掲載日:2025年09月17日 プロが造るカスタム
取材協力/カスタムショップショーケース
取材・写真・文/ガスグラフィックス
この記事を熱心に読んでくれている方々は、ホイールの大径化と太履きこそがビッグスクーターのハードカスタムの主流であることは、充分理解してくれていることだろう。ヤマハ、ホンダ、スズキと各社が様々な車種をラインナップする度に、全国に存在していたプロショップとレベルの高いユーザーが切磋琢磨し、どのようにして4輪ホイールを装着するのかを模索した時代があった。そんな過渡期の真っただ中。2008年の夏にapr(エーピーアール)が発売開始したのが、エンジンはノーマルのままで4輪ホイールをボルトオンできる“ビッグフットキット”だった。
このパーツが登場するまでは、4輪ホイール装着はスズキ・スカイウェイブ(CJ43)の特権だった。理由は、リアホイールが片持ち式だったから。簡単に言えば、クルマと同じ構造である。クルマは4穴~6穴のボルトで固定されているが、スカイウェイブは3穴のみ。そのため、3穴を4穴に変換するハブを作ることで、4輪ホイール装着を可能にしていた。しかし、aprはこの概念を一蹴。ヤマハ・マジェスティC(SG03J)とホンダ・フォルツァX/Z(MF08)用の2車種をラインナップし、業界を震撼させたのだった。ちなみにパーツ構成は、専用ロングホイールベースキット、4輪ホイール用ハブ、スイングアーム、アクセルワイヤーとブレーキホースはステンメッシュ仕様。タイヤ、ホイールは別途購入が必要で、当時価格はマジェスティCが36万7500円、フォルツァ用が34万6500円と設定されていた。
今回紹介するフォルツァ(MF08)は、このビッグフットキットを使用して、カスタムショップショーケースが2008年頃に製作した車輌だ。同店が得意とするエッジをぼかしたグラフィックペイントに合わせるように、各部をブラックアウト化。煌めくメッキのスイングアームがビッグフットキットの特徴でもあったが、そのパーツも黒染めに。このブラック&メッキのバランスが、シブ派手と言われたこのフォルツァの象徴である。しかも、フロントフォークはヤマハ某車を流用することで、フロントホイールの大径化にも着手。リアだけではなくフロントのボリュームも整えて、トータルバランスを追求した技術。ブーム後期になると、ショーケースはヤマハ・マグザムのイメージが強くなっていったが、同店はどんな車輌でも応えてくれる幅広いセンスを持っていることを、このフォルツァは証明している。
フロントホイールは、ワイズギアのマジェスティ用13インチを流用。ハイトの高いタイヤや285φローターを装着するために、フロントフォークはヤマハ車を活用した。どの車種を使用したかは「企業秘密」として非公表。このプライドが、当時のビッグスクーター業界の底上げに貢献していたのだ。
ホイールは美しいメッキ仕上げに。フロントフォークは各部と同様にブラックアウト化されている。
ビッグフットを装着したリア周り。サスペンションの上部の受け側となるサブフレームなどがキット化されており、360mmのロングホイールベース化と共に、13または14インチの4輪ホイールが装着可能に。この車輌は、14インチを装着したため、タイヤサイズは195/45となる。
外装各部も徹底してブラックアウトしている。リアホイールは、右側がメッキであるのに対して、左側はブラックという発想が興味深い。
アンダーカウルはヒロキックス製を使用。ボリューム感があり、ロングホイールベース化した際に生まれてしまうスキマを、センス良く埋めてくれるデザインが秀逸。
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