
その日の朝、周囲がまだ暗いうちにガレージからバイクを出し、私は走り始めた。
ここ最近、ビジネスもプライベートも充実しており、その事には満足しているのだが、一方でバイクを走らせる時間が少なくなってきたことが気がかりだった。そんな私は走り出すためのカンフル剤としてヘルメットを新調することにした。選んだのはスペインのヘルメットブランドLS2の新製品、『チャレンジャーF』だ。
ヘルメットを探しにショップへ足を運んだ際、数多くのカラーバリエーションが目に留まったこと、サイズが細かく用意されており絶妙なフィット感を得られたこと、そして実際に手に取ってみると、かなり軽量であり、なおかつ細部までしっかりと作り込まれていることなどが分かり、ほぼ一目惚れしたという感じでもあった。
それから数日、相変わらず毎日仕事漬けだったが、偶然一日だけ予定が空いてしまったこと、台風の接近により何日も雨の日が続いていたが、よくやく晴れ間が見えそうだったことが重なり、まだ寝ている家族をそのままに手紙だけ残し、真新しいチャレンジャーFを被り走り出したのだ。
久しぶりのバイクツーリングということもあり、慎重に先を進む。新しいヘルメット、チャレンジャーFは、頭を包み込むようにサポートしてくれ、被り心地も良い。
バイク乗りにとってももっとも“美味しい季節”のワインディングを満喫するべく、私は奥多摩方面を目指した。東京都の東側の端に住む私にとって奥多摩というのは、同じ都下でありながらも、そこそこの距離を走らなければ着かない土地であり、ワンデイツーリングを楽しむにはちょうど良い。
首都高、外環、関越、圏央道と高速道路を繋いでゆく。平日の早朝だということもあり、都心へ向かう上り車線は、多少渋滞が始まっていたが、それを過ぎれば、快適なハイウェイクルージングだ。チャレンジャーFは、想像以上に静粛性が高く、ライディングに集中することができる。長い距離を走るツーリングでは、ノイズはストレスとなるので、これは大きなメリットだ。
一般道へ降り山へと進む。徐々に色づき始める木々を感じながらワインディングを走らせて行く。久しぶりのバイクだということもあり、一つひとつ慎重にコーナーをパスしてゆく。チャレンジャーFに採用されているゆがみのないシールドのおかげで、クリアな視界を確保されていることもあり安心感がある。そして最初の目的地としていた鍾乳洞へと到着した。
長い年月をかけて自然が作り上げた鍾乳洞は、天然の芸術作品とも言えるもの。真新しいヘルメットをバイクに置いておくことに気が引けたため、持って入ったが、軽量なため邪魔にならなかった。
今年の秋は、特に雨の日が多いように思えていた。その合間に得られた晴天の日にバイクに乗れたのはとても幸運なこと。チャレンジャーFもとても快適で、これを選んで本当に良かったと思えた。
ツーリングの前日まで台風が近づいていたことの影響で増水した奥多摩湖では、放水シーンを見ることができた。通りすがりだったが、思わずバイクをとめてしまうほどダイナミックだった。
奥多摩湖には二か所に浮橋が設置されているが、現在通行できるのは一か所のみ。平日なので貸し切り状態だ。湖面にぷかぷかと浮かぶ珍しい橋を渡ると、おのずと旅情に浸ることができた。
先端に備わったシールドロック解除ボタン。ワンタッチで微開状態にすることができるのは、急な湿度、温度変化で曇った際などの対処に重宝した。
94%UVカットのシールドが標準装備されている。ロック機構に関しても良く考えられており、ワンタッチで着脱することができる。
チャレンジャーFを選んだ決め手は、何といってもエッジの効いたデザインだった。コンパクトな帽体やサイドに施されたラインなどでスポーティな印象を受ける。
鍾乳洞は大自然が作り出した神秘的な世界が広がっている。洞窟内はかなり狭い場所があったこともあり、おニューのヘルメットを大切にするがゆえ手にもって立ち入ったことに、一瞬後悔を覚えたが、それでもヘルメットそのものが軽量なため、邪魔になるようなことはなかった。
再びバイクに乗り込み奥多摩湖を目指す。天気に恵まれたこともあり、清々しい気持ちでバイクを走らせて行く。途中、トンネルや日陰などもあり、明暗の差が激しい場面もあったが、左あごに備わるスイッチひとつで、インナーバイザーを出し入れできることがとても快適に感じられた。さらにはシールドが一瞬で曇る程湿度が高い区間などでは、ワンプッシュでシールドロックを解除できる機構がとても便利だった。
台風により奥多摩湖が増水したことを受け、ダムではダイナミックな放水を見ることができた。奥多摩湖まで上がり、湖に掛けられた浮橋を渡りながら美しい景色を眺めていると、ツーリングに来て本当に良かったと心の底から感じられた。
ヘルメットを新調するという機会はなかなかないが、新しいヘルメットを購入することがきっかけとなって、再びバイクライフが開花するということは大いにある。LS2のチャレンジャーFは、それに見合うコストパフォーマンスと性能を備えたモデルだった。
シールドそのものが手前に引き込まれるように閉まるため密閉性が高い。帽体縁のスライドスイッチにより開閉させることができるインナーバイザーもシチュエーションに合わせて即座に使え便利だ。
奥多摩渓谷を見渡せるレストランに立ち寄りランチブレイク。チャレンジャーFは選んだサイズも良く、あつらえたかのようなフィット感。だから長時間使用しても疲労が少ない。
あご、頭部前方と、上部に外気を取り込む吸気ポート、後頭部にリアスポイラー&排気ポートのベンチレーションシステムを備えている。デザイン性を持たせながら高い効果を得られている。
簡単な着脱を実現したラチェットタイプのバックルにより、ヘルメットの脱着もストレスフリーだった。インナーの形状やクッションも良く、吸いつくような被り心地だ。
ヘルメットはバイクに乗っている間、常に被り頭を守る大切な道具である。そのヘルメットを新調したことで、バイクに乗りたい気持ちがさらに高まった。
チャレンジャーFに付属していたヘルメットバッグ。しっかりした作りで、プレミアム感が高い。持ち運ぶ際や保管時などに使いたい。
LS2
チャレンジャーF
¥29,800(税抜)
チャレンジャーFのカラーバリエーションは全6色用意されている。S~XXLのサイズ展開で、幅広い頭にフィットする。
チャレンジャーFと同時発売されたSCOPE(スコープ)。システムタイプのヘルメットであり、日常使いからツーリングシーンまでマッチングが良い。
LS2
スコープ
¥22,800(税抜)
スコープは全4色のラインアップとなっている。複雑な機構を持つシステムヘルメットながらも2万2800円という手を出しやすいプライスも魅力だ。
LS2ヘルメットは今後も続々とニューモデルが上陸を控えており、さらにはウエアやグローブなど、LS2ブランドのライディングギアの展開も予定している。LS2ヘルメットは全国の2輪用品店にて取り扱い中。実際に触れて質感、被り心地をテストして欲しい。