バイクレース界に現れた超新星、期待のレーシングライダー荒川晃大選手 with BODY TOUGHNESS(動画あり)

掲載日/2020年3月4日
取材協力/おたふく手袋
取材・文/淺倉恵介
構成/バイクブロス・マガジンズ
2019年、日本のバイクレース界に衝撃が走った。11月に鈴鹿サーキットで開催されたシリーズ最終戦MFJ-GPのST600クラスで、驚異的なタイムでポールポジションを奪ったライダーが現れたのだ。彼の名は荒川晃大、若干17歳の新鋭の登場は大きな話題となった。ここでは、その荒川選手の横顔に迫ってみたい。

鈴鹿サーキットのコースレコードを更新!
若干17歳、若い力が日本のバイクレース界を変える?

荒川晃大、東京都出身の17歳。高校に通い、放課後はアルバイトや友人と遊びに出かける、どこにでもいる少年。あどけなさの残る表情からは、彼が凄まじいポテンシャルを秘めたライダーと察するのは難しい。だが、実績がその印象を否定する。荒川選手は、現時点で鈴鹿サーキットのST600クラスのレコードホルダーなのだ。2019年、全日本ST600クラスにデビューしたばかりながら、輝かしい記録を打ち立てたライダーは、どういった人物なのだろうか?

荒川選手が初めてバイクに触れたのは、3歳くらいの頃。当時、お父さんがバイクレースに熱中しており、お父さん主導でバイクに“乗せられた”のだという。

「そのころは、バイクが楽しいとは思えませんでしたね。父に“やらされていた”感が強かったです。自分は、もっと他の遊びがしたいなぁと感じていました。レースに出はじめて、勝てるようになるとだんだん楽しくなってきましたね。それからですね、バイクが好きだと感じるようになったのは」

成長とともに、走るステージはポケバイからミニバイクへとステップアップ。小学6年生の時にはホンダが展開するNSF100のワンメイクレースの全国大会で日本一にも輝いている。中学校に上がると、本格的なロードレースへの挑戦を始める。

すでに、プロのレーシングライダーとして生きていきたいと考えていた荒川選手は、自らの意思でSRS−motoの門を叩く。SRS-motoは、鈴鹿サーキットで行われているレーシングスクールで、次世代レーシングライダーの育成を目的としたもの。motoGPで活躍するなど、日本を代表するライダーのひとりである清成龍一選手も同スクールの卒業生。他にも、数多くの名ライダーを輩出している。

東京で暮らす荒川選手が、鈴鹿サーキットでのスクールに通うのは容易なことではなかっただろう。それでも、自らのステップアップのためには、その労を厭わなかったということだ。中学生という“若い”というより“幼い”年齢で、将来を考えての決断などなかなか出来るものではない。そこが“上に行く”人間の資質なのかもしれない。

2018年に参戦した、鈴鹿サーキットと筑波サーキットの選手権では全戦で優勝。鈴鹿では全戦ポールtoウィンという華々しい記録も樹立し、文句なく国際ライセンスに昇格。そして、2019年シーズン。名門レーシングチームMOTOBUM HONDAから、満を持して全日本ST600への参戦をスタートさせる。荒川選手は、いきなりそのポテンシャルを発揮。開幕戦のツインリンクもてぎ大会の事前テストで、参加ライダーの中でトップタイムを記録したのだ。デビュー戦での優勝も期待されたのだが、予選順位は8位。決勝は7位でレースを終える。

全日本という国内最高峰のレースで、デビュー戦でトップ10でゴールしたのだから、立派な成績といって差し支えない。だが、荒川選手自身は、このデビュー戦の結果に、全く納得できていないのだそうだ。

「他のライダーは、レースウィークでどんどんタイムを上げてくるんです。でも、自分は事前テストのタイムを更新することができませんでした……。自分のウィークポイントが、ハッキリと出たレースでもありましたね」

そのウィークポイントとは、意外にもバトルが苦手というものだった。全日本に上がるまでのレースでは、予選はブッチ切りのタイムでポールポジションを獲得、決勝は独走で逃げ切り優勝というレースが多かったため、競り合って勝つという経験がほとんどなかったのだという。速過ぎたことの弊害、速さが正義のレースの世界で、こんなことがあるのかと驚かされる。その後も、予選順位は良いが決勝でポジションを落とすというレースが続く。転倒で失ったレースもあった。

「第2戦のスポーツランド菅生は、スタートで離されるとレースにならないという意識が強くて、序盤にプッシュし過ぎて転びました。4戦目の筑波サーキットのレース2は後続車に追突されての転倒ですが、もっと予選で頑張ってトップグループで走っていれば、突っ込まれることもなかった。600ccのマシンを走らせるようになってから、あまり転倒していなかったのでヘコみましたね。岡山国際サーキットとオートポリスは初めて走るサーキットだったので、まずコースを覚えるところから始めなければなりませんでしたし……」

最終戦MFJ-GPの舞台は、SRS-moto時代から走り込んできた鈴鹿。思うように事が運ばないシーズンだっただけに、期するものがあったという。レースウィークに入り、早々の好タイムを連発。そして迎えた予選で、見事ポールポジションを獲得。しかも、コースレコード更新まで達成した。タイムは2分11秒810、これは1000ccマシンのレース、全日本JSB1000でも戦えるレベルのラップタイムだ。

「2分11秒台は、最初から狙っていました。狙ったと言うよりは、11秒台が出なければトップと絡めないと考えていました。このタイムが出せなければ、これまでのレースと同じ結果になる……と。実際にポールポジションが獲れて、コースレコードの更新ができたことは、メチャクチャ嬉しかったですけどね」

この大記録は、荒川選手が鈴鹿に慣れている、という理由だけで生み出されたものではない。

「MFJ-GPの前はオートポリスでしたが、そこでコーナー脱出時に加速を始めるポイントが、周りに比べて遅いことに気付いたんです。オートポリスはコーナーのアールが大きくて、バイクが寝ている時間が長い。リヤブレーキを上手く使わないと速く走れないんです。鈴鹿でも、今までと違ったリヤブレーキの使い方を試したりしました」

17歳という若さは、全てにおいて武器となる。成長の速度が違う。結果に結びつかないレースも、そこから貪欲に何かを得て自分の血肉へと変えている。コースレコードを叩き出したのは、予選がスタートし計測が開始された1周目。早々にタイムが出たので、予選時間の多くを決勝を見据えたタイヤの使い方のテストに費やしたというから老獪。レースの組み立ては、既にトップコンテンダーのそれだ。決勝では3位を獲得、初の表彰台に上がったのだ。

全日本初挑戦となった2019年シーズン。苦労することも多かったが、その分だけ荒川選手は成長もした。日本最高峰の舞台で戦うためのスキルを、急速に身につけつつある。間も無くスタートする2020年全日本スーパーバイク選手権。荒川選手は昨シーズンと同様に、MOTOBUM HONDAからST600クラスに参戦が決定している。

「一発の速さは、他のライダーに劣っていないと思います。ですが、スタート直後の勢いが、まだ足りません。スタートしてから3周の間でゴール時のポジションが決まりますから、レース序盤の速さを身につけることが自分の課題です。2020年シーズンは、全戦表彰台に上がることがノルマだと考えています。必ず、チャンピオンを獲ります!」

自らの問題点を冷静に分析しながら、力強くチャンピオン獲得の決意を語ってくれた。そして、17歳の若武者の視線は、その先の未来を見据えている。荒川選手が参戦を希望しているのは、市販バイクで争うレースの世界最高峰、SBKことワールドスーパーバイクだ。

「5年後には世界を走っていたい。SBKでチャンピオンを獲った日本人ライダーは、まだ居ません。自分が、その最初の一人になりたいんです」

その日が来るのを、大きな期待を抱きつつ待とう。荒川選手が世界へと飛び立つのは、そう遠い未来ではないだろう。現在、SBKは日本ラウンドが開催されていない。だとすれば、日本でレースを走る機会は、多くはないはずだ。2020年の全日本、ぜひサーキットに足を運んで、荒川選手の走る姿を自分の目に焼き付けておいて欲しい。

2020年シーズンを戦う荒川選手を
高機能インナーBODY TOUGHNESSがサポート

2019年シーズンの活躍が認められ、ホンダの強化ライダーにも選抜された荒川選手。2020年シーズンは更なる飛躍が期待されるが、ここにきて嬉しいニュースが飛び込んできた。高機能インナーウェアブランドであるボディタフネスを展開するOTAFUKUこと、おたふく手袋株式会社が荒川選手とスポンサー契約を結んだのだ。

おたふく手袋は、大正時代に創業した老舗。社名にある手袋だけでなく、ワークウェアを数多く手がけるメーカーだ。同社の製品中、今大きな話題を呼んでいるのがボディタフネス。ハイテク素材を駆使した高機能インナーウェアで、ワークウェアとしてだけでなく、アウトドアやスポーツ、そしてバイクのインナーとしても注目のアイテム。荒川選手も着用中だ。

ボディタフネスは様々な使用条件に最適化させた豊富なラインナップも特徴のひとつ。その中で、荒川選手のお気に入りが新次元繊維「アウトラスト」を使用したモデル。アウトラストの革新的なところは、オールシーズン対応であることだ。一般的な高機能インナーウェアは、季節に合わせて着用モデルを変えるのが当たり前。だが、アウトラストなら一着で年間を通じて使用できる。

「ボディタフネスにも夏用、冬用といったモデルがありますが、自分は年間を通してアウトラストを着ています。サーキット走行は運動量が多いですし、冬場だからと冬用を着ると、熱くなりすぎちゃうんです。アウトラストなら、夏涼しくて、冬暖かいですからね」

と、荒川選手。夏は涼しく冬暖かい、そんなバイク乗りにとって夢のようなインナーウェア素材がアウトラストだ。その秘密は、繊維に組み込まれたマイクロカプセルに内蔵する相変換物質「パラフィンワックス」にある。相変換とは、加熱や冷却により分子や原子の配置が変わり、構造が変化する現象。パラフィンワックスは、加熱されると液状化し周囲の熱を奪い、冷却されると固体化して熱を放出する。この特性を活かし、蓄熱・蓄冷機能を持たせた繊維がアウトラストなのだ。また、長年のワークウェア作りで培った、着心地の良い作りもポイント。各部に消臭機能を持つ繊維を配して、汗をかいたあとの消臭効果にも優れる。

「チームに薦められて、2019年シーズンから着始めました。実際に着てみる前は、あまり良い印象がありませんでした。自分、コンプレッションタイプのウェアが苦手で……。ですが、ボディタフネスは着心地が良くて、すっかり気に入りました。今では、バイクに乗る時だけでなく、普段着としても使っています」

荒川選手が愛用している、BODY TOUGHNESS JW-540 オーバーザファンクション クルーネックシャツ(3880円 税別)とJW-550 ロングタイツ(3500円 税別)。新次元繊維アウトラストを採用した、オールシーズンモデルだ。画像のカモフラ×レッドの他に、ブラック×ブルーのカラーやレディースも展開している。

運動能力向上や疲労軽減などに効果があるとされるコンプレッションインナーだが、身体を締め付けられる着用感に忌避感を抱く人は少なくない。その点、ボディタフネスの自然な着用感は嬉しい。今まで、コンプレッションインナーを避けていた人も、その恩恵を受けることができるというわけだ。荒川選手の躍進にも、ボディタフネスの存在が一役買っているに違いない。

荒川晃大選手のインタビューを動画でチェック!

INFORMATION

住所/大阪府箕面市船場東3-11-22
TEL/0120-18-3663

創業大正15年、高品質な作業手袋と作業靴下のメーカーとして成長を遂げ、現在は様々な製品を手がけるワークウェアのリーディングカンパニー。近年は、高機能インナーウェアのボディタフネスを展開し、ワークウェアだけでなくスポーツ用インナーの分野にも進出。ボディタフネスはバイク用のインナーウェアとしても優れた性能を発揮し、ライダーからも注目を集めている。