日本人にとって特別な2020年のAMAスーパークロスが完全再現されるゲーム「Monster Energy Supercross -The Official Videogame 4」

掲載日/2021年4月15日
取材協力/DMM GAMES
写真/稲垣正倫 取材、文/伊井覚
構成/バイクブロス・マガジンズ
2020年のAMAスーパークロスは、僕ら日本人にとって特別なシーズンだった。それというのも、キッズ時代から渡米してカリフォルニアに本拠を置き、AMAでトップライダーになることを目標にしてきた日本人ライダー、下田丈が名門GEICO HONDAからフル参戦を開始した年だからだ。そんな2020年のAMAスーパークロスを実際に走ることができるゲーム「Monster Energy Supercross -The Official Videogame 4」が発売中!

JO SHIMODAというライダーが特別なワケ

これまで海外に挑戦した日本人モトクロスライダーはたくさんいる。1978年に日本人で唯一世界チャンピオンとなった渡辺明をはじめ、成田亮や熱田孝高、近年だと山本鯨、能塚智寛、富田俊樹、渡辺祐介、古賀太基らだ。しかし、全日本モトクロス選手権で勝ち、世界へと羽ばたいていった彼らと、幼い頃からアメリカに移住し、現地でトレーニングを積んできた下田はまったく性質が違うのだ。言うなれば他のアメリカ人ライダーと条件はイーブン。チャンピオンになれる資質を十分に秘めていると言える。

AMAスーパークロスは屋内スタジアムを使ったモトクロス競技。ジャンプが連続したり、鋭角なコーナーで構成されるテクニカルなコースが特徴。ショー的な派手な演出が人気で、トップライダーは日本のプロ野球選手のように子供たちのヒーローだ。

「海外のレースってヨーロッパを中心に行われているMXGPと、アメリカのAMAに大きく別れるんですけど、やっぱり日本人はAMAに憧れる傾向があると思うんです。特にAMAスーパークロスへの憧れっていうのは格別なものがあります。それは演出の派手さとかショー的な要素も大きいのですが、僕ら世代は子供の頃にジャパンスーパークロスが開催されており、それに出るために一年間レースを頑張るという目標があったからだと思います。

成田選手は3位に入ったことがありますが、多くの日本人は出場してもなかなか結果を出せずにいました。ところが丈くんに関してはアマチュア時代のモンスターエナジーカップでも優勝経験があり、2019年のアウトドアでもいい走りをしていましたので、とても注目していました。さらにチームもGEICO HONDAという名門で、チームメイトのトップライダーと一緒に練習できたりもするので、一年目から表彰台は難しくてもコンスタントに良い成績を残せるライダーだし、近い将来にはチャンピオンも十分に狙えるライダーなので、本当に楽しみな年でした」

と語るのは日本随一のスーパークロスマニアであり、自身も実際にスーパークロスに出場したことのあるモトクロスライダー渡會修也(わたらい のぶや)選手。今回はそんな渡會選手に「Monster Energy Supercross -The Official Videogame 4」をプレイしてもらった。

渡會修也。元モトクロスIAライダーであり、現在はJNCCやJECといったエンデューロレースのトップカテゴリーで走っている。2005年に雑誌の企画でAMAスーパークロスのアナハイム2に出場し、予備予選落ちという結果ではあったが、憧れの本場スーパークロスを走った経験は、とても貴重なものだったと語る。

下田丈は2002年5月16日、三重県鈴鹿市生まれ。キッズ時代から国内で無敵を誇り、その舞台をアメリカに移してからはアマチュアの選手権で同世代のライダーたちと戦い、経験値を積んできた。2019年16歳でのプロデビューに際し、名門GEICO HONDAに大抜擢され、大きな注目を集めた。ルーキーながらランキング3位の成績を残し、2020年のルーキー・オブ・ジ・イヤーを受賞している。

驚くほどリアルなグラフィック
各コースの名セクションが追体験できる

精密なグラフィックは細部まで作り込まれていて、とてもリアル。

「スタートでエンジンの振動の影響でリアフェンダーが揺れているところとか、すごくリアルですよね。"わかってる"感がすごい。丈くんのデビューレースであるタンパを選んでプレイしてみたけど、白いサンドにタイヤが埋まってうまく前に進めない感じが再現されてるんですよ。あとレースが進むにつれてウエアが汚れていったり。個人的に感動したのはレイモンド・ジェームス・スタジアムにある海賊船まで再現されていたところですね」
と渡會選手からはさすがマニアックな話がたくさん出てくる。

タンパの白いサンドセクション。轍の形が見えにくいところなどは本物さながら。

タンパのレイモンド・ジェームス・スタジアム内に作られる海賊船のモニュメントがリアルに再現されている。

ちなみにこのタンパのレース後に下田丈から「サンドの入り口が2つに分かれていて、レースではずっとイン側を走っていたんですけど、たぶんアウトの方が速かった」とコメントをもらったことがある。こういうのを実際にコースを走りながら確認できるのは、とても面白い。

渡會選手に2020年で記憶に残っているコースを聞くと「第2戦のセントルイスですね。コース終盤に1コーナーを横切る形で2連ジャンプが2つ続いていて、コーナーをアウトで回ってしっかり加速しないと飛びきれないんですよ。シアンサルーロがそこでインからオズボーンを抜いたんだけど、ダブルが飛べなくて、逆に3台に抜かれちゃったのとか、勝敗の分かれ目でしたよね」と。

さらに第8戦のアーリントンでプレイしていた時に操作をミスして前転すると「ここ、クーパー・ウェブが大クラッシュしてコースアウトしたのと同じところですよ!」と興奮気味。このセクションはドラゴンズバックと呼ばれ、低いコブがいくつか続いた後に少し大きめのコブがあるのだが、この最後のコブが通常よりも低めに作られていたせいで、後輪だけがコブに引っかかり、極めて前転しやすい危険なセクションになっており、クーパー・ウェブの他にも転倒者が続出した難セクションなのだ。

と、そんな2020年の名シーンを振り返りながらマニアックなプレイも楽しむことができる。

憧れのライダーになりきったり
自分のオリジナルライダーを作れる

今年もチャンピオン争いをしているHONDAのケン・ロクスン、KAWASAKIのイーライ・トマック、KTMのクーパー・ウェブをはじめ、様々なライダーを操ってレースすることができるのは大きな魅力だ。ちなみに僕の好きなライダーはディラン・フェランディスや、ジョーイ・サバッチー、ザック・オズボーンあたりなのだが、渡會選手に2020年の注目ライダーを尋ねると

「僕の一押しはズバリ、アダム・シアンサルーロですね。450SXのデビューイヤーで成績は不安定だったけど、開幕から7戦連続くらいでトップタイムを出していて「こいつ、やるじゃん」感がとてもよかったです。開幕戦からジャスティン・バーシアとトップ争いして2位だったし、大きな期待がもてるライダーでした。2021年は勝ちまくるかな、と思っていたけどそうでもなかったですね(苦笑)」

オリジナルライダーを作成できるモードではやっぱり自分のライディングギアを再現できるか確認してしまう。「ヘルメットはArai。あ、それ僕の持ってるやつと同じカラーです! ウエアはTHORで、ブーツはガエルネ」と、ドンドンと装備が整っていく。

また、マシンも同様にカスタマイズが可能だ。

「メーカーはもちろんKAWASAKIのKX。できれば2005年式の鉄フレームのやつが使えたら最高なんだけど(笑)。ハンドルとグリップはZETA。サスペンションはSHOWAで、スプロケットはRENTHAL。タイヤはDUNLOPのMX33で、リムはD.I.DのLTXがいいね。ニップルの色まで選ぶことができて、拡大してみると本当にちゃんと変わってるのがすごいね。あ、ゼッケンは812で。これは僕がスーパークロスに出場した時のゼッケンなんですよ」と渡會選手は今の自分のマシンを再現し始める。

キャリアモードでは、この作成したオリジナルライダーとオリジナルマシンで実際にAMAスーパークロスのシーズンを戦い、ランキング争いをし、チャンピオンを目指すことができるのだ。そしてオンラインで世界中のオリジナルライダーたちとレースすることも!

自分のオリジナルコースを作れる
ネット対戦も可能!

プライベートではほとんどゲームをやることがない渡會選手。まずPS4のコントローラーに慣れることからスタートだったため、まともに走ることにも四苦八苦。「え、難しすぎじゃないですか? これ本当に勝てる人いるんですか?」

そこで視点をライダーモードに変更してみると。

「確かに視点はこのほうが実際に走る感覚に近いですね。ゴーグルに土がつくと視界が悪くなるし、ティアオフ(ゴーグルのレンズについたビニール)を剥がすと視界が回復するので、本当に細かいところまでよく作り込まれていますね。目の端にちらっと客席が見えたり。レース中って、観客の声とかすごく聞こえるんですよ。ちょっとだけど、実際にスーパークロスを走った時の感覚を思い出すことができました」と大満足の様子。

さらにこのゲームでは自分のオリジナルコースを作り、それをネットに公開することで世界中のプレイヤーに走ってもらうことができる。

渡會選手にコースを一つ作ってもらった。「僕がゲームの操作に慣れるために練習用のコースを作ってみました。特にコーナーが難しいので、コーナーを比較的ゆるく作って、サンドをいくつか混ぜてみました。あとはやっぱりスーパークロスの醍醐味は立体交差ということで、作ってみました。初めてこの手のゲームをプレイする僕みたいなユーザーは、まずすごくシンプルなコーナーだけのコースを作ってそれだけを繰り返しプレイしてみることをオススメします。実際のモトクロスでもオーバルといって、丸い楕円形のコースをぐるぐる回る基礎練習をたくさんしますので、それと全く一緒ですね」

「MXGPとかと違って、スーパークロスはコース幅が狭いので、慣れるまではちょっと苦労しそうですね。すぐにコースアウトしちゃう。ゲームが好きな人なら、すぐに慣れちゃうんでしょうけどね。でもその分練習のし甲斐はあるし、サスペンションのセッティングとかやりこみ要素もすごく強い。ジャンプが本当によくできていて、手前で飛んじゃうと失速しちゃうから、うまくいなしてから大きく飛ぶとか、リズムセクションも1個目を舐めてから2個2個で飛ぶとか。フープスは少しリア荷重でアクセルを一定にするとか。実際にこういうコースを走れる人はそのスキルをゲームに活かすことができると思います。やっぱり三連がキレイに飛べると気持ちいいですね! やっぱり休みの日は外でバイクに乗りたいですが、雨の日なんかはこれでもいいかもって思っちゃいますね」と渡會選手。

ちなみに僕は2016年に一時帰国していた下田丈を取材したことがあるのだが、ヒマさえあれば携帯ゲーム機でゲームをやっていた印象がある。もしかすると今も丈はこのゲームでレースのイメージトレーニングをしているかも。世界中のプレイヤーと対戦ができるゲームなので、知らないうちに丈とレースをして勝ってる可能性だってあるのだ。

購入はこちらから

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▼PlayStation™Store
PS4™「通常版」 8,778円(税込)

PS5™「通常版」 8,778円(税込)

PS4™「Special Edition」 12,078円(税込)

PS5™「Special Edition」 12,078円(税込)

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INFORMATION

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