小田原~箱根方面

掲載日:2009年05月27日 ツーリング情報局関東エリア    

ツーリング情報局

頼朝が愛した
古路を往く

神奈川県西部、静岡県との県境は伊豆半島の東側の付け根に位置し、平地の少ない海から迫る山々と海に沿って延びる道が特徴的な地域である。歴史的には平安時代に開かれた寺院や湯治場がその起源とされるが、源頼朝の挙兵の地としても知られ今でも所縁の史跡がのこる古湯の町でもある。

 

西湘バイパスを西へ。終点の石橋料金所は休日ともなれば行楽地へと向かう車で渋滞しているところであるため、手前の早川ICでバイパスを下りて国道135号線を進む。海岸の岩場には釣り人の姿があり、その先には伊豆半島や初島を望める。この日最初に立ち寄ったのは東海道本線の根府川駅。ここは断崖に建つ小さな無人駅で、駅舎に入ると真下に線路がある。そして相模湾を一望できるとても趣のある駅である。根府川駅から程近く、国道から脇道へと上がる坂道を登ると“星のコテージ・自家製ケーキ”の看板のあるログキャビンがある。みかん山の静かな環境の中にコテージがあり、その管理棟にあるお店で、イチオシという子羊のカレーを食す。爽やかな香辛料と深みのある味わいに満足したところで、次の目的地、真鶴半島を目指す。

 

真鶴半島はその名の通り鶴が羽を広げたような形をした小さな半島である。自然の造形物はモノの大小に関わらず周囲との大きさのバランスで受ける印象が異なる。真鶴半島がその典型で、わずか3キロ平方メートルという小さな半島にもかかわらずその眺めは雄大で天候によって東は江ノ島から房総半島、西に伊豆半島、南に初島や伊豆大島と視界に広がる大パノラマを見せてくれる場所である。また、ここから湯河原方面へ向って山を登った星ヶ山公園では真鶴半島を空から眺めたような景色が広がっており、登山で山の頂から景色を眺めた時に同じように、言葉より先に思わず溜め息が出てしまう場所がある。

 

真鶴から西へ、静岡県との県境の町、湯河原へと向かう。湯河原は万葉集にも詠まれた古湯であり、国道135号線から県道75号線に入り先へ進むと千歳川に沿って歴史ある温泉旅館やホテルが軒を連ねている。時間帯によっては多くの旅館やホテルで日帰り入浴が可能であるが、今回は町営の“こごめの湯”に立ち寄ることにする。弱アルカリ性の泉質は美肌の湯としても知られ、地元の住人も多く寄せている。

 

ししどの窟トンネル。椿ラインから脇道に入ったトンネル。出口にししどの窟の入口がある。

ししどの窟トンネル。椿ラインから脇道に入ったトンネル。出口にししどの窟の入口がある。

入口から10分ほど道を下ると窟に辿り着く。歴史を感じる窟。清水の落ちる音が何ともいえない雰囲気を醸しだしている。

入口から10分ほど道を下ると窟に辿り着く。歴史を感じる窟。清水の落ちる音が何ともいえない雰囲気を醸しだしている。

 

こごめの湯を後に、椿ラインを通り箱根大観山を経由するルートで帰路につく。途中、公衆トイレがある分かれ道へ入り、その先にあるトンネルの出口付近に、ししどの窟へと通じる道がある。入り口でバイクを下りて弘法大師の像が並ぶ道を5分ほどかけて下ると、清水が落ちるどこかひっそりとした窟へと辿り着く。ここはその昔、源頼朝が挙兵の際に、石橋山の合戦で敗れて逃げ隠れた場所だと伝えられている。ひっそりとしたその場所を後に、本日最後のポイント、箱根大観山へと向かう。BMWモトラッドの試乗会が定期的に行われている場所なので知っている方も多いだろう。ここからの眺めも格別だ。

 

今回は小田原から海沿いを走ってみたが、ターンパイクから逆に進むルートでも、また違った楽しさがある。気の向くルートで訪れてみてはいかがだろうか。

星のコテージ。R135から小田原C.C.の案内板を頼りに坂道を登ると途中にある。

星のコテージ。R135から小田原C.C.の案内板を頼りに坂道を登ると途中にある。

 

子羊のカレー。肉の臭みは無く、香辛料の爽やかな香りが心地よく鼻に抜ける。

子羊のカレー。肉の臭みは無く、香辛料の爽やかな香りが心地よく鼻に抜ける。

スポット紹介

離れのやど 星ヶ山

住所/神奈川県小田原市根府川592

電話/0465-28-1122

URL/http://www.hosigayama.com/

こごめの湯

住所/神奈川県足柄下郡湯河原町宮上562-6

電話/0465-63-6944

営業/9:00~21:00(受付は20:30まで)

定休/月曜(祝日の場合は翌日)

石村雄介さんYusuke ISHIMURA (BMW BIKES Correspondent)
プロフィール
石村雄介さん
Yusuke ISHIMURA (BMW BIKES Correspondent)

東京都心から神奈川県西部、城下町として長い歴史のある街、小田原市へ引っ越したのを機に、休日ともなるとツーリングへ出かけるBMW R1200GSオーナー。小さなクーラーBOXと簡単なキャンプ道具を載せて、近場で新しい発見を愉しんでいる。

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