發知秀充さんは、元々このDクラブモーターサイクルで働いていたメカニックだった。それがある日、前代表から告げられた「閉店」という状況に対応し、全てを一手に引き受けた人なのである。
「ピンチなのかチャンスなのか、やってみなくちゃ分からないと思ったんですよ。ビクビクしていても前には進まないし、どうせいつかは一人で起業しようと考えていたから、まるで一から立ち上げるより、もしかしたら都合が良いかもとポジティブに考えたんです。そしたら何だかドキドキしてきた。武者ぶるいってやつかな」
当時、發知さんの年齢は若干28歳。なんとも思いきった決断でまるごと会社を買い取ったというから驚きだ。そしてその後は、がむしゃらに働いてDクラブのスタイルを構築してきた。
扱う車種は国産のアメリカンモデルがメイン。もちろんグローバルにカスタムを手掛けるからハーレーや他の外国製バイクも無視するわけではないが、元々發知さんが大のスティードフリークだったこともあり、国産車をモディファイしてカスタムモデルを製作することに情熱を傾けるショップなのである。とりわけ、ベース車両に制限を持たせるわけではないが、やはりスティードベースのカスタムは最も製作台数が多い。そのノーマルシルエットは国産アメリカンの方向性をしっかり導いた優秀なデザインであり、乗り味も抜群だった。そのスティードをベースにチョッパーやボバー等を製作するのは、国産車を幅広く扱う若きビルダーにとって、腕を磨くのにうってつけだったのだ。
「ヒット商品だから台数が多い。必然的に僕らはスティードのカスタムで育ってきたと言っていいですね。でも、いつまでも同じような仕事をしていたんじゃ発展しないから、僕らの考えるカスタムのスタイルを提唱しようと思うようになったんです。それがショットブレインというスタイル。特にシルエットに決まりがあるわけではなくて、コンプリートとして製作し、プライスを付けて販売する。僕らが生み出す製品として、スタイルを提案しようというプロジェクトですね」
發知さんは青春時代をスティードと共に過ごした人。国産アメリカンには並みならぬ情熱を注ぐ。そしてそのフィニッシュワークには定評があり、アイデアの宝庫でもある。ユーザーからはジョニーさんと親しまれる暖かい人間性と、切れそうなほど鋭い仕事への執念を感じる人だ。その目はしっかりと未来を見据えている。新しくユーザーとなる若いライダーに、ショップのアイデンティティを強く感じさせるカスタムを提供することが、この若きビルダーの強い信念であると感じた。
ユーザーからのオーダーを待って製作するカスタムではなく、ショップオリジナルのコンプリート製作。そしてその価格は100万円を切る設定で完成させるというプロジェクトがショットブレインである。そのスタイルは様々で、ベース車両の選択にも決まりはない。しかし、フレーム加工やリジットフレームを採用した場合でも、すべて公認車検OKという高いスキルを持って製作されるプロジェクトなのだ。ここに紹介するカスタムバイクは、すべてDクラブモーターサイクルのオリジナルデザインとして製作されたもの。そのすべてに販売価格が設定され、しかも驚くほどリーズナブルである。
D-CLUB MOTORCYCLE
住所/大阪府東大阪市中石切町7-3-6
Tel/072-984-8198
Fax/072-984-8199
定休/毎週火曜日
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東大阪市の環状線沿い。生駒山の西のふもとに位置する近鉄けいはんな線「新石切駅」から徒歩10分ほど。阪神高速ならば、東大阪ジャンクションから東へ、水走出口から北に3分の位置である。クルマのパーキングはないが、店の正面は広く、バイクでの訪問ならば置き場所に困ることはまったくない。看板犬のゴンザブロウ(女の子)が必ず迎えてくれるはずだ。