掲載日:2025年06月09日 プロが造るカスタム
取材協力/Jam Master Motor Build
取材・写真・文/ガスグラフィックス
2005年4月に、「ベストタンデム・アーバンクルーザー」というコンセプトでこの世に生まれたスクーターが、ヤマハ・マグザムだった。二人乗りをした際の快適性と運転のしやすさを両立させるべく、ノーマルデザインの時点でロー&ロングのフォルムが採用されていた。一大勢力を築き上げたヤマハ・マジェスティとは対照的なこのスタイリングは、発売から20年が経過した今でも変わらない人気がある。
この独特のロー&ロングデザインは、ユーザーにとっても大きな恩恵をもたらした。それは、過度なハードカスタムを施さなくても、エアロ装着と足回り変更によるローダウンだけで、見栄え充分なカスタムが完成することだった。そして、それに目を付けた各社が、競い合うように様々なエアロを開発。その結果、マグザムという車両は、沈静化していたビッグスクーターブームの新たな起爆剤となってくれたのも事実だった。
今回紹介する1台は、その当時に発売されたエアロの中でも、独創的なアイデアで誕生した商品を装着するマグザムだ。製作は、福岡県久留米市で活躍するジャム・マスター・モータービルド。現在は、ハーレー・ダビッドソンのバガースタイルを手掛けるブランド、JMバガーズとして有名なお店である。
同店が製作したエアロの特徴は、クルマのバンパーに着想を得て生み出したスタイルであることだ。車高を低く見せるために、車体下部にボリュームを持たせたデザイン。フェイスやサイドといった上部ではなく、あえてその下回りの部分にエアロを装着することで、視覚的ローダウン効果を生み出すという画期的な作品だった。エアサスなどを使って車体姿勢をどれだけ低くしようとも、ノーマルのボディデザインの影響で腰高感が出てしまうというデメリット。それを解消したのが、このドロップバンパーシリーズだったのだ。
ジャム・マスター・モーター・ビルドは、この製品をきっかけに数々のマグザム用エアロの開発に着手。その結果、「マグザムと言えばジャム」と言われるほど、当時のマグザムユーザーの多くが欲しがるエアロブランドへと成長したのだった。
フロント周りの下回りに装着されたドロップバンパー。このボリューム感により、ロー&ロングなノーマルのデザインに、さらなる重厚感が増す。フロントフェイスは未装着のノーマル状態だが、当時発売されたばかりのジャム製アイラインを追加装着している。
リアには、ジャム製リアフェイスタイプ1とドロップリアパンバーを装着。スクエアなノーマルのデザインにボリュームを持たせつつ、バンパーで低く見せるというアイデア品。
ハンドルは、ストレートデザインが特徴のドラッグバースタイルを選択。スイッチボックス、グリップ、マスターシリンダー、ミラー類など、フルメッキ化でラグジュアリー感を強調。
マグザムは、ノーマルの時点でフラットシートが採用されていた。そのため、このシートはベースはノーマルのままで、座面加工とシート張り替えで完成させている。
リアフェイスタイプ1を装着してシートを開閉すると、このような状態になる。これでリアトランクの開閉も可能となるため、実用性とデザイン性を両立させたアイデア品だった
ホイールのインナー部はボディと同色にペイント。リムはメッキ加工が施されており、定番ラグジュアリースタイルを超えた新しいアレンジ技だった
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