掲載日:2019年10月09日 プロが造るカスタム
取材協力/ロータス
取材・写真・文/ガスグラフィックス
ビッグスクーターへのスーパースポーツ系フェイススワップが始まってから、すでに10年以上が経過する。当時はまだほんの一部、コアなユーザーだけのためのスタイルだったが、そのあとに「RAGE(レイジ)」や「カスタムスクーターフェスタ」といったビッグスクーターのカスタムコンテストが盛り上がったことで、総合優勝を狙うための必須技へと変化していったのが、このテクニックだった。
ここ2~3年はこれらのコンテスト系イベントが開催されなかったためこれらのスタイルは沈静化されていたように見られていたが、これらのスタイルは、各地でまだまだハードカスタムの主流として、人気をキープし続けている。
鮮やかなレモンイエローとど派手なツイストマフラーが印象的なこの車両は、そのリアカウルの造形などを見れば、スズキ・ジェンマであることはある程度想像がつく。しかし、最も驚かされるのは、そのフロント部分に収められた顔面にある。独特のエッジ感と造形は、バイク好きならば一目瞭然。言うまでもなく、このフロントにはカワサキH2の顔面がスワップされているのだ。
全国各地のハードコアなビッグスクーターユーザーが、様々なSS系スワップに挑戦してきたが、H2を流用したのは間違いなく史上初。これを目標とした車両オーナーの熱意は来場者の注目を集め、見事に、初イベント参戦で、見事に「234meet Vol.2」のビッグスクーター部門で総合優勝を成し遂げた。
製作は埼玉県桶川市にあるバイクショップロータス。数々の有名車両を手掛けてきただけに、過激にツイストされたハンドルやマフラーなど、オリジナリティ溢れるセンスを惜しげもなく披露して、オーナーの思いをしっかりと形にし、名誉ある賞を獲得したマシンなのである。
ここからのフォルムを見ると、この車両がビッグスクーターだとは誰も想像できないに違いない。この顔面スワップは決して単純な作業ではなく、ベースとなるジェンマの骨格に合わせて、かつH2のイメージを損なわないように緻密なバランス取りがなされているのだ。
フロント回りと同じくらい目を引くサイレンサーは、ワンオフによるツイスト&カチ上げスタイルを採用。均等に美しくひねられたデザインは、言うまでもなくプロの技。ロータスではハンドルなどでこのルックスを度々披露してきたが、その技術力をマフラーに大胆に採用した。
外観のインパクトだけではなく、見えない部分にもこだわりあり。フレームは美しく輝くメッキ加工が施され、エアサスシステムもパイピング化。細部にまで渡るこの見せることへのこだわりが、総合優勝を獲得した理由なのだろう。
シート下のメットインスペースは、エアサスなどのサブメーターを増設するほか、なんとブルガリ製の時計も埋め込んである。こういったユーモアのセンスも、ハードカスタムには必要。
ロータスの417ハンドルもツイスト仕様に変更。しかも、センター部分には、大阪を代表するカスタムショップINFINATEが手掛けたがエングレービングがさりげなく光る。こういった細部へのこだわりこそが賞を獲得するための必要技なのだと、多くのビッグスクーターファンが学ぶことだろう。
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