掲載日:2025年03月12日 プロが造るカスタム
取材協力/HONDA DREAM HACHIOJI
取材・写真・文/ガスグラフィックス
ビッグスクーターの様々なカスタム文化の中に、“北米仕様”と言われる楽しみ方がある。United States Domestic Market、略して“USDM(ユーエスディーエム)”と呼ばれるもので、これはアメリカやカナダなどの北米大陸で販売されている現地仕様の純正パーツを装着して、北米スタイルを楽しむというものだ。
国が変われば、交通法規や車両に関する法律も、当然だが変わってくる。その国の法律に合わせた車両作りをすると、例えばウインカーの違いや各種説明書きのシールの違いなど、細かい部分ではあるが日本仕様とは異なる部分が出てくるものだ。それをできるだけ変更し、見た目は純正のようでも、実は北米仕様=USDM化されているというカスタムが、一部で流行していたのだ。
今回登場するホンダ・フュージョンは、東京都八王子市にお店を構えるバイト(現在はホンダドリーム八王子)が、2008年に製作した車両だ。同店はビッグスクーターのカスタムを積極的に扱った正規ディーラーとして、業界の中では貴重な存在だった。そのため、車検は関係のない250ccクラスでも、できるだけ合法化した車両作りがモットー。強烈な個性を放つショップが多かったビッグスクーター業界の中で、合法の中でライバルと差別化できるカスタムを模索。その結果として、この北米仕様=USDMに辿り着いたわけだ。
このフュージョンは、エアサスとして最初に商品化されたマッドスピード製マッドホッパーが装着されている。そのため停車時は着地しているが、自社製オリジナルエアロと、ワンオフで依頼した高山式消音器のマフラーを装着した以外は、基本的にフュージョンの北米版、ヘリックス(HELIX)の純正パーツを使って仕上げられているのが大きな特徴。一番分かりやすいのは、フロントカウルとリアカウルの横でオレンジとレッドに輝くリフレクター(反射板)の存在。横からの視認性を高めるため、北米では必須のパーツであり、この有無が日本と北米の大きな違い。また、ヘッドライトや各種レンズ類、メーターカバーといった部位も実は変更されている。
日本国内の純正部品から北米向けの純正部品に換えているため、車高以外はカスタムしているようには見えないかもしれない。でも、そこがこのUSDMの魅力なのだ。人とは違うカスタムを目指すためのひとつのジャンルとして、北米仕様を目指すUSDMというスタイルを覚えておいてほしい。
フロントカウルサイドに装着されたリフレクター。日本仕様には装着されていない北米ならではのパーツだ。
リアカウルの横にも、赤いリフレクターが追加されている。横側からの視認性を高めるためのパーツで、アメリカでは必須。その上の車名ステッカーも、FUSIONではなくHELIXなのがポイント。
メーターカバーも、マイルとキロ表示が切り替え可能な北米純正品に変更済み。このようなオーナーにしか分からない部分をカスタムするのが、USDMらしい。
各種コーションラベルも、北米向けに変更。エアサスの操作スイッチは、このボックスを開けた内部に設置されている。
ハンドルスイッチボックスも、HELIXの車名入りが北米品の証し。
リアテールは、左右がオレンジ、センターがレッドのこのテールが必要。2006年から最終の2007年モデルはレンズがクリア化されているため、USDMを目指すには、再販モデルであれば2003年から2005年までの純正品で代用可能だ。
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