HONDA CB750F
1969年発売の初代OHCから10年の歳月を経て登場したツインカムCB750F。車体、エンジンの設計はOHCのKシリーズと比べて大きく進化しているものの、すでに新車時からは35年が経過している。よほど大切に保管されてきた車両で無いかぎり、今後も調子よく走るためには、大きなメンテナンスが必要になるケースもある……。そんな希少な絶版車の、特徴とウィークポイントを見てみよう。
キャブレター
ゴム製ダイヤフラムを持たないキャブレター。トップキャップの歪みや内壁の腐蝕により、バキュームピストンの動きが悪化することがある。また、スロットルリンク部からの二次エアの吸い込みに注意。
ガソリンタンク左下側の角
ガソリンタンク左下側の角の部分は、サイドスタンドで停めると水が溜まりやすく最も錆びやすい。酷い場合は穴が開いてガソリンが漏れるので、塗装の下からサビが浮いてきている場合は念入りにチェックしよう。
カムチェーン
テンショナー異常によりたるみすぎて破断することもあるプライマリー&カムチェーン。共に純正同様の高品位な新品がアドバンテージで手に入る。オーナーは手に入るうちにストックするのもお勧めだ。カムチェーンテンショナーのコンディションにも注意しよう。
メーター
タコ、スピード共にメーターケースが樹脂製のため、ワイヤー取り出し部分などが割れることが多いそうだ。割れると針の触れや異音が出るケースもある。同じメーターのCBXも同様の割れが出るそうだ。
スイッチボックス
樹脂製スイッチボックスも要注意。締め付けすぎや劣化で割れていることが多い。ライトスイッチ付き国内仕様のものは、常時点灯のアメリカ仕様の逆車に流用されるケースも多く、程度の良いものは貴重だそうだ。
マスターシリンダー
マスターシリンダーのリザーバータンクにマイクロクラックが入って透明度が失われているケースは多い。また、タンクのゆがみによって蓋がキッチリ閉まらなくなっているケースもあるようだ。
エンジン
DOHCエンジンでシリンダーヘッドの奥まった部分に位置するプラグキャップは、常に高温に晒されている。特にCB-F系エンジンはクリアランスが少ないので、熱劣化が激しいようだ。点火不良にも繋がるので注意したい。
電装
ハーネス接続部のカプラーは焦げなどが無いか注意したい。またバッテリーは、開放型なので電圧や液量だけでなく、ベントチューブが確実に接続されて車体下部に導かれているか点検しておく。希硫酸が付着するとフレームは腐蝕するので要注意。
フロントフォーク
レアなケースだが、事故や転倒が無くともハードなライディングによりボトムケースが曲がる車輌も存在するようだ。インナーチューブの錆や摩耗と同時に注意したいポイントとなる。またリアショックも確認しよう。
CB750Fシリーズ
1979 CB750FZ
トリプルディスクブレーキ、FVQダンパー採用のリアショック、ジュラルミン鍛造セパレートハンドルなど、革新のスーパースポーツモデルとして登場。多くの中免ライダーがその堂々としたスタイルとDOHCエンジンの鋭い吹け上がりに憧れを抱くことになった。
1981 CB750FB
ホイールがコムスターから裏コムスターへ変更されると同時に、フロントセミエアサスペンション、2ピストンキャリパーを採用。足周りを中心に強化された。またこのFBからフロントエアロフェンダーを装備する。バリバリ伝説主人公の愛車として一躍人気が上昇した。
1982 CB750FC
最終型FCは、フロント18インチ、フォーク径の変更、アンチノーズダイブ機構(TRAC)の採用の他、エンジンがブラックペイントされるなど、装備も外観上も最終型にふさわしい豪華な仕上がりを見せる。ウインドプロテクション効果が高いインテグラも併売された。