『カスタムの真面目な話』

アドバンテージ流カスタム(スイングアームの勧め) #01

掲載日:2014年05月21日 タメになるショートコラム集カスタムの真面目な話    

Text/Noboru NAKANISHI ( ADVANTAGE )

今回からはスイングアームのお話です。アドバンテージは開業当時、まず足まわり、サスペンションとディスクローターから業務を開始し、次にトラクションを左右するという観点でクラッチをF.C.C.と共同で開発してきました。そして次なるターゲットとして、足まわりを手がける以上避けて通れないスイングアームとなりました。最終的には高コストで会社的な体力を要求される鍛造ホイールへと開発を進めていくわけです。

当たり前の話ですが、皆さんはスイングアームがサスペンションの一部であるという事をご存知でしょうか? フレームからピボットを介して繋がっているものですが、これはフレームと言っても良いような、重要なパーツです。サスペンションを交換する前に、スイングアームの交換を勧めているほどです。それほど効果が体感出来るパーツは少ないでしょう。

スイングアームは、現在においてはホイールやリアショックなどに次いで人気のあるパーツのひとつですが、近年においては、形状的にアルミの角パイプが主流ではないでしょうか。当然素材には高剛性で、軽量化と溶接に対しても体力が落ちない“Made in Japan”の『7N01』で製作するのが最も優れた製品と言えるでしょう。

上記の素材は、アルミ製スイングアームの製品の中でも一部にしか採用されていない高価なものです。主な機種ではモトクロッサーと、ごく一部のスーパースポーツですね。アルミは溶接の際に加えられる熱で強度が失われます。しかし7N01材は、溶接の熱で一度は強度が落ちても、その後、常温で放置することで溶接前と変わらないレベルにまで回復する、という特徴があります。

勿論、クロモリのスイングアームもパフォーマンス的に劣るものではありません。しかし軽量化と高剛性を必要とするモトクロッサーやスーパースポーツ車には必携のアイテムとなっています。

アドバンテージでは、スイングアーム製作に必要なオリジナルの専用金型を神戸製鋼とUACJ(古河スカイと住友軽金属が合併)に特注し、その数は10種類以上にもなります。

スイングアームに必要な各パーツは、「目の字」断面のメイン素材3タイプと、「日の字」断面の素材、スタビライザーやサブフレームに使用するマルチリブタイプの素材になります。

付属パーツは最新鋭の三次元5軸制御のマシニングセンターを使用し、ブロック材も7N01の塊から削り出す事により高剛性の部品が完成し、完璧な製品が生み出されます。

上記に書いたように、軽量化は各メーカーの至上命題にもなっています。これはレースの世界だけではありません。近年の燃費競争にも大きく貢献する軽さは、もう無視をするわけにはいかない状況なのです。軽さはマシンの運動性の向上や安全性にも繋がります。バネ下の重量物であるスイングアームは、サスペンションの運動性に直接影響をもたらし、ライディング自体にも大きな自由度を与えてくれます。自由度は安全性に繋がります。

近年のモーターサイクルは“フレームで走る”とも言えますから、スイングアームは最高のフレームチューニングパーツとして、大きな役割を担っているのです。

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