掲載日:2025年02月26日 プロが造るカスタム
取材協力/PIT IN AUTO
取材・写真・文/ガスグラフィックス
2001年に国内販売が開始されてから、この記事を執筆している2025年までの24年間で、すでに8代目の車両が登場しているオートバイ、それが、ヤマハ・TMAXだ。バイク、クルマ問わず、モデルチェンジのサイクルが長くなるのが最近の傾向だが、3年ほどのスパンで進化をし続けるTMAX。日本国内ではマイナーな車種とみられがちだが、ヤマハがこれだけ力を入れている理由は、ヨーロッパを中心にこのTMAXが売れているからに他ならない。
今回紹介するTMAXは、2008年頃に東京の老舗販売店、ピットインオートが製作した1台。2007年に3代目が登場し、各メーカーから専用パーツも多く発売されるようになり、当時の“新型”TMAXユーザーにとっても選択肢が増えたことで、カスタムの幅が広がり始めた時期となる。
このピットインオートが製作したTMAXの特徴は、同店のオリジナルパーツを使いながら、独自の情報網と経験値をフル活用した、流用とワンオフテクニックが詰め込まれていることだ。流用パーツとして興味深いのは、フロントディスクローター。同じヤマハ・MT-01純正を流用しての大径化は、派手ではないけれどもさりげない存在感が漂う。それを、ブレンボのラジアルマウントキャリパーと組み合わせ、しかも、目立たぬように選ばれたブラックや、ポリッシュされたホイールリムとのバランスは、大人のチューニングという言葉が相応しい渋みのある雰囲気が特徴なのだ。
一方のワンオフ技は、外装類、シート、エキパイ、ハンドルポスト、ウインカー移植、LEDテールランプなど、多岐に渡る。また、ASウオタニ製パワーコイルやマロッシ製パーツによりプーリーも強化。TMAXが持って生まれた走りの本質を追求する部分と、純正デザインがもたらす機能美。それをキープコンセプトしながら、ステーやボルト類などを徹底してブラックアウト化することで、玄人目線での完成度の高さを追求した。一見派手さが無いだけに、どこがノーマルから変更されているのかが分かりにくい仕様だが、このさじ加減こそがプロショップの腕の見せ所なのである。
フロントフェイスはピットインオートのオリジナルブランド、B’s styleを使用。ヘッドライトをスモーク化しつつ、ウインカーも内部に移植し、純正デザインの造形美を損なわないようにしている。
ノーマルはカバーで覆われているが、それを外し通常のハンドルバーが装着できるように改造。ポスト部分も同店によるワンオフ。スポンジ巻き、TKD SPLミラーなど、独自のパーツチョイスでハンドル回りもブラックで統一。
シートは足付き性と乗車時のホールド性能を両立させたワンオフバケットタイプを使用。走りを楽しむためのTMAXは、シートの質感や形状にまでこだわるのがベスト。
カーボンの各種カバーは、TMAXパーツで人気の弥生製。リアローターもフローティング化されている。リアキャリパーは純正品にペイントを施すことで、ブラックアウトによる統一感を徹底した。
テールランプは点灯時に左右振り分けとなるよう作られたワンオフ品。ここもブラックアウト化することで、車体全体の引き締め感を意識。
スリップオンサイレンサーは、KR Tuned。かの有名な元WGPライダー、ケニー・ロバーツとイタリアのマフラーメーカーがコラボした製品。基本的にスーパースポーツ用のみのラインナップでTMAX専用は無し。そのため、エキパイをワンオフ製作して装着していた。今となってはかなりのレアアイテムだ。
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