
高い品質と信頼性から世界的なタイヤブランドとして知られるミシュラン。ラジアルタイヤを初めて市販したミシュランは、新技術を積極的に市場へフィードバックしている。今回テストしたスタークロス5は、スタークロス3の後継モデル。各国のモトクロスレースで培った経験と技術が生かされている。ヨーロッパでは2015年に販売を開始し、今回(2016年春)満を持して日本でのデビューとなった。ラインナップされるのはミディアムとソフトの2種類だ。
スタークロス5は、3年に渡るテスト期間を経て市場に送り出された、最新のモトクロスタイヤだ。モトクロス世界選手権で走っているトッププロからファンライドを主たる目的とするアマチュアライダーまで、すべてのライダーのレベルを網羅するよう設計されている。エンデューロ人気が高まっている昨今、FIM規格のタイヤの使用義務がないエンデューロレースでは、ブロックのハイトがありグリップ力の高いモトクロスタイヤを履いてレースにのぞんでいるライダーも少なくない。そのため、スタークロス5にはリヤタイヤのサイズラインナップにモトクロスマシン用の19インチと、エンデューロマシン用の18インチが用意されている。
テストはエンデューロライダーの内山裕太郎選手が担当し、YZ450FXに装着。路面はドライ。タイヤの空気圧はミディアム、ソフトともに1.0に設定。まずはミディアムタイヤをテストした。
「土の路面は固く絞まったハード、柔らかいソフト、その中間となるミディアムに、玉砂利、ウッズ、サンドなど一通り走ってみました。タイヤの設定通りミディアム路面はかなり高いグリップ力を見せてくれます。路面をガッチリつかんで前へ車体をぐんぐん進めてくれます。感心したのは、得意とする路面範囲が広いこと。かなり硬い路面や真逆のサンドでも走ることができます。ハンドリングも素直で、狙った場所へバイクを走らせることができました」。
次はマッドやサンド、牧草地などを得意とするソフト。
「ソフトタイヤにとって本来は苦手な硬い土の上、いわゆるハード路面でもちゃんとグリップして、トラクションを掛けることができます。もちろん、サンドやマディは得意ですよ。ミディアムよりも守備範囲はこちらのほうが広いですね。エンデューロレースだとソフトのほうが得意なコースは多いです。JNCCを走る場合に限れば、ミディアムなら爺ヶ岳、テージャスランチ広島。ソフトはグリーンバレー森羅、爺ヶ岳、ワイルドボア鈴蘭、栗子国際といった所ですね」
タイヤ交換のしやすさに関しては、一般的なモトクロスタイヤやエンデューロタイヤより若干ビードが固く感じられた。これは、タイヤに高い力がかかった時でもチューブの破損やリム外れを抑制するよう、ケーシング剛性が最適化されているからだ。