本格的に寒くなりました。取材撮影には辛い季節です。ナニがって寒さよりも日照時間の短さです。
朝は陽が射すのが遅い、午後は陽が落ちるのが早い。したがって、陽の光前提の撮影は時間が相当削られます。
そんな環境でも仕事は仕事。やるべきことはやらねばならぬナニゴトも。
撮るべきカットを時間に追われながらロケーションを変えつつカメラマンに最高のパフォーマンスを発揮してもらう。編集の役割ですね。
心ひそかに「よっしゃ!」と思うのはカメラマンが遊び始めたとき。最初の写真のように「雰囲気の良い写真」を勝手に撮り始めます。
バイク雑誌でよく見かける、車体のロゴやエンブレムにぐぐっとフォーカスした陰影のある絵ですね。なかなか良い感じです。でもこれは序の口。
「ン~~もうちょっとかなぁ」
なんて言いながら撮ったのが次の写真。
順光とは逆サイドの影になっている車体側面にレフで光を当てて真ん中(シート)だけを暗くする。
「さっきよりはいいかな。影にピンだけど(笑)」
と、独り言カメラマンを泳がせながらレフを動かしてくすぐってみる。
「あ、そこで止めて」
最終的にこのカットで落ち着きました。順光側は白く弾けて逆側のレフで光を送っているシュラウドにピンを当て、グラフィックを浮き立たせています。
最初のカットから3枚目まで、時間にして1分未満。次の撮影に移ります。太陽は待ってくれません。
冬の光は乾いていて白くて透明度が高い「尖った光」だとタナカは勝手に思っています。プロの写真家の目にはいったいどんな光が見えているのか……そんなことを考えるのも楽しいものです。