『ウェア屋さんのひとりごと』

暑い時期こそ重ね着!?

掲載日:2011年06月30日 タメになるショートコラム集ウェア屋さんのひとりごと    

Text/Junichi FUJIMOTO ( RS TAICHI )

まだまだ梅雨の真っ最中かと思っていたら、今度は猛暑のダブルパンチに、ちょっとウンザリしている方も多いのではないでしょうか。かくいう私もかなりの暑がりで、これからの時期に欠かせないのが “速乾インナー” というシロモノ。スポーツ選手が、体にぴったりフィットしたシャツやタイツらしきものを着用しているのを目にするかと思いますが、見た目に「暑苦しい」と思ったことはありませんか? 実はその逆なんです。それではその “速乾インナー” についてお話してみましょう。

人は誰でも暑くなると発汗し、その汗が蒸発することによって体温を調整しているのはご存じですよね。液体(汗)が気体へ変わる時(蒸発)に熱が奪われていくことを “気化熱” といいますが、着用することで素肌以上に汗の蒸発を促進し、表面温度を下げる効果を発揮するのが “速乾インナー” なのです。ちなみに気温は高いけど湿度が低く、カラッとした日は余り暑さを感じませんね。それは汗がドンドン乾いて気化熱の作用が生じているためで、湿度が高いと作用が生じにくく、時には気温以上に暑さを感じるという訳です。以前に透湿機能の無いレインウェアについて「体感温度は少し高く感じます」とお話ししましたが、それも同じ様な理由だと思ってイイですね。→“防水”についてのおはなし(さらに続き)

さて、そんな “ウソの様なホントの速乾インナー” には、キュッと体を引き締めて筋肉疲労を軽減するスポーツ用から、速乾性や着やすさに特化したものまで様々ですが、はじめの第一歩で使ってみるなら比較的安価で、楽に着ることができる後者がオススメです。私はライディング中はもちろん、サーキットでのレーシングサービス等でも “クールライド” を愛用していますが、肌に優しい生地と適度なフィット感のおかげで、一日中着ていても窮屈な感じはありません。特に8耐の現場では、朝から肌に塩が浮いてくるほど大量に発汗しますが、着用していればべたつきも少なく、そよ風でも吹こうものならヒンヤリして快適に過ごすことができるのです。これ、ほんと!

“涼しい” ばかりをお話しましたが、発汗時にジャケットやパンツ等のアウターウェアが、肌に貼り付いて気持ち悪い思いをしたことはありませんか。インナーを着ていれば汗のべたつき感も無くなるうえ、インナーとアウターの滑りによって動きにくさも解消できます。レーシングスーツの中に “インナースーツ” を着用するのもこのためで、これは一般のライディングウェアでも同様です。ちなみにレース用のインナースーツも体にフィットするタイプを使用する選手が増えてきましたが、クールダウンと動きやすさの両方にメリットがあるので、ごく当然のことだと思います。

ただ、このタイプのインナーは体にピッタリフィットしてこそ効果を発揮できるため、体のラインがクッキリ出ることに躊躇される方も居るかと思います。そんな時はインナーの上からもう1枚、普通のTシャツを重ね着すれば、意外と違和感が無いものですよ。重ね着するTシャツも速乾素材ならなお良しですね。

“速乾インナー” にはシャツやパンツのほか、“インナーグローブ”“インナーキャップ” の様にお手頃価格で購入できるアイテムもありますので、効果のほどに「う~ん…」な方は、こういったもので効果を体感されてはいかがでしょう? ちなみに “涼しく感じる” 等の程度には個人差がありますので予めご勘弁ください。

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