掲載日:2024年12月11日 プロが造るカスタム
取材協力/CONCEPT 取材・写真・文/ガスグラフィックス
4輪関係の有名エアロメーカーやプロショップなどが深く携わっていた時代。それこそが、ビッグスクーターが流行していた頃のひとつの象徴であり、この4輪&2輪業界が切磋琢磨したカスタムこそ、他のバイクジャンルにはないビッグスクーターならではの文化なのだ。
今回アーカイブとしてお届けする懐かしの車両は、埼玉県の老舗カーオーディオショップ、コンセプトが2008年頃に製作したグランドマジェスティになる。4輪の世界ではカーオーディオのカスタムが古くから定着していたが、アメリカ的オーディオカスタムのシーンが知られると、映画「ワイルドスピード」の影響もあり、瞬く間にそのアメリカンオーディオスタイルが浸透していった。この車両を製作した背景は、オーディオメーカー、KICKER JAPAN主催のイベントやSEMAショーへの視察などを積極的に展開中。現地で仕入れた最新のアイデアや商品を自らの武器に変えて、日本のカーオーディオシーンの裾野を広めたいと考えられたからだ。なお、同店がビッグスクーターを手掛け、こうして公のメディアで紹介されたのはこのグランドマジェスティが初めて。その後も継続的にビッグスクーターの製作を続けたという記録は見当たらないので、この車両はとても貴重な1台となる。
大きく注目したいポイントは2点。ひとつは言うまでもなくオーディオの部分だが、純正メーターが配置されている位置にスピーカーを設置しているのが、とても珍しい。それに伴いスピード&タコメーターとパネルは、グローブボックスへと移設。とても手間がかかる作業だが、クルマの内装を含めてのオーディオカスタムや警報器設置などを得意とする同店だけに、こういった作業はお手の物。ROCKFORDのオーディオデッキも、シート下に設置スペースをワンオフで製作。その下のJL audio製アンプと共に、良い音を鳴らすだけではなく、展示して見せるための質感に仕上がっている。
そしてもうひとつのポイントが、コンセプトと同様に4輪を主戦場としているapr製のエアロ、マフラー、エアサスを活用していることだ。モータースポーツ好きには言うまでもないが、aprはスーパーGTやスーパー耐久に参戦するトップコンストラクターでもあり、レーシングカーの開発をはじめ、そこからフィードバックしたストリート用パーツも取り扱う有名メーカーであり、ビッグスクーター用のオリジナルパーツも製作販売していた。2輪ではなく4輪が主要マーケットのこの2社がタッグを組んで、このグランドマジェスティが完成したわけだが、こういう文化的背景も含めると、この車両がどれほど貴重な存在だったかを、今さらながら実感するのである。
純正メーターの位置に、JL audio製スピーカーと操作ユニットを配置。専門店ならではのアイデアで、この独創性が当時話題となった。
そしてメーター類はこのグローブボックスへと移設。車体と一体感あるデザインは見事な完成度だった。その下にエアサス稼動用スイッチが配置されている。
シート下スペースのタンデムシート下部に、オーディオデッキとアンプを設置。デッキやアンプ類をただ搭載するのではなく、しっかりとオーディオボード類を製作しているのが専門店ならでは。
シート下の前スペースにもJLaudio製スピーカーを設置。ここもボードを設置することで、機器本体の鳴りとルックスの両立を図っている。
サイドエアロとフロントフェンダーはapr製。スモーク加工が施されたヘッドライト、ウインカーなどの各種レンズ類は、コンセプトによるワンオフ加工品。ブラウン系のボディカラーに合わせて、大人びた雰囲気が演出できるように仕上げられた。
マフラーもapr製。31(THREE ONE)というブランド名で発売されていたジキルアンドハイドマフラー。加速性能だけではなく、可変バルブ採用により、排気音量を変化できる製品だった。
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