快適なツーリングのお供に。軽く疲れにくいシステムヘルメットYJ-21 ZENITH

掲載日/2020年3月27日
取材協力/株式会社ワイズギア
撮影/渡辺昌彦 文/後藤武
構成/バイクブロス・マガジンズ
バイクで長い時間走った時の快適さや疲れ具合は、ヘルメットによって大きく左右される。ワイズギアから新しく発売されるYJ-21 ZENITHの場合はどんな感じなのか。実際に被ってツーリングに出掛けてみることにした。マシンはMT-09。パワーのあるネイキッドだけにヘルメットに求められる要求はカウル付きのモデルよりも数段厳しくなるはずだ。

暖かい日が続くと、どこかへ出掛けたくなるのはバイク乗りの性。伊豆の方は桜が咲いていると聞き、MT-09でツーリングに出かけることにした。今回使うのはYJ-21 ZENITHというシステムヘルメット。ZENITHには今までYJ-19というシステムヘルメットがあった。デザイン性と機能性で人気の高かったモデルだ。今回のYJ-21では、前モデルを上回る機能性と扱い易さが与えられていると言う。

シールドの開閉は左右どちらからでも可能。細かい部分だが、実にありがたい改良点である。

あご紐のロックはワンタッチ。ツーリングやストリートなど頻繁にヘルメットを脱ぐ時は非常に便利。

MT-09と同色のマットグレーにペイントされたヘルメットは派手なグラフィックモデルに比べるとずいぶん大人っぽい感じがする。カジュアルなウエアにコーディネートさせるのなら、これくらい渋めの色がいい。ツーリングだけでなく街乗りでも周囲の風景に違和感なく馴染んでくれそうだ。最初に被った第一印象は「軽い」ということ。システムヘルメットは色々な機能を詰め込むからどうしても重くなる。しかしYJ-21は前作YJ-19を更に軽量化。優れたバランスで被った時の重さを感じさせない。フィット感も心地良くヘルメットが自分の頭に自然に馴染んでくれる感じがする。

高速や有料道路の移動では、アベレージスピードが高くなる為、風の巻き込み静粛性、ヘルメットの空力性能が重要になる。こういった点をYJ-21は高いレベルでクリアしている。空力を徹底的に考えた設計だから高速道路でもヘルメットが引っ張られるような力は働かないし、静粛性はフルフェイスにも匹敵すると言っても良いほど。システムヘルメットの場合、フルフェイスと違って密閉性が高くないから、ヘルメット内に空気が入り込んできたりする。けれどこのヘルメットの場合は、それも少ない。わずかに空気が動いているなと感じる程度。システムヘルメットでありながら高速での快適性は非常に高い。

速度を上げて走った時の静粛性はフルフェイスに匹敵するレベル。空力を徹底的に考えているためヘルメットを持ち上げるような力も働かない。

こういう狭い道に入っていった時、ありがたいのは視界の広さ。ツーリングの楽しさを広げるだけでなく安全にも貢献してくれる部分だ。

ソロツーリングの楽しさは寄り道にある。目的地を決めて突き進む走り方も良いのだけれど、ソロならちょっと景色が良い場所や面白そうな店を見つけた時、誰にも気兼ねなく寄り道ができる。だから僕はあまり予定を立てず、気の向くままにバイクを走らせる。ナビは使わない。ハプニングを楽しむのだ。

熱海でバイクを降り、街を散歩。オーガニックボックスでホットレモネードを飲みながら立ち話。出掛けた先で人と話すのはツーリングで一番の贅沢な時間。果樹園の若夫婦が経営するこの店ではフルーツを使った様々な飲み物がある。熱海に行くと必ず立ち寄るお気に入りの店だ。

熱海の街を走る。街を行く人達に違和感を感じさせないデザインとカラーリングが気に入っている。自分がツーリング用ヘルメットを選ぶ時の重要なポイント。

景色が良いところでバイクを降りて歩いてみた。シックなデザインはカジュアルなウエアに良く似合うし周囲の風景との違和感もない。

こういうツーリングになるとYJ-21の機能が威力を発揮する。視界が良くて色々な風景が飛び込んでくる。ゆっくり走っている時やバイクをちょっと止めて、空気を感じたい時はフリップアップすればオープンフェイスヘルメットのような開放感。頬に春の空気が優しく触れる。熱海の路地をゆっくりと流す時もフリップアップして走ってみた。街の喧騒を直に感じることができる。

空気を感じたいと思ったらフリップアップ。突然世界が変わったような感じがする。この変化がシステムヘルメットの魅力。

フリップアップはワンタッチ。持ち上げたいと思ったら一瞬でオープンフェイス並の開放感。

赤いボタンがフリップアップのロック。大きく分かりやすいのでグローブをしていても間違えることはない。顎の部分には風の巻き込みを防止するスクリーンがついている。

満開の桜を感じたくて、フリップアップしたままノンビリ走ってみた。この状態でも極端に重心が高くなったような感じはしない。

バイクで伊豆をツーリングするならワインディングも楽しまなければ損。先が見えないような回り込んだタイトコーナーでは視界の良さが助けになる。低重心でバランスが良い設計だから急激な加減速をしても首にかかる負担も少ない。気に入ったのはマウスベントを開けた時の空気の流れ込み方。ちょっと空気を入れようとしてベントを開けてみたら、フレッシュエアがスーッと入ってくる。停止時にシールドが曇った時もここを開けておけば曇りなど一瞬でなくなってしまう。楽しくて夕方まで走っていると夕日が目に飛び込んできた。こういうシチュエーションでは内蔵のスモークシールドが大活躍。正面から飛び込んで視界を遮る西日をシャットアウトしてくれる。

初めて走るワインディングで先が見えないブラインドコーナーでの緊張も視界の良さがやわらげてくれる。

マウスベントはグローブでも開閉は容易。開口部はさほど大きく見えないが効果は絶大だ。

トップのエアベントは黒いノブを動かすことで行う。夏場など暑い時に外気を導入してクーリング。

導入された空気はリアのベントから出る。出口がしっかりしているからこそ空気はきれいに流れる。ヘルメットの外だけでなく中を流れる風のことも考えられている。

左下のノブをスライドさせることでスモークシールドの開閉を行うことができる。朝夕の走行で直射日光を遮ってくれる。様々な時間を走るツーリングで、スモークシールドがあると本当にありがたいと思う。

一日走り回って帰宅。ヘルメットを脱いだ時に感じたのは、それまでよりも疲れが少なかったことだった。フィット感、バランス、空力性能など様々な要素が絡み合って疲れを低減させてくれたのだろう。そしてこのヘルメットで感じたもうひとつの魅力は価格。これだけの機能と完成度でありながら価格も控えめ。こういう部分のバランスまで考えられているのである。同じルートを同じバイクで同じ様に走ったとしてもヘルメット一つで感じ方も疲れ方も異なる。ツーリングや街乗りをより楽しみたいのであれば、是非使ってみて欲しいと思うヘルメットである。

色々なところを走っていたら日が暮れてきた。一気に冷え込んでくるが、空気の巻き込みが少ないから帰り道も冷たい風を浴びずに済む。

INFORMATION

株式会社ワイズギア(Y'SGEAR)は、ヤマハ発動機グループの純正アクセサリー専門会社で、モーターサイクル、マリンレジャー、電動アシスト自転車などのジャンルに分かれ展開しているメーカー純正の総合パーツ・用品メーカーのことです。ヤマハ専門店YSPブランドのバイク販売店やヤマハの正規ディーラーなどでの販売取り扱いが中心になっていて、用品、パーツはもちろんケミカル関連、カバーロック類なども総合展開しています。バイクにおけるレジャーシーン、ビジネスシーン等に合わせた用品、パーツを開発・製造・販売しているラインナップは、ヤマハ製バイクに合わせ揃えているために、ヤマハ車オーナーにとっての定番ブランドになっているのです。また、スタイリング、車体とのカラーリング、用品に関しては、バイクに乗っている時の「バイクとライダー」をひとつして考えられています。そして、オイル関連を中心としたケミカル、メンテナンス商品については、ヤマハオーナーに関わらずファンも多く、その裾野が広いのです。