松店だ。古くからBMWディーラーの中で独自の味を活かしたパーツ製造を行ってきたDOKEN(動研)をベースに持ち、名古屋、所沢と3店舗を展開するDATZの中で、最も長い歴史を持つお店なのだ。

クリスマスや航空祭にはお店でイベントを開催
人とのつながりを大切にするディーラー

DATZ浜松は静岡県浜松市の北西部、東名高速道路の浜松西ICを降りてすぐ、県道65号沿いに店を構えるBMW Motorradの正規ディーラーだ。すぐ隣には航空自衛隊の浜松基地があり、少し西に行けば浜名湖が広がっている。

DATZ浜松店では何よりもお客さんとのつながりを大事にしている。現在は新型コロナウイルスの影響で開催を見送っているものの、平時には2ヶ月に一回のペースで開催していたツーリングイベントは、お店の定休日などの平日ではなく、お客さんが参加しやすい土日に開催し、15台前後が集まるという。


さらに驚きなのが、店内を使ってのクリスマスイベントの開催だ。通常バイクショップのこういったイベントは、お店を貸し切って行ったり、ツーリング先の宿で行うイメージがあるのだが、なんとDATZ浜松は店内のバイクを全て外に出し、お店の中でケータリングサービスを実施、立食パーティのような大規模イベントを毎年行っているという。


そして近年では航空自衛隊浜松基地の「エア・フェスタ浜松」を、お店の駐車場から見学するイベントも行っている。これは元々、常連のお客さんがお店の駐車場を「ちょっと観てっていい?」という軽いノリで見学に使っていたものを、そのままイベントにしてしまったもの。バーベキューを行い、お客さんと一緒にイベントを楽しんでいるのだ。

店長の宮崎敦さんは「国産のツアラーなどから乗り換える人でも、RTではなくてGSに興味を持つ人が多いんです。やっぱり"せっかくBMWに乗るならGSがいい"という考えがあるみたいですね。GSはとてもよくできたアドベンチャーバイクですが、高い積載性と面白いエンジン特性を持っていますから、ロードツーリングでも十分に楽しめるバイクなんですよね。

ここのお店はDATZの中でもお客様の年齢層が少し高い印象があるのですが、最近は若い人もきてくれるようになってきました。新しい若いお客様にもあまり壁を感じず、お客様同士の交流を深めてもらいたくて、こう言ったイベントを積極的に行っています」と語る。

元GPライダーの店長がレッスンも!
S1000RRで本格サーキット走行会

左から和田沙矢加さん、店長の宮崎敦さん、冨田譲二さん。DATZ浜松を支えるサービススタッフだ。ロードレースファンならその名を知る人も多いだろう、店長の宮崎さんは、ロードレース世界選手権に参戦していたレーサーで、2002年の日本グランプリでは250ccクラスで優勝経験も持つ。


宮崎店長は毎月一回サーキット走行会を開催しており、愛知県のスパ西浦モーターパークまで足を運ぶ。そこではS1000RRなどのスーパースポーツを購入してくれたお客さんとスポーツ走行を楽しみ、時にはライディングレッスンを行うこともあるという。

「ずっとバイクレースの世界で生きてきたので、こちらの店舗で店長を任せてもらって、すぐにそれを表に出してしまうのは、それしかできないみたいで悔しかったんです。ですが、だんだん仕事にも慣れてきて、これから自分の味を出していくことを考えたら、やっぱりロードレースなんだなと思い、ここ2年ほど力を入れています。BMWのお店でGSが売れるのは当たり前で、それはそれで大事にしつつ、僕はやはり自分のスキルを活かしたお店作りとして、S1000RRの魅力を広めていきたいと考えています」と宮崎店長。

長い歴史と伝統が下地にあるDATZ浜松が、宮崎店長のもとで新しい時代を築いていくのがとても楽しみだ。

入り口を潜ると、まず目の前にGSシリーズが複数展開されている。BMW Motorradには様々なタイプのバイクがラインナップされているが、DATZ浜松ではやはり一番人気はこのGSだという。

試乗車も常に6〜7台が用意されていて、水平対抗エンジンを搭載したGSシリーズから、シリーズの入門モデルとして人気の高いR nineT Pure、新型のアメリカンタイプ・R18など豊富なラインナップから、じっくり自分に合ったモデルを選ぶことができる。

カウンター前に展示されているのはS1000RR。2019年にフルモデルチェンジを経て、200馬力を超える最高出力を獲得したエンジンを搭載。サーキット走行の際にミラーやナンバーなど保安部品を簡単に脱着できるため、自走でのサーキット走行にも向いている。

つい先日、ニューモデルも発表されたばかりのR18も試乗が可能。「見た目に反して、まるでカブにでも乗っているかのようにトコトコ走れます。高速コーナーの安定感もすごく良いですし、見た目はあまりBMWらしくはありませんが、間違いなくBMWのこだわりが詰まった良いバイクに仕上がっています」と宮崎店長。

2階には認定中古車の展示スペースが設けられている。限定モデルのR1200Rや、カフェレーサースタイルのR nineT Racer、さらにはオフロード走行にも適したF850GSなど様々な車種が並んでいる。

BMWのロゴマークが入ったジャケットやアパレル、さらにはバイクカバーやケミカル類など、バイクライフをスタートするにあたって必要なものは一通り揃うようになっている。

お店には宮崎店長がサーキット走行で使用する革ツナギが展示されている。現役を退いた今でもスポンサーがついていることが、宮崎店長の人柄を象徴していると言えるだろう。

INFORMATION

所在地/静岡県浜松市西区湖東町3377-1
電話/053-486-1200
営業/10:00〜19:00
定休/水・木曜日