取材協力/Dクラブモーターサイクル  取材・文・写真/モリヤン  構成/アメリカンライド編集部
掲載日/2013年12月20日
Dクラブモーターサイクルが現在のスタンスでオープンしたのは2009年である
その以前から存在する同店だが、發知秀充(ほっち ひでみつ)氏が代表となり新体制が発足
4年の活動を経て、新たなる展開としてコンプリートカスタムをスタートさせた

INTERVIEW

待ち望まれているスタイルと
個性的なシルエットを融合させる

發知秀充さんは、元々このDクラブモーターサイクルで働いていたメカニックだった。それがある日、前代表から告げられた「閉店」という状況に対応し、全てを一手に引き受けた人なのである。

 

「ピンチなのかチャンスなのか、やってみなくちゃ分からないと思ったんですよ。ビクビクしていても前には進まないし、どうせいつかは一人で起業しようと考えていたから、まるで一から立ち上げるより、もしかしたら都合が良いかもとポジティブに考えたんです。そしたら何だかドキドキしてきた。武者ぶるいってやつかな」

 

当時、發知さんの年齢は若干28歳。なんとも思いきった決断でまるごと会社を買い取ったというから驚きだ。そしてその後は、がむしゃらに働いてDクラブのスタイルを構築してきた。

 

扱う車種は国産のアメリカンモデルがメイン。もちろんグローバルにカスタムを手掛けるからハーレーや他の外国製バイクも無視するわけではないが、元々發知さんが大のスティードフリークだったこともあり、国産車をモディファイしてカスタムモデルを製作することに情熱を傾けるショップなのである。とりわけ、ベース車両に制限を持たせるわけではないが、やはりスティードベースのカスタムは最も製作台数が多い。そのノーマルシルエットは国産アメリカンの方向性をしっかり導いた優秀なデザインであり、乗り味も抜群だった。そのスティードをベースにチョッパーやボバー等を製作するのは、国産車を幅広く扱う若きビルダーにとって、腕を磨くのにうってつけだったのだ。

 

「ヒット商品だから台数が多い。必然的に僕らはスティードのカスタムで育ってきたと言っていいですね。でも、いつまでも同じような仕事をしていたんじゃ発展しないから、僕らの考えるカスタムのスタイルを提唱しようと思うようになったんです。それがショットブレインというスタイル。特にシルエットに決まりがあるわけではなくて、コンプリートとして製作し、プライスを付けて販売する。僕らが生み出す製品として、スタイルを提案しようというプロジェクトですね」

 

發知さんは青春時代をスティードと共に過ごした人。国産アメリカンには並みならぬ情熱を注ぐ。そしてそのフィニッシュワークには定評があり、アイデアの宝庫でもある。ユーザーからはジョニーさんと親しまれる暖かい人間性と、切れそうなほど鋭い仕事への執念を感じる人だ。その目はしっかりと未来を見据えている。新しくユーザーとなる若いライダーに、ショップのアイデンティティを強く感じさせるカスタムを提供することが、この若きビルダーの強い信念であると感じた。

PICK UP PRODUCTS

驚くほど斬新なデザインと
リーズナブルな価格に脱帽する

ユーザーからのオーダーを待って製作するカスタムではなく、ショップオリジナルのコンプリート製作。そしてその価格は100万円を切る設定で完成させるというプロジェクトがショットブレインである。そのスタイルは様々で、ベース車両の選択にも決まりはない。しかし、フレーム加工やリジットフレームを採用した場合でも、すべて公認車検OKという高いスキルを持って製作されるプロジェクトなのだ。ここに紹介するカスタムバイクは、すべてDクラブモーターサイクルのオリジナルデザインとして製作されたもの。そのすべてに販売価格が設定され、しかも驚くほどリーズナブルである。

 

2013年のホットロッドカスタムショーに出品されたチョッパー。ベースは1994年製のスティード400である。大幅にフレーム加工された大胆なスタイル。大柄に見えるが、ポジションは意外にもコンパクトである。ショットブレインとしての代表作となるであろう。価格89万8000円。

ノーマルフレームベースで加工された車体は、もちろん車検対応として製作されている。ほとんどがワンオフパーツの集合体で、個性的なスタイリングとなっている。

ジョッキーシフトとスーサイドクラッチ。クラッチ操作はワイヤー方式である。ガソリンタンクには契約しているピンストライパーの手によるイラスト。強烈な個性を発揮する。スプリンガーフォークも一から製作された力作。ハンドルバーは肩幅ほどのセミアップスタイルだ。エンジンはノーマルベースにHSRキャブとワンオフマフラーの組み合わせである。

ベースはヤマハのビラーゴ250である。軽二輪ゆえに遊び心をふんだんに入れ込んだショットブレイン。やはりほとんどのパーツがワンオフ製作されていて、ユニークなシルエットとなっている。フレームはリジット。元々小柄な車体を生かしたナローなスタイルとなった。価格89万8000円

高くそびえるスプリンガーフォークやホイールのみブラックアウトさせ、フレームワークの印象を強く焼き付けるデザインになっていることが特徴。手を入れていない場所を見つけることが困難なほど、徹底的なモディファイがなされている。

マフラーは、極めて全長の短いショットガンタイプ。ブラックアウトすることで、その存在を主張しない。リヤフェンダーエンドにはデザインされたクロームパーツを配して、アニメーションに出てくる小悪魔のような演出を。遊び心が満載されている。ワンオフ製作のスプリンガーフォークにセットされるハンドルは、超ナローなポジションだ。タンクにはポップなスカルとショットブレインのロゴを。

とても珍しい水冷VツインエンジンのGL400がベース車両。これも、2013年のホットロッドカスタムショーに出品されたカスタムである。元々はヨーロピアンロードバイクだが、ホイールなど、ノーマルの個性を生かしたカフェレーサーとして、製作されたショットブレイン。イメージは昔の戦闘機であるという。価格69万8000円

元の外装をはぎ取り、エンジンとフレームだけというノーマルのハードを生かしたシルエット。新たに製作された外装は、リベットやエッヂング加工をされたハードなイメージとして、その個性を強調している。マフラーなどはノーマルであることも興味深い。

ガソリンタンクの容量は4リットルほど。ペイントと金属感溢れるハードなイメージが、従来のカフェレーサーとは違う世界を演出する。エンジンはノーマルであっても美しい水冷V型OHV2気筒。リヤフェンダーにもガソリンタンクと同様の加工を施す。メーターはすべてエンジンサイドに集中させ、ハンドルまわりをシンプルにデザインした。

102012年のホットロッドカスタムショーに出品されたスティード400である。車検公認リジットフレームにより、スッキリした外観に仕上がっている。低めのハンドル装着で、ライディングフォームも攻撃的な印象になった1台。価格115万円

11ワンオフ・フロントサスペンションのデザインが個性的な1台。メインフレームはグースネック加工を施し、ラジエターをダウンチューブ内に隠すように設計。そのため、水冷エンジンのネックであるラジエターの存在をほとんど感じさせない仕上がりになっている。価格89万8000円

122012年のジョインツ出品車両。ロングフォークばかりではなく、このようなヴィンテージスタイルも製作するという好例。メインフレームを1本化することで、ノーマルフレームでは似合わないピーナッツタンクを使用しての製作。フロントホイールは23インチ。ドラムブレーキ化ももちろん公認済みというナローなシルエットが個性的な1台だ。価格89万8000円

132010年のホットロッドカスタムショーに出品されたCB500である。1970年代に流行したマルチエンジンのチョッパーを復刻させたかのようなスタイル。もちろんリジットフレームは公認済みで車検も問題なし。エンジンの個性を生かしながら、あらゆるスタイルに挑戦しているのだ。

14ベースはヤマハのXS650である。なんと、ユーチューブで再生回数20万回という大人気のショットブレイン。Dクラブの個性がよく表現されているポップなカスタムだ。ジョッキーシフト仕様。価格98万8000円

15ベース車両はヤマハのDS400である。フロントフォークはスプリンガーではなく、テレスコピックのロングフォーク。シンプルでスマートなチョッパーである。外装とフレームを同色として、シックな落ち着きのあるスタイリングワークとなっている。

16ガソリンタンクは超個性的なクロスタンクと命名された。このカスタムの最もユニークな部分でもある。チョッパーにセパレートハンドルバーという発想もまた個性的だ。エンジンはノーマル。マフラーはワンオフ製作のベントタイプ。リヤには、ショートサイクルフェンダーにチェーンを使用したステーを製作して取り付けている。価格89万8000円

17D-CLUBオリジナル クローズヘルメット(写真は、カスタムペイント済み)
販売価格2万1000円(ソリッドカラー単色)
カスタムペイントは、別途5000円~受付。

18D-CLUBオリジナル 世紀末ヘルメット
販売価格2万9800円
他にもジェイソンタイプなどもラインナップする。

SHOP DATA

D-CLUB MOTORCYCLE

住所/大阪府東大阪市中石切町7-3-6
Tel/072-984-8198
Fax/072-984-8199
定休/毎週火曜日
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東大阪市の環状線沿い。生駒山の西のふもとに位置する近鉄けいはんな線「新石切駅」から徒歩10分ほど。阪神高速ならば、東大阪ジャンクションから東へ、水走出口から北に3分の位置である。クルマのパーキングはないが、店の正面は広く、バイクでの訪問ならば置き場所に困ることはまったくない。看板犬のゴンザブロウ(女の子)が必ず迎えてくれるはずだ。