掲載日:2025年11月25日 プロが造るカスタム
取材協力/PRO SHOP WAVE 取材・写真・文/ガスグラフィックス

ビッグスクーターが流行っていた時代、神奈川県の湘南というエリアは、独自のスタイルと文化を築いた貴重な地域だった。この地域で車両を製作していたのはプロショップウェーブ。そのペイントを手掛けるのはヒロキックス。そして、この2店の系譜にあり同地域の後継として根差しているのが、カスタムショップショーケースとなる。ポイントとなったのは、ウェーブとヒロキックスはドリフト文化に精通していたということだ。日本発祥のドリフトからヒントを得て、それをビッグスクーターへと踏襲。それが、ビッグスクーターユーザーの中で、“湘南系”というジャンルで認知されるようになったのだ。

このブルーのスカイウェイブ(CJ43)は、前述したプロショップウェーブとヒロキックスが手掛けた車両となる。27cmにもなるロングホイールベースと、完璧なフレーム着地スタイル。そこに当時人気だった各エアロを装着し、フレーク&ラップペイントを施して、ド派手なスタイルを完成させた。メッキ表皮を使ったワンオフシートや、美しく磨き上げられたステップボードなど。派手であることをためらうことなく徹底的に振り切ったこのスタイルも、湘南系のひとつの方向性だったのだ。
様々なジャンルが派生したビッグスクーターカスタムの世界だが、ギラギラ感を強調した湘南グリッタースタイルも、短命に終わったブームの中で永遠に語り継がれるべき存在なのである。

フェイスはウイルズウィン、サイドはジェッツなど、各部エアロは全てブランドを変えて選択。ペイントによる統一感が、ブランドミックスでも一体感をもたらしているのは間違いない。

インナーもシルバーフレークで塗装。フルメッキのハンドル周り、エアメーター装着など、インナーの派手さが気にならないほどに煌めきで溢れていた。

サイレンサーとして使用したトリックスターのサイズ感に合わせて、絶妙な角度や位置関係でフィッティング。エアサスにより停車時と走行時で角度が変わるため、総合的なバランスを追求している。

跳ね上げ系デザインのリアスポイラーだが、純正ボディの上面から一直線に流れるように造形した。27cmのロンホイ加工をしながらも、リアアンダースポイラーにタイヤの逃げを作らないこの巧妙さこそ、プロショップウェーブの成せる技だ。

インナーに貼られた各ブランドのロゴステッカー。この雰囲気こそ、ドリフト文化の派生技である。ピカピカに仕上げられたステップボードにも注目。汚れたり傷がつく箇所でも、惜しげもなくここまで仕上げるからこそ、グリッターとしての完成度が高まるという好例だ。

シート表皮も、フレーク塗装のインナーと合わせてメッキで派手に。この振り切り感こそ、グリッタースタイルを目指すユーザーは見習うべきポイントだ。








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