USAツーリング1.2日目

掲載日:2007年08月28日 ツーリング情報局海外エリア    

激走アメリカ3,200km
3回にわけてレポートします

イメージこんにちは、編集部のターミーです。

本来、ツーリング情報局の掲載記事は基本的に皆さんが気軽に走りに行くことができる日本を紹介するコーナーです。しかし、“世のツーリングスポットを大調査”と謳っている手前、チャンスがあれば世界のツーリング情報も取り上げたいという野望を胸に秘めていました。たまたま2007年6月にアメリカをツーリングする機会がありましたので、そのツーリングレポートを番外編として3回にわけて紹介しましょう。このアメリカツアーは10日間の日程でしたが、実際にバイクで走行したのは7日間。約3,200kmの道のりを走ってきました。まずは海外ツーリングに欠かせないバイクの手配から。私はハーレーを持ち込まなかったので、現地のディーラーでレンタルしましたが、BMWなどの他メーカーの大型バイクを現地でレンタルすることも可能です。レンタルバイクは全米にネットワークがある専門ショップがありますので、そこで手配しましょう。ちなみに、バイクの予約や宿の手配などは日本から旅行会社を通じても行えますし、現地で自分で行うことも可能です。

イメージさて、旅行の手配についてはこの程度にして、ツーリングレポートに入りましょう。私はロサンゼルスでバイクをピックアップしたのですが、ここは大都会。バイクで走り回って楽しい場所ではありません。アメリカツーリングの醍醐味は、都会を離れだだっ広い田舎を走ること(と私は思います)。フリーウェイを駆け抜けて田舎へと向かいましょう。フリーウェイとは日本の高速道路に当たる道で、全米各地を結んでいます。速度制限は都市部に近いところでは55マイル(約90km)前後、地域によっては80マイル(約130km)ほどでの走行が認められています。州によって速度制限も違うみたいなので、速度標識を注意して見ておきましょう。この旅で走ったフリーウェイは気持ちよく車が流れているところがほとんどでしたが、都市部では日本のような渋滞もあります。広大なイメージの強いアメリカですから交通渋滞なんて無さそうですが、都市部ではあるんですよ。現地での交通ルールがほとんどわからない私でしたから、ロサンゼルスを抜けるまではじっと我慢して、熱気ムンムンのフリーウェイをゆっくりと走りました。

イメージ走行車線の右左が逆、見たこともない道路標識が多いアメリカの道にやっと慣れてきた頃に、フリーウェイを降りることに。慣れない異国の地でのツーリングですから、初日は無理せず、そこそこの距離に留めておくことをオススメします。走行車線が左右逆なので、慣れるまでは時間がかかりますから。また、こちらは道路の状態あまりよくありません。「何でこんなモノが落ちているの?」という落し物もチラホラ。バーストしたタイヤなんて当たり前、スコップも落ちていました。一番驚いたのは、食肉用トラックから落ちたと思われる牛が、道路に放置されてしまっていたこと(悲)。乗り上げてしまえば、確実に大事故です。フリーウェイを降りてからは、途端に交通量が少なくなる道を走り「パームスプリングス」という街へ。ロサンゼルスから200kmもないところにある街で、リゾート地として有名なようです。ここで初日のツーリングは終了。

視界の先まで続く風車群
風の強さにバイクごと流される…

イメージ翌日は早朝から走り始めます。6月のこの辺りはやたらと暑いので、まだ涼しい早朝のウチから走りはじめるのが気持ちいいんです。早めに走りはじめれば、その分目的地に到着するのも早くなりますし。日が暮れる前にモーテルに入り、のんびりと食事をしたりビールを飲んで寛ぎたいんですよね。というわけで、一日の終わりのビールを楽しみにしながら、早々にパームスプリングスを出発したというわけです。

まずは、ほど近い場所にある「ジョシュアツリー国立公園」に向かいます。街の近くを走ると異常な数の風車が目に入ってきました。この辺りは非常に風が強く、風力発電が盛んなのだとか。日本に戻ってきてから気づきましたが、映画やCMなどでここの風車群をTVで見る機会は多いんです。視界の先まで風車が続く、この景色は凄まじいモノがありますが、風力発電が盛んなだけあって風の強さもハンパではありません。私は400kg近い重量のバイクで走っていたんですが、強い横風に押され反対車線まで押しやられてしまいました…。対向車が入れば確実にアウトです(笑)。アメリカでレンタルできるバイクで軽量なモノはまずないでしょうけれど、この辺りを走るときは本当に気をつけてくださいね。シャレにならない風の強さですよ。

イメージそしてやってきたジョシュアツリー国立公園。国立公園と聞くと綺麗に整備された観光地をイメージするかもしれませんが、観光客向けの施設は1つもないかも。だだっ広い公園の敷地内に舗装された道が通っているだけです。アメリカの国立公園には観光地化されているところもありますが、こんな素っ気ないところもあります。ただし、土産物屋も何もないジョシュアツリー国立公園も、道の左右に流れて行く景色は日本ではとても見られないものでした。公園の名前にもなった、サボテンに似た植物“ジョシュアツリー”が並び、大小さまざまな岩山が周囲にゴロゴロと。この岩山を利用してロッククライミングを楽しむ人が多いらしく、愛好家には有名な場所なのだとか。

イメージ荒野、岩山…いかにもアメリカの荒野らしい景色が広がっています。最初はアメリカの西部は“砂漠地帯”と聞いていたので、砂だらけの場所かと思いきや“砂漠”とは砂だらけの場所を指すだけじゃないみたいですね。ジョシュアツリー国立公園のような荒野も、広い意味では砂漠地帯にあたるようです。この先、ここみたいな場所を散々走ることになるのですが、本格的なツーリング初日の私にとっては充分に満足の行く景色でした。ちなみに、アメリカ全土に点在する国立公園は入り口で入場料を支払わなければいけないのですが、いくつもの国立公園を回る人は「National Park Pass」という周遊パスがお得です。有効期間は1年間で、その間どこの国立公園もこのパスで入場できるんです。

ヒストリック ルート66
歴史ある道を駆け抜ける

イメージジョシュアツリーを後にして、世界中のライダーにその名が知られている「ルート66」へ向かいましょう。ルート66は大陸を横断する国道として、かつては重要な役割を果たしていました。しかし、フリーウェイなどの道路が整備されるにつれ、現在は経済道路としての役割は担っていません。今は旧き良きアメリカの名残を残す観光道路として、世界中から訪れる観光客に人気なんだとか。以前もルート66を(車で、ですが)走ったことはありましたが、自分の運転するバイクでルート66を走るのは初めて。どれほどの感動が待ち受けているのか…と思いきや、案外普通の道でした(笑)。いかにもアメリカらしい直線ばかりの道が続きます。バイクで走るには確かに最高に気持ちいい道なのですが、路面状態のよくない普通のアメリカの道。日本と違って、アメリカはどこを走ってもバイク乗りにはたまらない最高の道ばかり、ちょっとやそっとの道では感動しなくなってくるんですね。贅沢な話ですけれど(笑)。

イメージただし、ところどころにあるカフェはノスタルジックさをかきたててくれました。「ロイズカフェ」や「ハックベリージェネラルストア」という、以前はカフェ&ガソリンスタンドだった場所でちょこちょこと休憩します。私はハックベリージェネラルストアの方がお気に入り。ここはルート66上の有名な観光地で、いつも真っ赤なコルベットが停まっています。落ち着いた佇まいのカフェの中は観光客向けにTシャツなどの販売もやっていますが、とにかく暑いのでドリンクとアイスを買って休憩。空気が乾燥した非常に暑い中を走ってきたので、こういう場所ではきっりち水分補給をしなければいけません。日本では見かけない水やジュースのボトルばかりですが関係ありません。知らないドリンクにチャレンジ。たまに妙な味のジュースに当たってしまうこともありますが、気にせずガブガブと水分を摂ってください。そうしないと熱中症になってしまいますから。

イメージハックベリージェネラルストアでしっかり休憩し、2日目の宿泊地「セリグマン」という街へ。ルート66を真っ直ぐ走るだけで到着します。前後に行きかう車もなく、地平線の先まで見渡せるような直線を走っていると、ついスピードを出しすぎてしまっていました。周りの大地が広大すぎるため、スピードを上げても景色が流れていくのが遅く感じてしまうんです。周りにビルや建物があれば速度感を感じられるのでしょうけれど…。こちらでスピード違反で捕まると、いろいろとヤヤコシイことになるそう…。一応スピードは控え目に。結局、セリグマンまでは信号に捕まることが一度もなく、思いのほか早くに街に到着してしまいました。ハックベリーからセリグマンまで100kmほどは走ったはずなのですが、あっという間でした。流れていく景色を漫然と眺めながら、頭をカラッぽにしてただ走ることを楽しむ…そんな走り方をすると時間の感覚がおかしくなってしまいます。あまりに気持ちいいところを走り続けると、時間と距離の感覚がおかしくなってしまうので“近い”、“遠い”の表現が非常に難しいですね。

イメージセリグマンはルート66が経済道路として廃れるにつれ、街の存続自体が危ぶまれるほど経済が落ち込んだようですが、現在は観光産業で息を吹き返し、街並みはノスタルジックなアメリカの佇まいを残しています。セリグマンはルート66上の観光地としてはかなり有名らしく、土産物屋が何件も軒を連ねていました。エンジェルさんという名物おじいさんがいる土産物屋もあって、わざわざ観光バスで乗り付ける人たちもいましたよ。バスツアーをするのは日本人くらいかと思っていましたが、こっちの人もバスツアーをするんだなぁ、と楽しませてもらいました。2日目はここセリグマンのモーテルに泊まります。モーテルは日本でいうビジネスホテルみたいなところなのですが、部屋の目の前にバイクや車を停められるところが多いので、アメリカを旅するときは非常に便利です。ホテルの中を荷物を押して移動する苦労もなく、街から街へ旅をして走る人には欠かせない宿泊施設ですよ。宿泊費も高くありませんし、だいたい近くにはレストランや雑貨屋がありますから。何かと便利です。

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バージンハーレー編集部 ターミー
プロフィール
バージンハーレー編集部 ターミー

数々のバイクを乗り継ぎ現在はハーレー「スポーツスター」、BMW「R80」、YAMAHA「SR」を所有するただのバイク馬鹿。これまでシングルかツインにしか乗ったことがなく、やや偏食気味なのが気にかかるところ。

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