アメリカンバイクのカスタムパーツを生み続ける、老舗ショップ「アメリカンドリームス」のこだわり
取材協力/アメリカンドリームス  取材・文・写真/野岸泰之  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2015年6月26日
アメリカンバイクを手に入れた後の楽しみといえば、愛車に自分らしさをプラスするカスタム&ドレスアップだろう。そんなアメリカンモデルの楽しみ方を、オリジナルのカスタムパーツの製作・販売や独創的なマシンカスタムでサポートしてきた関東の老舗ショップが「アメリカンドリームス」だ。メーカーを問わず、アメリカンモデルに30年以上携わってきた同ショップが手掛けるワンオフのカスタムシートを中心に、パーツ製作へのこだわりや特徴に迫ってみた。

INTERVIEW

デザイン性や装飾性だけでなく、きちんと
機能性を持ったカスタムパーツを提供

アメリカンドリームスの創業は1980年。当初はバイクや車のフェンダーなどのFRP製品に始まり、その後は多くのバイクパーツ製造を請け負ってきたという歴史を持つ。そのノウハウを活かし、90年ごろからオリジナルブランドパーツの製造・販売をスタート。現在ではカスタムマシンの製作も手掛けるほか、ユーザーの要望に合わせたワンオフパーツの製作で多くのファンを持つ、“確かな技術を持った老舗カスタムショップ”として名を馳せている。

 

「アメリカンバイクのカスタムというと、どうしても見かけの装飾やドレスアップばかりが重要視されがちですが、我々のカスタムはマシンの性能をスポイルしないのはもちろん、機能性も兼ね備えたものになっています」

 

そう語るのは、アメリカンドリームスの店長を務める越智英雄さん。「機能性」とは、たとえばフォグランプはきちんと光が拡散するレンズカットを採用して実用性を確保したり、フェンダーなどのFRPパーツでは、他店では真似のできない独自の成型技術によりリブを入れた仕上がりにするなど、装飾性と強度を両立させていることが挙げられる。シーシーバーなどの金属パーツについても、その形状だけでなく実用に十分な強度が確保できる素材や製造方法を徹底しているという。越智店長はさらにショップとしてのカスタムへの姿勢を話してくれた。

 

「カスタムショップの中には、その店のセンスや価値観にお客様(ライダー)が合わせるケースが見られます。それでお客様が納得しているのなら構わないのですが、うちはあくまで“お客様がどんなマシンに仕上げたいのか”を第一として、その希望を実現するためのお手伝いするというスタンスなんです」

 

アメリカンドリームスが手掛ける多くのパーツのうち、特に人気なのがワンオフのカスタムシートだという。

 

「アメリカンバイクは大柄で、ノーマルシートは万人向けの設計なので、個々のライダーにフィットしていません。ハンドルやステップが遠いまま乗ると、腰の後ろに隙間ができ、加速のたびに体が後ろに動いてしまう。無意識にそれを戻そうとして、結果的にものすごく疲れるんです」

 

個人の乗車姿勢に合わせたぴったりのシートに座ると、コーナーリングの際にも下半身が安定し、ツーリングなどで長時間乗っても疲れ方が全然違うという。

 

「安価なカスタムシートは内部のクッション材に発泡ウレタンを使っているため、やわらかく座り心地には優れますが画一的な同じ型のものしかできません。弊社ではチップウレタンというヘタリが少なく、ある程度硬さのある“スポンジ”を使用しています。これだと形状を変更したり、お客様の体格やポジションに合わせて自在に厚みを増したりできるというメリットがあるんです」

 

ワンオフのカスタムシートを製作する際には、ハンドルやステップなど、交換する予定のものは交換した後、できればマシンに乗って来店してもらうのが理想です、と越智さん。

 

「事前に好みのシートの大まかな形を選んでもらい、車種別のベースにスポンジを貼ります。この時はちょっと厚めに貼り、来店時に実際お客さんのバイクに組んで走ってもらい、“ここを削りましょう”など、細かく調整をします。あとはレザーの色や装飾などを決めればOKです。デザインと同時にポジションを作る、という感じですね」

 

遠方のユーザーには一度スポンジのままのシートを送り、乗ってもらって調整をするという徹底ぶり。コブラシートやガンファイターシートなど、元になるシート形状も多く揃っているほか、ゼロからの完全特注も可能だという。シート表皮の色や組み合わせなど、100種類を超える選択肢があるというのも驚きだ。

 

「バイクに詳しくないとか、カスタム用語を知らなくても気にすることはありません。例えば、美容院で雑誌を使って希望の髪形を見せるのと同じように、気になるバイクの雑誌の切り抜きなどを持ってきて“こんなマシンにしたい”っていうのもOKです。まずはメールや電話で気軽に相談してください」

 

と、越智さん。職人としてのこだわりとフレンドリーさが程よくバランスしているのがアメリカンドリームスの大きな魅力。リピーターが多いというのも納得だ。

 

PICKUP PRODUCTS

職人のこだわりと技術が詰まった
カスタムシート&パーツの数々

アメリカンドリームスのカスタムシートは、FRP製やスチール製など車種に合わせたベース部分にスポンジを貼り、排水加工を施し、表面にビニールレザーを張ったものが基本だ。国産車や逆輸入車はもちろん、ハーレーなど多くの車種に対応。表皮の色やシートの形状、フリンジやコンチョ、ステッチなど装飾の有無など組み合わせは自由自在のため、ここに紹介したものはほんの一例に過ぎない。どの工程にも職人の技が注ぎ込まれ、ていねいな仕上げはまるで工芸品のようでもある。さらなるバリエーションをご覧になりたい方は、アメリカンドリームスのホームページを参照してほしい。(シート張替えは車種・年式問わず制作可能/掲載商品の価格は消費税込み)

 

SHOP INFORMATION

アメリカンドリームス

住所/埼玉県三郷市鷹野3-385
TEL/048-955-6711

アメリカンバイクを中心としたカスタムパーツ製造・販売のほか、カスタムマシンの製作も行う。
シートをはじめワンオフパーツの製作にも定評があり、他店で断られたユーザーの相談にも応じてくれるという頼もしいショップだ。