
日本のカスタムシーンに様々なパーツを提供すると同時に、ベースとなるシルエットの提案を怠らないのが、部品屋K&Wの基本姿勢である。そのアメリカンテイスト溢れるデザインは、オールドファンから最新ニューウェーブチョッパーフリークまでを網羅していることが特徴だが、最近は、スプリンガーキットの充実を図っている。
カスタムバイクを制作する上で足周りの選択は、全体のシルエットをイメージづける大きなファクターである。出来上がりの想定がクラシカルなデザインならば、スプリンガーフォークは重要なポイントとなるわけで、多くのライダーがそんなシルエットに魅力を感じているのは事実だ。
スプリンガーやガーターフォークというシステムは、基本的には1950年代以前のモデルに採用されてきたものであることから、装着することで一気にオールドテイストを演出することができる。ハーレーをベースにするカスタムでは定番とも言えるモディファイの方法だが、取り付けられる通称74スプリンガーフォークは、あまりに重量がありすぎて、他の軽量モデルでの使用は現実的ではなかった。
国産車のカスタムを数多く手がけ、パーツ販売も行うK&Wでは、カスタムベース車としてポピュラーなヤマハのSRやカワサキのWシリーズ等にも対応するスプリンガーのユニットを開発し、ボルトオン装着できるアタッチメントを制作。完全なキットとしてパーツ販売できる体制を整えつつある。
手軽に手に入るベースモデルで、オールディーズなイメージのスプリンガーカスタムを制作できるということは、多くのユーザーに受け入れられるに違いない。従来ならば汎用のスプリンガーユニットを装着するためのアタッチメントを単品制作することが前提で、そのコストが大きすぎることから、装着を断念する場合が多かったものなのだ。ブレーキユニットやホイールもフォークに合わせたものが必要になり、さらにコストは膨らんでいく。それが理由で浸透しにくいカスタムの方法だったことは事である。
ボルトオンで装着できるスプリンガーキットの存在は、多くのビルダーとユーザーが待ち望んでいたことでもあろう。 軽い車重のシングルやツインモデルへの装着は、気軽なイメージでクラシカルテイストが楽しめるという新たなカテゴリーを生み出しそうだ。
現在、ラインナップされているスプリンガーキットは、ホンダスティード用とヤマハのドラッグスター用、ビラーゴ用。そしてスズキのグラストラッカー用、カワサキのエストレヤ用と250TR用がある。さらに新たにヤマハのSR、用とカワサキのW400・650・800用も近日中にデビューする。
K&Wでは、このスプリンガーユニットだけでなく、独自に開発するガーターフォークも設計途中であるという。オールドアメリカンなイメージであるスプリンガーと違って、ガーターフォークでは、クラシカルなヨーロピアンテイストも表現できるようになる。
戦前モデルのノートンやトライアンフ。ベロセット等の名車に装着されていたガーターフォークもボルトオンキットで販売されれば、さらなるムーブメントが起こる可能性もあるだろう。カスタムとしての幅が広がり、そんなバイクに乗るライダーの年齢層やマインドも大きく変化してくるに違いない。そんなことが想像できる今後のK&Wの仕事に期待したい。
最新の大型加工機械を数多く導入して、イメージするパーツをどんどん生産出来る体制があるのが部品屋K&Wの大きな特徴だ。設計から制作まで自社で行うことで、より個性的なカスタムを世に送り出すことに成功している。汎用性の高いパーツから、各モデルの専用パーツまで用意する数多くのラインナップは、すべて通販にて購入可能であり、ユーザー自らオリジナリティの高いカスタムを制作する上でも大きな手助けとなっているのだ。スプリンガーフォークを装着できる車種が増えていくということは、それだけよりクラシカルなカスタムバイクが制作できるということになり、今後もその流れは続くようである。