掲載日:2021年12月15日 プロが造るカスタム
取材協力/カスタムショップエタニティ
取材・写真・文/ガスグラフィックス
ビッグスクーターに限らず、流行り廃りの波に乗って愛車を手放してしまった、という話しはいろいろな所で耳にする。一方で、長い時間を一緒に過ごした1台の愛車を、少しずつ進化させて所有し続けるオーナーもたくさん存在する。この衝撃的なまでに低く長いマジェスティCのオーナーは後者に当てはまる方で、シンプルなノーマルプラスαという状態から手を加え、10年以上の年月をかけてここまで仕上げてきた。
車両製作時のポイントは、極限まで低くすること。そのための加工はフレームだけに留まらず、ガソリンタンクはワンオフ化し、シート下のエンジン前部に収納。ステムも加工して超ショートストロークのフロント足回りを獲得。エンジンはスカイウェイブ250ccに換装し、その結果エアサスも同じくスカイウェイブ用をセレクト。しかも、外装は人気のスーパースポーツ系ミックスだけに留まらず、ベースにシルバーカーボンを採用。その上からキャンディブルーを施すことで、美しいカーボン柄を効果的に見せる独特の外装デザインが完成。こういった手間のかかる加工のオンパレードにより、ご覧のような超越したロー&ロングスタイルが実現したのだ。
オーナー曰く、「ここまでたどり着くのに4段階ぐらいは経ているイメージです」というように、10年以上の所有歴の中で少しずつカスタムを施し、それを進化させてこの境地に辿りついた。賞イベントに出すことが主目的でもなく、あくまでも自分の思いを表現するための愛車。カスタムとトロフィーを狙った賞イベントへの参加が同意義に捕らわれることが多いが、彼のようにそれとは別次元の日常にあるスクーターライフの中に、自分の思いを込めたスタイルを仕上げる、という付き合い方があるのも覚えておいてほしい。
フロントフェイスはヤマハYZF-R1用を流用。シートまで続く独特のグラフィックの中には、シルバーリーフが採用されている。その横の青い部分はカーボン柄が透けて見えるレーシーな仕上げに。シルバーカーボン柄を貼り込み、その上からペイントを施すことでこの質感を実現した。ヘッドライトはダクト部に埋め込まれている。
14インチ、9.5Jのリア回りを実現するために選んだホイールは、ビッグスクーター界の定番商品となっているワーク製エクイップ。銅のような独特の色味はオーナーの強いこだわりが反映されたもの。当初はキャンディブラウンに彩られたが、イメージと異なったため改めて加工を施した。マフラーはインターセプト製を2連で装着。
シグマスパイダー製リアカウルをワンオフ加工。こちらにもフロントカウル同様に、シルバーカーボン柄をベースにしてのペイントが施されている。この質感はレーシーなスタイルを目指すユーザーにとって、非常に参考になるはず。
低さを追求すると、必ず問題になるのがガソリンタンク。純正本来の位置では低さが稼げないために、この車両のようにワンオフし別の場所へ移動するのがロー&ロングスタイルの常套手段。見えないフレーム部も美しい外装に合わせてブルーにペイントされているのが重要。こうした細部の造り込みが、車両全体の質感向上に繋がっているのだ。
フロントブレーキローターは、製作したエタニティのロゴが入るオリジナル品。愛車だけではなく、長年お世話になっている同店に対しての敬意も忘れていない。なおフロントホイールもワーク製エクイップを装着。ハブをワンオフ加工し、リア同色で仕上げた。
シンプルなハンドル回りはズーム製セパレートハンドルで実現。フランドのラジアルポンプキャリパーや小型マスターシリンダーなどを活用するだけではなく、ブレーキホースの取り回しも、操作に影響が無いレベルで無駄のない長さで配置する基本技も効いている。
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