今日から使えるライテク実践講座-「サーキットを走るにはどうしたら…?」

Text / Kentaro SAGAWA Photo / Satoshi MAYUMI  取材協力 /ライディングアカデミー東京  撮影協力 / トミンモーターランド
ライディングアカデミー東京」佐川健太郎の“スマテク”とは?
普段から役立つ実践的なノウハウや方法をレクチャーしてくれるのは、バイクライフをもっと豊かにするためのライディングスクール「ライディングアカデミー東京」の佐川健太郎校長。せっかく手元にある大型バイク、安全に走りを楽しみ、満面の笑みで1日を終えたいもの。そのためには、ライダー自身のスキルアップと安全意識の向上、環境へも配慮したスマートなライディングを目指したい。それが“スマートテク”なのだ。
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しっかり準備して
安全に走りを楽しもう!

サーキットと言うと、どうしてもレースのイメージが強くなりがちですが、必ずしも人と競って速く走らなくてはならないわけではありません。サーキットはスポーツ・ライディングの醍醐味を楽しみつつ、安全に効率的にスキルアップできる場所でもあるのです。

 

ただし、サーキットを走るためにはそれなりの準備が必要です。まずはマシンの整備。これは公道走行でも同じですが、事前にしっかりとメンテナンスしておくことが大事です。特にブレーキまわりの取り付け、エンジンオイルの量とドレンボルトの締め付け、タイヤの空気圧と摩耗状態、ガソリン残量などは必ずチェックしておきましょう!

 

次にライダーの装備。安全性を考えたらレザースーツが最適ですが、最低でもライディングウェアを揃えましょう。革パンとプロテクター入りのジャケット、しっかりした革のグローブとブーツの組み合わせであれば、体験走行程度なら大丈夫です。

 

体調管理も大事。サーキットは速度レンジが高いため、一瞬の判断や操作のミスが大きなアクシデントにつながりかねません。二日酔いなどは論外ですが、過度に疲れていたり、心配ごとを抱えているときなどは走行をキャンセルするぐらいの勇気も必要です。ライディングにはメンタル面が大きく影響するのはご存じのとおり。サーキット・ライディングは立派なモータースポーツなのですから、体調を万全にして臨むのは当然ですよね。

 

そして「ルールとマナー」を知ること。サーキットを安全に楽しむためには、全員が決まりごとを守って走ることが絶対条件になります。これは公道でも同じですよね。ルールとマナーを守り、ちゃんとした装備を身につけ、整備されたマシンに乗ることは、自分だけでなく周りのライダーを守ることにもつながります。

 

本格的にサーキット走行を始めたいなら、全国の主要サーキットで行っているライセンス講習会を受講するのが確実です。「そこまではちょっと…」という人は、まずは走行会やライディング・スクールなどで、気軽にサーキットを体験してみるといいでしょう。きっと新しい世界が見えてくるはずですよ!

Practice - 走行前の予備知識

レザースーツはサーキットの正装。仰々しく見えますが、安全性と動きやすさでこれに勝るものはなし。背中にコブ付きのレーシングタイプでなくても全然OKですが、動き易さの点でセパレートよりワンピースタイプがおすすめ。価格は多少高めですが、長い目で見るとフルオーダータイプがおすすめです。

レザースーツが正装

レザースーツはサーキットの正装。仰々しく見えますが、安全性と動きやすさでこれに勝るものはなし。背中にコブ付きのレーシングタイプでなくても全然OKですが、動き易さの点でセパレートよりワンピースタイプがおすすめ。価格は多少高めですが、長い目で見るとフルオーダータイプがおすすめです。

 

レザースーツを選ぶときは、MFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)認定タイプが安心。写真のような公認タグが縫い付けてあるかチェックしてみてください。スーツは大きな転倒などがなければ10年以上でも使えますが、2年毎ぐらいにパッド類を交換し、専用のクリーニングに出すことをおすすめします。

MFJ公認タイプがおすすめ

レザースーツを選ぶときは、MFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)認定タイプが安心。写真のような公認タグが縫い付けてあるかチェックしてみてください。スーツは大きな転倒などがなければ10年以上でも使えますが、2年毎ぐらいにパッド類を交換し、専用のクリーニングに出すことをおすすめします。

サーキット走行においては安全性とフィット感の点でフルフェイス型がおすすめ。適正サイズを選ぶことはもちろんですが、風圧で揺すられないよう、内装を少しきつめに調整するのがコツです。シールドは暗すぎないものを。万が一のときに脱着をしやすくするヘルメットリムーバーの装着が一般化してきています。

やはりフルフェイスが安心

サーキット走行においては安全性とフィット感の点でフルフェイス型がおすすめ。適正サイズを選ぶことはもちろんですが、風圧で揺すられないよう、内装を少しきつめに調整するのがコツです。シールドは暗すぎないものを。万が一のときに脱着をしやすくするヘルメットリムーバーの装着が一般化してきています。

 

グローブはまずフィット感が大事。レバーを握ったときに違和感やツッパリ感なく操作し易いことがポイントです。また、スーツの袖の上から完全に手首が隠れるタイプを選びましょう。指や甲部分にハードプロテクターを装備するタイプの場合、握ったときに位置がずれないか、当たって痛くないかも要チェック。

手首が隠れるタイプを

グローブはまずフィット感が大事。レバーを握ったときに違和感やツッパリ感なく操作し易いことがポイントです。また、スーツの袖の上から完全に手首が隠れるタイプを選びましょう。指や甲部分にハードプロテクターを装備するタイプの場合、握ったときに位置がずれないか、当たって痛くないかも要チェック。

 

足は転倒時にケガをし易い部分。ブーツは脛やくるぶし、踵などがしっかりプロテクターで守られていることが条件です。操作性も大事で、ガッチリ作られていても足首を上下方向に自由に動かせることがポイント。サーキット走行ではバンク角が深くなるため、爪先にスライダーを装備したタイプがおすすめです。

ペダル操作し易いものを

足は転倒時にケガをし易い部分。ブーツは脛やくるぶし、踵などがしっかりプロテクターで守られていることが条件です。操作性も大事で、ガッチリ作られていても足首を上下方向に自由に動かせることがポイント。サーキット走行ではバンク角が深くなるため、爪先にスライダーを装備したタイプがおすすめです。

速度レンジが高くタイヤに大きな負荷がかかるサーキットでは、公道走行に比べてタイヤの発熱量も多くなります。タイヤ温度の上昇で内圧が高くなり過ぎると、かえって接地感が乏しくなったり跳ねたりといったネガも。サーキット走行では空気圧を規定値より1割程度下げた方がフィーリングも良くなる場合があります。

空気圧はやや低めに

速度レンジが高くタイヤに大きな負荷がかかるサーキットでは、公道走行に比べてタイヤの発熱量も多くなります。タイヤ温度の上昇で内圧が高くなり過ぎると、かえって接地感が乏しくなったり跳ねたりといったネガも。サーキット走行では空気圧を規定値より1割程度下げた方がフィーリングも良くなる場合があります。

 

サーキットではバックミラーやウインカーなど、走行に必要でないパーツ類はなるべく取り外しておきます。万が一転倒したときのダメージを低減出来ますし、ライダー自身の安全のためにも余計なものは付いていない方が無難です。現場で簡単なメンテナンスができる程度の最低限の工具類は持参しましょう。

外せるものは外す

サーキットではバックミラーやウインカーなど、走行に必要でないパーツ類はなるべく取り外しておきます。万が一転倒したときのダメージを低減出来ますし、ライダー自身の安全のためにも余計なものは付いていない方が無難です。現場で簡単なメンテナンスができる程度の最低限の工具類は持参しましょう。

 

ヘッドライトやテールライト、ウインカーなどの灯火類には、転倒時の飛散防止のためガムテープなどでテーピングを施しましょう。割れた破片などをタイヤが拾うとパンクすることもあり危険です。ただし、何日もテーピングしたまま放置すると固着して剥がしにくくなるので注意。帰りはテープを剥がすことを忘れずに!

テーピングはマナー

ヘッドライトやテールライト、ウインカーなどの灯火類には、転倒時の飛散防止のためガムテープなどでテーピングを施しましょう。割れた破片などをタイヤが拾うとパンクすることもあり危険です。ただし、何日もテーピングしたまま放置すると固着して剥がしにくくなるので注意。帰りはテープを剥がすことを忘れずに!

 

 

ストレッチで人間もウォームアップ!

どんなスポーツでも準備体操をしますよね。モータースポーツでもあるライディングも同じです。ストレッチには筋肉の緊張を緩和させて柔軟性を高める効果がありますが、同時に血流を良くして体を温める効果もあります。特に寒い日などは体が強ばっているので、入念にストレッチを行ってウォームアップしましょう。ライディングでは特に下半身の筋肉を使うので、足首やヒザ関節、太股や腰のストレッチが大事です。また、無理のないハングオフ・フォームを作るためには、股関節を中心とした下半身の可動域を広げることがとても重要になります。もちろん腕や肩、首も含めてしっかりと伸ばしておいてください。

スマテク+α - 走行中、走行後の予備知識

コース上でいきなり左右にバイクを振りながらローリングしている光景を見かけますが、これは転倒のリスク大。まずは直線でしっかり加速、コーナー手前ではしっかりブレーキをかけて前後輪に負荷をかけて発熱を促すことがポイントです。「タイヤを揉む」ようなイメージで徐々にバンク角を増やしていきます。

いきなりローリングはNG!

コース上でいきなり左右にバイクを振りながらローリングしている光景を見かけますが、これは転倒のリスク大。まずは直線でしっかり加速、コーナー手前ではしっかりブレーキをかけて前後輪に負荷をかけて発熱を促すことがポイントです。「タイヤを揉む」ようなイメージで徐々にバンク角を増やしていきます。

 

もし転倒してしまったら、まずは自分の安全確保を最優先してコース外へ避難し、係員の指示に従いましょう。また、2次災害を防ぐため、転倒者の救助には入れません。コース復帰する場合は、落ち着いて人車のダメージをチェックし、オイルや砂利でコースを汚さないよう注意しつつ、コース脇を徐行しながら再スタートします。

再スタートは慎重に!

もし転倒してしまったら、まずは自分の安全確保を最優先してコース外へ避難し、係員の指示に従いましょう。また、2次災害を防ぐため、転倒者の救助には入れません。コース復帰する場合は、落ち着いて人車のダメージをチェックし、オイルや砂利でコースを汚さないよう注意しつつ、コース脇を徐行しながら再スタートします。

寒い季節は路面温度も低く、一度温まったタイヤもすぐに冷えてしまいます。短い休憩時間のつもりでも、再び走り出す前にタイヤを手で触ってみるぐらいの慎重さが必要。タイヤは「人肌」程度に温まってはじめてグリップし始めます。市販のタイヤ温度センサーを活用するのも手ですが、やはり最後は自分の身体感覚が頼りですね。

タイヤ温度は頻繁にチェック!

寒い季節は路面温度も低く、一度温まったタイヤもすぐに冷えてしまいます。短い休憩時間のつもりでも、再び走り出す前にタイヤを手で触ってみるぐらいの慎重さが必要。タイヤは「人肌」程度に温まってはじめてグリップし始めます。市販のタイヤ温度センサーを活用するのも手ですが、やはり最後は自分の身体感覚が頼りですね。

 

サーキット走行中はすべてフラッグによって指示が出され、ライダーはそれに従う義務があります。レースに出なくてもライセンス講習会やライディングスクールなどで、フラッグについての最低限の種類と意味は学んでおくべきです。走りに夢中になってフラッグを見落とすことがないように注意しましょう!

フラッグの意味を知っておこう!

サーキット走行中はすべてフラッグによって指示が出され、ライダーはそれに従う義務があります。レースに出なくてもライセンス講習会やライディングスクールなどで、フラッグについての最低限の種類と意味は学んでおくべきです。走りに夢中になってフラッグを見落とすことがないように注意しましょう!

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スマテク講座 講師
佐川 健太郎(Kentaro SAGAWA)
「ライディングアカデミー東京」校長。1963年東京生まれ。モーターサイクルジャーナリストとして2輪専門誌等で活躍中。公道で役立つ実践的な低速系ライディングから、モータースポーツとしてのサーキットライディングまで、テクニックやノウハウに造詣が深く、メーカー系イベントや各種スクール、走行会などでも講師を務める。米国ケビン・シュワンツ・スクール修了。MFJ公認インストラクター。