全方向に効く空力性能が最高の快適性を生む……Kabutoのフラッグシップ「F-17」(動画あり)

掲載日/2021年4月30日
取材協力/株式会社オージーケーカブト
取材、文/佐賀山敏行
構成/バイクブロス・マガジンズ
ヘルメットはライダーの命を守る重要なもの。だからこそ妥協なく選びたいものである。そこで、Kabutoから発売される「F-17」はいかがだろう? 同社の新たなフラッグシップモデルで、まさに妥協なき逸品といえるもの。ここでは発売を目前に控え、その詳細に迫りたい。

フォルムにベンチレーション、被り心地など、すべてを見直した

この夏登場予定のフルフェイスヘルメット「F-17(エフイチナナ)」は、Kabutoの新たなフラッグシップモデルだ。同社が現在持つ、最高レベルの技術が惜しみなく投入されているという。

たとえば安全性について。帽体の素材には、従来モデルに採用していたA.C.T.構造をさらに進化させた「A.C.T.-2」構造を採用することで、強度を大きく向上。さらにコンピューターによる構造解析によって帽体各部の強度を最適化している。

強度を最適化するということはすなわち、効果的な配分で帽体の強度を決定するということ。これによって安全性を高めつつも、ヘルメット自体は軽くすることができ、結果、首への負担を低減させることもできたという。

これだけでも、F-17が特筆すべきモデルだということがわかるだろう。

Kabuto F-17/5万1700円/カラー:ホワイト・ブラックメタリック・フラットブラック/サイズ:XS・S・M・L・XL・XXL

しかしF-17は、国内トップメーカーであるKabutoのフラッグシップモデルなのだ……安全性の向上や軽さは、もはや当然の話だといってよいだろう。

では、このモデルで注目するべきは何か? それが従来のパフォーマンスをはるかに凌駕する「エアロダイナミクス(=空力性能)」である。

全方向エアロダイナミクスを開発

今やフルフェイスヘルメットではエアロフォルムは当たり前。トップモデルであれば、どのモデルも走行中の空気抵抗や揚力を抑えるべく、高い空力性能が与えられている。

しかし、これらは基本的に正面からの風を受けることを前提としている。そこでKabutoが新たに提案するのが「全方向型エアロダイナミクス」なのだ。

ヘルメットは必ずしも真正面から風を受けるとは限らない。コーナリング中は斜め前から風を受けるし、進路変更時などで後方を振り向くこともある。また、橋や高速道路などでは正面からの走行風よりも横風が強いことも珍しくない。

そこでF-17では正面だけでなく、あらゆる方向からの空気抵抗を効果的に低減するフォルムが採用されているのだ。

頭頂部にある弓型スポイラーが「クレストスポイラー」。高速走行時の揚力を低減する。

ディテールを見ても、Kabuto独自の装備が光る。

たとえば帽体トップにある「クレストスポイラー」は、弓状のフォルムを採用することで、ヘルメット上部の気流をあえて乱し、揚力の低減に寄与。ハイスピード走行時でもヘルメットの浮き上がりを抑えるという。

また、RT-33にも採用されている「ウェイクスタビライザー」はF-17でも健在。クレストスポイラーとの相乗効果も高まり、非常に高いレベルでの走行安定性を実現しているのだ。

こうして空気抵抗や揚力を低減することで、長時間走行や高速走行での疲労は大幅に軽くなり、結果、集中力の維持にも大きく貢献する。つまり、エアロダイナミクスは走行時の快適性だけでなく、安全を考えるうえでも大事な要素なのだ。

ベンチレーション、静粛性、被り心地……すべてがハイレベル

さて、安全性・安定性ときて、次にヘルメットに重要なポイントといえば……快適性だ。その点もF-17は抜かりない。

コーナリング時でも直進時同様のエア導入量を実現。

フルフェイスヘルメットの快適性を左右するのがベンチレーションだが、F-17では前側部に「ヘッドサイドベンチレーション」を新採用。さらに口元の「チンベンチレーション」を開口面積・幅ともに拡大することで、コーナリング姿勢でも効率よく走行風を導入するという。

エアロダイナミクス同様、ベンチレーションにおいてもF-17は「全方位」を実現している。

2軸構成の新型ラチェットや新形状のトリムラバーによって密閉制と静粛性を向上。センターには操作性に優れた大型開閉レバーを装備する。

さらにシールドは密閉性と静粛性をアップ。大型レバーを採用することで、グローブを装着したままでも確実に開閉できるのも嬉しい。

防臭目的の「抗菌」ではなく、体に有害な菌の繁殖を抑える「制菌」加工が施されている(インナーパッド表地)。

サポートライダーにも好評の被り心地(下に詳細コメントあり)は、「設計思想から見直した」という力の入れよう。レースという過酷な状況下で徹底的に検証されたもので、着脱のしやすさと包み込むようなフィット感は、特筆すべきポイントとのこと。

また、内装はフル脱着が可能で、暑くなるこれからの季節にも安心。しかもインナーパッドには細菌の増殖を抑制するDEOFACTER®の「制菌加工」が施されている。これは衣類や繊維に付着する有害物質を分解するという特殊加工技術で、この時代にはピッタリの装備だといえよう。

内装生地を残し、ウレタン材を抜き取る。

他にも事故が発生した際、救助者が簡単かつ素早くヘルメットを脱がすことができるエマージェンシーシステムでは、Kabuto独自のシステムを採用。

通常、頬パッドごと抜き取るのが一般的だが、F-17では内装ウレタン材を抜き取る方式となっている。つまり、頬に当たる生地はそのままヘルメット内に残るため、よりスムーズにヘルメットを脱がすことができるのだ。

トップライダーの声が証明する、その性能

このように、Kabutoが持つ技術をすべて投入したといっても過言ではないF-17。市販モデルの発売は今夏を予定しているが、すでに同社サポートライダーには支給されている。

ここでは、そんなライダーの声を紹介したい。


秋吉耕佑 選手(JSB1000)
MURAYAMA.TJC.RT
「高速レンジでの視線に対応した低めの重心位置によって、首や目への負担と風切り音も少なく、超高速域でもブレや浮揚などを感じない。Kabuto開発チームとテストを重ね、まさに理想のストレスフリーのヘルメットに仕上がった。ブレーキング時も首への負荷を感じず、内装素材自体が柔らかいのに安定した被り心地がとっても良いね」


ヤリ・モンテッラ 選手(MOTO-2)
Team Speed Up
「F-17の最大の特徴は空力特性。非常にシャープなデザインもいいよね。さらに僕が特に言いたのは『フィット感が最高』ということ。頭部から耳全体までを包み込むような感じがして、本当に気持ち良い。多くのレーシングライダーは耳栓を使って、それでも騒音が聞こえるけど、このF-17ではかなり低減できていると実感しているよ」

まさにKabuto史上最高のモデルというに相応しい「F-17」の登場は2021年夏! ヘルメットを買い換えるなら、もう少し待っていて欲しい。きっと後悔しないはずだ。

ホワイト

ブラックメタリック

フラットブラック

Kabuto「F-17」のインプレ動画を見る

INFORMATION

住所/大阪府東大阪市長田西6-3-4
電話/06-6747-8031
定休日/土日祝
営業時間/8:30~17:30

ヘルメットの商品開発に欠かせない安全設計という基本性能を重視し、落下衝撃テストやサポートライダーによる実走行テストなど、さまざまな条件下でデータを分析するKabuto。時代とともに変化が求められるスタイルやデザイン、機能などのニーズに応えつつ、レーシング仕様からツーリング向けまで、幅広いラインナップを展開している。
自転車用ヘルメットでも、トップブランドとして有名。オリンピック日本代表選手にも採用される。