【ヤマハ NMAX155 試乗記】シフト操作で叶える超爽快感

掲載日:2026年02月13日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/小松 男

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YAMAHA NMAX155

昨今のシティコミューター界で中核を担う150~200ccクラススクーター。その中でもスポーティかつプレミアムな存在として支持されてきたヤマハ・NMAX155は、現行モデルでさらに磨きがかけられている。

都市型交通網に最適解
NMAX155という答え

昭和、平成、令和とバイク業界のトレンドを間近で見続けてきた私の実感として、150~200ccクラスのスクーターという存在は、もはや一過性のブームではなく、シティコミューターの“マス”として完全に定着したカテゴリーだと感じている。

時代を振り返れば、80年代から90年代にかけては50ccクラスの原付スクーターが爆発的にヒットし、日常の足として街に溢れた。2000年前後になると、ファッション性の高まりやラグジュアリーブームの後押しもあり、250cc以上の排気量を持つビッグスクーターが一大ムーブメントを巻き起こす。さらに2010年頃からは、二輪駐車場問題の顕在化や、各メーカーがグローバル戦略モデルを積極的に投入したことも相まって、125ccスクーターの需要が驚くほど拡大していった。

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こうした流れがシティコミューター界の大きな潮流なのだが、実はその中でも最も安定した成長を続けているのが150~200ccクラスのスクーターである。今回紹介するNMAX155もそうだが、このクラスのモデルは125cc仕様と“2枚看板”で展開されるケースが多く、基本的にはシャシーや車体構成を共有する兄弟関係にある。そのため、サイズ感は125ccクラスとほぼ同等で、交通量の多い都市部の通勤・通学時間帯でも取り回しが良く、ストレスなく走れるのが大きな魅力だ。加えて、出先のバイク駐車場にも停めやすいという現実的なメリットも見逃せない。

一方で150~200ccクラスの動力性能は125ccモデルを明確に上回り、排気量が126cc以上であることから高速道路の利用も可能となる。市街地から郊外、さらにはツーリングまで守備範囲が一気に広がる点は、このクラスならではの強みと言えるだろう。保険ではファミリーバイク特約が適用できないなど、維持費の面では125ccより不利な部分もあるが、実際にはランニングコストの差を補って余りある利便性と満足感を備えている。

そんな150~200ccクラススクーターの中でも、屈指のスポーツ性能とプレミアム感を高次元で両立してきたのが、ヤマハ・NMAX155だ。今回は、2025年モデルで改良が施された現行型にじっくりと触れ、その進化の中身を確かめていきたい。

ヤマハ NMAX155 特徴

初代モデルの登場から約10年が経ち
着実な進化を遂げてきた

初代NMAX155が日本国内で登場したのは2017年のこと。前年に先行デビューしていたNMAX(125cc)を追う形で発表され、コンパクトな車体に本格的な動力性能を与えた“上位版”としてラインアップに加えられた。NMAXと同じく軽快なボディワークを採用しながら、高効率燃焼を追求したBLUE CORE思想に基づく155ccエンジンを搭載。さらに可変バルブ機構であるVVA(Variable Valve Actuation)を組み合わせることで、低回転域では扱いやすさを、高回転域では力強い伸びを実現している。

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このパワフルな155ccユニットにより、高速道路走行にも十分対応できる動力性能を獲得。街乗りにとどまらず、郊外路やツーリングまで視野に入るモデルとなり、NMAX155はより広い走行シーンで活躍できる“スポーツコミューター”として確固たる立ち位置を築くこととなった。

NMAX155は継続的な熟成が施され、2022年モデルではユーロ5排出ガス規制に適合するとともに、トラクションコントロールを新たに装備。加えて、スマートキーシステムの採用、アイドリングストップ機能の搭載、スマートフォンと連携可能なY-Connectへの対応、さらに電源ソケットの追加など、装備面で大幅なアップデートが実施されている。これらの進化によって、NMAX155は単なる通勤用スクーターの枠を超え、質感・利便性・先進性を兼ね備えた“上質なコミューター”としてのブランド価値を一段と高めることとなった。

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そして2025年、NMAX155はこれまでの延長線上とは一線を画す、画期的な進化を遂げる。ライダーの操作や走行状況に応じてCVTの減速比を電子制御で最適化する『YECVT(Yamaha Electric Continuously Variable Transmission)』を新搭載したのだ。これに伴い、ハンドル左側のスイッチボックスにはシフト操作用ボタンを新設。ボタン操作によって任意にシフトダウンを行うことができ、エンジンブレーキを積極的に活用したり、コーナー進入時の車速コントロールを行ったりと、従来のスクーターでは味わえなかった“操る感覚”が加えられている。

さらに駆動系の変速用マップを切り替えることで、燃費性能とスムーズさを重視した『Tモード』と、レスポンスに優れたスポーティな加速特性を持つ『Sモード』という、性格の異なる2種類の走行モードを選択可能。日常の市街地走行からワインディングロードまで、シーンに応じた最適な走りを選べる点も大きな魅力だ。もはやスクーターという枠を軽々と超越する革新的な装備を手に入れたNMAX155。果たしてその走りの中身は、どこまで進化しているのだろうか。

ヤマハ NMAX155 試乗インプレッション

何でもこなせる贅沢仕様
1台ですべてを賄う欲張りさんに◎

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冒頭でも書き綴ったとおり、現在の150~200ccスクーター界は活況を呈している。もはや一部の好事家向けジャンルではなく、実用性と走りを両立した“主力カテゴリー”として完全に市民権を得た印象だ。だからこそ、各メーカーがこのクラスに力を入れ、多彩なモデルをラインアップしている。ヤマハに目を向けても、NMAX155、X FORCE、そしてトリシティ155と、性格の異なる3モデルを揃えており、このクラスにかける本気度がうかがえる。

今回NMAX155を借用する際、それまで試乗テストを行っていた新型トリシティ155と入れ替えとなった。せっかくの機会なので、2台を横に並べて見比べてみると、スリーホイーラーであるトリシティ155のほうがフロント周りにボリューム感があり、視覚的にはひと回り大きく見える。とはいえ、実際に日常で取り回すことを想像してみても、サイズ差がストレスになるような印象はない。

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SUVテイストを取り入れたタフなスタイリングのトリシティ155に対し、NMAX155はあくまでスポーティでシャープな印象。どちらも150~200ccクラスとは思えないほどの上質感を備えており、プレミアムスクーターとしての資質を感じさせる。細部を見ると、テールランプやリアのターンシグナルは共通部品と思われ、コストバランスを意識しながらも、全体としての質感を高めていることが伝わってくる。

ちなみに私は、ヤマハが長年磨き上げてきた三輪技術であるLMW(Leaning Multi Wheel)の乗り味がとても好きだ。さらに装備が大幅に充実した現行型トリシティ155は、安定性・快適性・実用性を高次元でまとめ上げた、まさに“完成度の高い一台”に仕上がっていると感じている。だからこそ、NMAX155には「そのトリシティ155を超えるだけの魅力があるのか」という点に強い興味を抱いていた。

しかし、その答えは走り出してすぐに示された。

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エンジンを始動し、スロットルをわずかに開けるだけで、NMAX155は軽やかに前へと滑り出す。搭載されているエンジンはトリシティ155と同系統の155cc BLUE COREユニットだが、車重で約40kg近い差があることもあり、その違いは発進時の瞬発力としてはっきり体感できる。正直なところ、「軽いぶん、キビキビ感じるだろう」という予想はしていた。だが、実際に走らせてみると、その印象は想像以上だった。

現行モデルで新たに採用された駆動系システム『YECVT』が、あらゆる場面で効いているのである。例えばシグナルダッシュを決めるために勢いよくスロットルを開けると、エンジンは力を発揮しやすい回転域をキープしながら、無駄のないフィーリングで駆動力をリアタイヤへと伝えていく。従来のCVTスクーターでも同様の考え方はあったが、それを電子制御によってより緻密かつ積極的に行っている点が大きな違いだ。

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さらに、ハンドル左側に新設されたシフトボタンを操作すれば、マニュアルミッション車でシフトダウンしたかのような状態を作り出すことができ、エンジンブレーキを効かせたり、コーナー立ち上がりで素早く加速態勢に持ち込んだりすることも可能となる。

NMAX155を走らせながら、私は何度も思った。

これはもはや“ただのスクーター”ではない。従来のスクーターの常識を、確実にひとつひとつ塗り替えてきている――と。

そもそもNMAX155はライディングポジションの完成度が非常に高く、その点も私が本モデルを高く評価している理由のひとつだ。シートの着座位置に対してハンドルはやや高めに設定され、上体は自然と起きた姿勢となる。フットボードは、下方に足を下ろすポジションでも、前方に投げ出すような姿勢でも違和感がなく、状況や好みに応じて自由度の高い足の置き場を選べる。さらにセンターアーチ部分を使えば下半身をしっかりとホールドでき、車体との一体感も高い。こうしたパッケージングの良さが、NMAX155の操縦安定性の高さに直結していると感じる。

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現行型では前後サスペンションのセッティングが見直されており、とりわけストローク量が5mm延長されたリアサスペンションの仕上がりが秀逸だ。路面のギャップをしなやかにいなしつつ、底付き感はなく、街中から郊外路まで常に落ち着いた挙動を見せる。快適性とスポーティさのバランスが絶妙で、走行シーンを選ばない足まわりに仕上がっている。

だからこそ、スポーティな走り方をしてみると、NMAX155の懐の深さがより鮮明に伝わってくる。あみだくじのように進まなければならない狭い路地、流れの速い幹線道路、高速巡行、そしてワインディングロード。どこに持ち込んでも不安はなく、むしろ積極的に走らせたくなる。スクーターであることを意識する前に、ひとつの“スポーツモデル”として純粋に走りを楽しめる感覚があるのだ。

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ライディングモードの切り替えも実に興味深い装備だ。テスト開始当初は、どうしてもレスポンス重視のSモードを選びがちだったが、Tモードで走ってみると、日常域ではまったく不足を感じないどころか、むしろスムーズで扱いやすい。加速のつながりが自然で、燃費面でも有利と考えられるため、テスト後半はほぼTモードで固定していたほどだ。必要なときだけSモードに切り替えればよく、実用性の高さを強く実感した。ストリートというステージにおいて「スクーター最強説」が語られることがあるが、走りに関して言えば、NMAX155はそのポテンシャルを確実に次の次元へと引き上げてきた印象を受ける。

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装備面を見ても抜かりはない。上下2面構成とされた新型ディスプレイは視認性に優れ、車両情報をひと目で把握できるだけでなく、スマートフォンの専用アプリと接続することでナビゲーション表示などにも対応する。フロントカバー裏のポケットは、右側がカバー付き、左側がオープンタイプと使い分けが可能で、さらに充電用ソケットも備わっている。給油口はシート前方に配置され、車両にまたがったまま給油できるのも地味ながら便利なポイントだ。加えてキーレスシステムの採用により、日常での扱いやすさはさらに高められている。

YECVTという革新的な技術を搭載し、これほど充実した装備内容を備えながら、税抜価格41万8000円、消費税込みでも45万9800円というプライスは、正直言ってかなり魅力的だ。NMAX155は、現在の150~200ccスクーター界において、単なる有力モデルではない。一歩先を行く存在として、新たな基準を提示している一台だと断言できる。

ヤマハ NMAX155 詳細写真

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新たに採用された電子制御CVT「YECVT」を搭載する駆動系ユニット。ライダーのスロットル操作や走行状況に応じて最適な変速比を自動制御し、力強い加速とスムーズな巡航を両立する。NMAX155の走りを次の次元へ引き上げた中核技術だ。

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フロントには大径ディスクブレーキを装備し、制動力とコントロール性を高い次元でバランス。現行型ではフォークもリセッティングされた。スポーティな走行にも対応する足まわりで、NMAX155が単なる通勤用スクーターに留まらないことを雄弁に物語る。

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迫力あるリアタイヤとシンプルかつ機能的なマフラーデザイン。現行型ではリアサスペンションのストローク量が拡大され、路面追従性と乗り心地が向上。日常からスポーツ走行まで幅広く対応する。タイヤサイズはF110/70-13、リア130/70-13。

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鋭い眼光を思わせるLEDヘッドライトを採用したフロントフェイス。スポーティさとプレミアム感を高次元で融合したデザインで、NMAX155のキャラクターを端的に表現している。ブラックスモークのスクリーンも精悍な印象を引き上げる。

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シート高は770mmで、足つき性は良い。前後で着座位置を分けた段付きシートはホールド感に優れ、長時間のライディングでも疲れにくい。質感の高い表皮とステッチも相まって、上級モデルらしい仕上がりとなっている。

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左スイッチボックスにはYECVT用のシフトダウンボタン(親指側)と走行モード切替ボタン(人差し指側)を新設。さらにディスプレイ操作用スイッチも集約され、走行中でも直感的な操作が可能となっている。

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キーレスイグニッションを採用。シートおよび給油口オープンは物理ボタンを採用。フロントカバー裏には左右2つのポケットを装備。右側は蓋付き、左側はオープンタイプで充電用ソケットを内蔵。日常使いでの利便性が高い。

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足を下に置いても前方に投げ出してもリラックスできる広いフットボード。MAXシリーズの象徴であるブーメラン形状サイドカバーをアップデートし、センターアーチ部を使った両足のホールド性も向上している。

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シャープでスポーティなテールデザインを採用。テールランプやリアターンシグナルは新型トリシティ155と共通と思われる構成となっている。グラブバーも握りやすい形状とし、実用性を高めている。

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フルフェイスヘルメットの収納を想定したシート下スペースを確保(形状・サイズにより収納不可の場合あり)。前方左右にはヘルメットハンガーも備え、実用面も抜かりない。

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上下2面構成の新型ディスプレイを採用。上部LCDには走行に必要な情報を集約し、下部TFTではYECVT作動状況や走行モードを色分け表示。Y-Connect連携により通知表示なども可能。

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